2週間前の「ザ・メモリアル・トーナメント」でツアー初優勝を飾り、優勝候補の一人として迎えた自身2度目の「全米オープン」。だが、結果は35位タイと厳しいものになった。
「コースが難しすぎて、心が折れそうです」
トーナメントウィークを前に、2ラウンドの練習ラウンドを終えていた松山は苦笑交じりにこう言った。最初のラウンドでは、2ケタオーバーのスコアを記録したという。
とはいえ、もちろん心が折れてしまったわけではない。本番の幕が開くと、常々目標に掲げているメジャー制覇に向けて上々のスタートを切った。
インスタートとなった初日、10番で幸先よくバーディを奪った後、3つのボギーが続いたものの、終盤に3つ取り返し、1アンダーの「69」をマーク。今回の覇者となったM・カイマーが、5アンダーという全米オープンらしからぬスコアで飛び出したのは想定外だったかもしれないが、優勝争いのためのポイントとして自ら挙げた、
「どれだけ寄せワンができるか」
「3、4mのパット、それもバーディパットではなく、パーパットをどれだけ決められるか」
というプレーを辛抱強く実践した。
2日目も、前半の3番、そして難しい9番パー3でバーディを奪い、この時点で3アンダーまでスコアを伸ばした。だが、
「12、13番まではショットがよかった。でも、ちょっとずつ変な感じがしていたのが、最後に(ミスになって)出てしまった」
と振り返ったように、後半で3つのボギーを叩き、この日1オーバーの「71」。通算イーブンパーの14位タイに後退し、首位のカイマーとの差は10打に開いた。
そして3日目になると、「50ヤード以内の難しさは世界一」とも言われるパインハーストNo.2が、ついにその本性を現す。アンジュレーションが複雑に組み合わされたお椀型のグリーンは速さを増し、この日アンダーパーをマークした選手はわずか二人だけ。松山も4オーバーの「74」とスコアを崩し、23位タイに順位を下げた。後半の3バーディ・2ボギーという内容は、最終日のチャージを期待させたが、一度狂った歯車はそう簡単に元に戻ることはなく、15番のバーディで一矢報いたものの、前日と同じ「74」、通算8オーバーで4日間の戦いを終えた。そして、
「初日、2日目は、あまり調子がよくない中でうまくごまかしていたけれど、3日目、4日目は、うまく打っているつもりなのに結果が伴わなかった」