2013/10/08

SRIXONSRIXON×松山英樹レポート

【SRIXON × 松山英樹 スペシャルWEBサイト】限りない可能性を感じさせる、大舞台で貫いた“攻めのゴルフ” ~「ザ・プレジデンツカップ」に初出場~

 記念すべき10回目の「ザ・プレジデンツカップ」は、“帝王”ジャック・ニクラウスのお膝元、アメリカ・オハイオ州の「ミュアフィールドビレッジGC」が舞台となった

 世界選抜12名のうちの一人としてプレーする重圧、一つのボールを交互に打つフォアサム、そして両チームでただ一人「ザ・メモリアル・トーナメント」(毎年5月の最終週に行なわれるPGAツアーイベント)への出場経験がない・・・。

 今回もまた、松山英樹は多くの“未知”を相手にプレーした。そうして残した戦績は、1勝1分3敗、獲得ポイント「1.5」。

 この数字だけを見れば、松山にとって初めてのプレジデンツカップは苦く、悔しいものになったと言えるだろう。本心ではないにせよ、「こういう世界でプレーするのはまだまだ早い」と弱音を吐いたのも無理はない。だが、世界のゴルフファン、そして同じフィールドで戦ったチームメイトやアメリカ選抜の選手たちに与えたインパクトは大きかった。

 中でも、大会初日のフォアボールで、1ダウンで迎えた最終18番ホール(パー4)で見せた一打は衝撃的だった。このホールをとらなければ負けという追い込まれた状況で、160ヤード先のピンを狙って放った第2打はカップのすぐ向こうに落ちてからバックスピンで戻り、ピンそば20cmにピタリ。これにOKを出したアメリカ選抜の二人がともにパーに終わったため引き分けとなり、自身初のポイント「0.5」を手にした。

“ショット・オブ・ザ・デイ”とでも言うべきこの一打で追いついた一戦は、今大会のダブルスすべてで松山とコンビを組み、今回が6度目の大会出場となったアダム・スコットが、「自分のプレデンツカップのキャリアの中でのベストマッチ」と称えたほどだった。

 世界のトップランカーたちが顔を揃えるプレジデンツカップでは、多くのショットがピンに絡む。とりわけバーディを取らないと負けてしまうフォアボールでは、リスクを恐れずに攻めるためその頻度が高くなり、まさにスーパーショットの応酬になる。それを初出場の初日、しかも土壇場で松山は放った。

 大会前、松山について感想を求められたニック・プライス、フレッド・カプルスの両キャプテンは、「恐れを知らない」と偶然にも同じ言葉で評した。さらにプライスは、「メジャーで活躍するにはハートの強さが必要だ。彼にはそれがある」とも。18番でのあの一打を、「入れてしまうぐらいのつもりで打った」と本人が振り返ったように、メジャーとは違う重圧がかかる大舞台でも、松山はリスクを恐れずに攻めた。

 その後の3日間では、グリーンをオーバーするショットも少なからず見られた。それは、本人が反省したように、風の読みがまだ甘いせいかもしれない。また、現地のテレビ放送のコメンテーターを務めたニクラウスは、松山のその類のミスについて「スイングの途中でグリッププレッシャーが変わるのが、距離感が狂う原因では」と指摘したという。それらが克服しなければいけない課題だとしても、最後まで攻めの姿勢を貫き、ピンをデッドに狙い続けた松山には限りない可能性を感じる。

 現在世界ナンバー2のスコットをはじめとする世界のトッププレーヤーたちとのプレーと交流は、松山にとってこのうえなく貴重な経験になったに違いない。休むまもなく今週幕を明ける2013-2014年のPGAツアーで、その成果を見せてくれることだろう。


文/魚住 了(ゴルフライター)