2020/07/07

SRIXON製品情報

《打感がソフトになっても飛びはガチ!》爆飛び『スリクソン X2』ができるまで

今から3年前に登場し、「とにかく飛距離がほしい!」というゴルファーたちから熱烈に支持された飛距離追求型ボール「スリクソン X」。その後継モデルとなる『スリクソン X2』がまもなくデビューする。やわらかい打感を実現しつつ、初代を上回る大きな飛びを達成した「スリクソン X2」。開発のスタートから完成までの軌跡を、開発担当者に振り返ってもらった。

田窪 敏之(たくぼ・としゆき)
住友ゴム工業㈱ スポーツ事業本部 商品開発部 ゴルフボール技術グループ 2008年入社。市島工場でゴルフボールの生産技術を10年間担当したのち、17年に現在の部署に異動。スリクソン、ゼクシオのボール開発を手掛ける。

『スリクソン X2』(以下、X2)の開発は、大ヒットを記録した初代Xのレビュー(評価)から始まった。その方法として、愛用ユーザーにアンケートを行い、その結果を基に開発、企画のスタッフたちが議論を重ねた。
「アンケート結果からは、多くのユーザーが初代Xの開発コンセプトである“ドライバーの飛び”に満足されている感触が得られました。一方で、やはり“硬い”“打感がよくない”という声が少なからず聞かれたのも事実です。よいボールではあったものの、さすがに“尖りすぎた”というのが私自身の初代Xに対するイメージですね」
 そう語るのは、X2の開発を担当した住友ゴム工業㈱ スポーツ事業本部 商品開発部 ゴルフボール技術グループの田窪敏之である。
 そもそも初代Xは、R&A公認球でありながら非公認球に負けない飛距離を追求して生まれたボールだった。その個性は際立ったものの、やはりゴルフボールに欠かせない要素である打感には課題を残すことになった。
「そこで議論した結果、打感が改善されれば、よりお客様がお求めやすいボールになるのではないかということで、X2では、“ソフトな打感”“Xと同等以上の飛距離”という2点の実現をめざすことになりました」
 2つの目標のうち、特に困難が予想されたのが打感の改善だった。ボールは、やわらかくすればするほど、反発が落ちて初速(ボールスピード)が遅くなるからだ。
「そうなると、もう一つの目標である飛距離アップは望めません。初速を維持したまま、打感を改善する。この相反する課題をどう解決するかが最初の関門になりました」
 では、田窪らは何から着手したのか。それはボールの打感を左右するコアを見直すことだった。コアがつぶれやすくなれば、打感はよくなる。
 そこで田窪は、研究部門と協力しながら、コアをやわらかくしてもボールスピードが落ちない高反発添加剤の開発に取り組んだ。そして、その添加剤の実用に目途が立つと、次はベストな配合量を求めて、実験やディスカッションを繰り返した。
 その試行錯誤の過程でコアの構造そのものについても大きな変更を加えた。
「初代Xでは、コアは2層構造を採用しましたが、X2では単層にしました。それは、高反発添加剤を使ってインパクト時のエネルギー効率を向上させるには、単層構造のほうがマッチすると考えたからです」
 さらに、田窪ら開発陣はコアの硬度分布も見直した。初代Xでは外側が硬く、内側がやわらかい「外剛内柔構造」を採用していたのを、X2では内と外で硬度の差が少ない、つまり硬度分布が平坦な構造を採用したのだ。
「コアの硬度分布を、外剛内柔と平坦の2つのタイプに大別した場合、一般的には平坦構造のほうがボールスピードは落ちにくくなります。言ってみれば、コアの硬度分布が平坦なX2は、ボールスピード追求型というべき構造になっています」

 遠くに飛ばすために欠かせない高初速を実現するために、従来の外剛内柔とは違う平坦な硬度分布を採用したX2のコア。だが一方で平坦構造のコアには、スピン量が増えてしまうという弊害もあった。スピンが多すぎれば当然、飛距離をロスしてしまう。
 そこで田窪らは、過去のボール開発も参考にしながら、ボールスピードとスピン量の関係性について研究、検証を重ねた。そして、ある事実にたどり着いた。
「実験の結果、平坦構造コアに組み合わせるミッド層を硬めにすれば、スピン量を抑えられることが分かったのです。 その事実に基づき、X2では、コア構造の変更によって通常であれば増えてしまうスピンを、ミッド層の働きにより最小限に抑えられました。それに加え、ボールスピードも初代Xと同等の高いレベルを維持できたことで、トータルの飛距離アップにつなげることができたのです」
 ボールの構造が固まり、それに伴いボールスピードやスピン量が決まったことで、今度はディンプルの開発に取り掛かった。そうして採用されたのが、「強弾道338スピードディンプル」である。
「数と配列などのベースは変えずに、よりボールの個性に合った弾道にするために、ディンプルを少しだけ深く設計しています。それによって飛び出しはやや低くなり、強い弾道で前に進んでいきます。風に対しても、あまり影響を受けずに飛んでいくイメージです」
 新たな構造とディンプルのチューニング。2つの効果によって、X2はドライバーの飛距離アップに成功した。
 ただ、それで開発が終わったわけではない。ボールの品質安定性を高めることも、田窪に課された重要なミッションだった。
「当社の品質基準を満した製品を安定して作れるように設計することも、性能の向上と同じくらい重要です。たとえば、X2のミッド層にはこのボールにしか使っていない硬い樹脂を採用したのですが、硬い樹脂というのは、溶かしたり金型に流し込んだりするのが非常に難しい。つまり、理想的な構造ができたとしても、それを実際の工程に乗せるまでは手が抜けませんし、苦心しました(笑)」
 たしかに、新しい素材や材料を取り入れた製品の生産を軌道に乗せるまでに、多くの課題が生じることは想像できる。だが、田窪はボール開発に従事する前の10年間、ボール工場で生産技術を担当していた。田窪はその経験を生かし、製造担当者と協力しながら課題を解消していった。
 そうして完成したスリクソン X2。田窪にとって、製品全体の開発を担当するのは初めてとなるこのボールについて、改めてその特長を聞いてみた。
「一般的にゴルフボールの打感をソフトにすると飛距離が落ちてしまうところを、X2では、確実に打感をソフトにしつつ、初代X以上の飛びを実現しています。ダンロップのすべてのボールの中でもいちばん飛ぶのが、このX2ですので、“ドライバーで飛ばしたい”というすべてのゴルファーに、ぜひ使っていただきたいと思います」

『スリクソン X2』の詳しい情報はこちら。
https://sports.dunlop.co.jp/golf/products/ball/snx2.html

『スリクソン X2』と同じ7月17日に、スリクソンのNEWグローブ『GGG-S026』が新発売! 思い切りスイングしても、掌と指に搭載したシリコンプリントがグリップをガッチリとらえ、ヘッドスピードひいては飛距離のアップを強力にサポートします。

・スリクソン グローブ『GGG-S026』の詳しい情報はこちら。
https://sports.dunlop.co.jp/golf/products/glove/gggs026.html