2015/07/29

SRIXONSRIXON×松山英樹レポート

【SRIXON × 松山英樹 スペシャルWEBサイト】最終日、東北のゴルフファンに“魅せた”意地の10バーディ ~「ダンロップ・スリクソン福島オープン2015」で9位タイに入賞~

 今年で2回目を迎えた「ダンロップ・スリクソン福島オープン」。大会初出場、さらに今季の国内男子ツアー初参戦を果たした松山英樹は、最終日に8アンダー「64」をマークし、通算18アンダーの9位タイに食い込んだ。

 2010年のアジアアマを制し、マスターズ初出場を翌月に控えていた2011年3月11日に発生した東日本大震災。当時東北福祉大学1年で仙台に暮らしていた松山は、被害の大きさから一時出場辞退も考えた。だが、その背中を押して快くマスターズに送り出してくれたのは東北の人々だった。以来、松山は「東北のために自分にできることはないか」と常に考えていたという。それは、プロに転向しPGAツアーで戦うようになってからも続き、ダンロップが福島でトーナメントを計画していると聞いた時から、出場したい思いに駆られた。昨年の第1回大会は、PGAツアー本格参戦1年目だったことから出場を断念。だが、PGAツアーで優勝し、トッププレーヤーとしての地歩を占めた今年、「是非とも福島や日本の皆様に、少しは成長した自分のプレーを見ていただきたい」と出場を決めた。

 松山は、マスターズ前の3月下旬に、試合会場となるグランディ那須白河ゴルフクラブで初めてプレーすると6月30日にも18ホールをプレー。トーナメントウィークに入っても、月曜日まで順延された「全英オープン」のホールアウトからわずか33時間後の水曜日午前9時半にコースに到着すると、2時間のパッティング練習のあと、マッサージを挟んでショット練習、さらに9ホールの練習ラウンドと、長旅の疲れと時差ボケをおして精力的に調整。

「手を抜かないのが自分のやり方。(東北・福島のファンに)優勝する姿を見せることができればいちばんいい。それに向かって全力でプレーするのが大事」

 と、勝利へ並々ならぬ意欲を見せた。

 そんな松山を、昨年を大きく上回るギャラリーが迎えた。初日のスタート前の練習場には、「あんなにいると思わなかったので少し緊張しました」と松山が驚くほどの大ギャラリーが詰めかけた。また、スタートホールの10番では、ティグラウンドに上がった瞬間に大歓声が起こり、「海外ではここまで全員が応援してくれるような立場ではないので。その差をすごく感じて、久しぶりに緊張しました。うれしかった」と松山を喜ばせた。

 だが、プレーが始まると、アメリカのラフの芝との違いや、前週プレーしたリンクスの硬い地盤とのギャップに戸惑い、ショットの距離感が合わない。また、大会後に「初日と3日目がきつかった」と明かしたように、時差ボケと湿度の高さにも苦しみ、一時2オーバーまでスコアを落とした。結局、初日は2アンダーの34位タイまで盛り返したが、2日目以降も、スコアを伸ばすものの、2日目は23位タイ、3日目は25位タイとなかなか順位が上がらない。松山本人も「ちぐはぐなゴルフが続いてしまっている」「ギャラリーが増えるのはうれしいけれど、それに見合うプレーができていない」と、期待に応えるプレーができないもどかしさを口にした。

 そうして迎えた最終日。ついに松山が爆発した。出だしこそ連続ボギーとしたが、4番から4連続バーディ。9番もバーディとしたあと、13番からは怒涛の5連続バーディ。多くのホールでショットがピンに絡んだほか、15番では6メートルの難しいフックラインを決め、本人にも記憶がないという10バーディを記録した。

 最終日に猛チャージを見せてホールアウトした松山を、ギャラリーは「ありがとう!」という感謝の言葉で迎えた。それに対し松山は、

「僕がプレーしただけで『ありがとう!』と言ってもらえるのはすごくうれしい。また日本でプレーをしたいなと思いました」と笑顔を見せた。

 それにしても、この大会で松山は「福島のみなさんに喜んでいただきたい」「自分のプレーで大会を盛り上げることができれば」という言葉を何度口にしたことだろう。本人は「最終日しか満足なプレーができなかった」と話したが、すべてのギャラリーがそのプレーに大いに魅せられたに違いない。また、松山は「子供たちに、ゴルフというスポーツに興味を持ってもらいたい。僕のプレー見てもらい何か感じてくれるものがあれば」と、大会期間中の木、金に「松山英樹 ジュニア・インビテーション Supported by LEXUS」と題し、宮城、福島の子どもたちを会場に招待し、交流した。彼らもまた、ゴルファー、さらには人としての松山の魅力を感じとったことだろう。

 大会初出場で、鮮烈な印象を残した松山。来年大会への出場を心待ちにするとともに、今季最後のメジャー「全米プロ」をはじめ、残り2カ月となったPGAツアーでの活躍にも期待が高まる。