30人の超エリートゴルファーのみで争われた2015~2016シーズンのフェデックスカップ・プレーオフシリーズ最終戦「ツアーチャンピオンシップ」。3年連続でそのステージに立った松山英樹は、4日間通算6アンダーの単独5位でフィニッシュした。
昨年の設定からインとアウトを入れ替え、全長も78ヤード長くなってタフさを増したイーストレイクGCを相手に、初日、松山は6バーディを奪うなど大会での自己ベストとなる「66」をマークし首位タイの好発進。2日目以降も、ショットに苦しみながら3位タイ、5位と上位をキープし大会初制覇と年間王者獲得に望みをつないだ。だが最終日は、大きくスコアを伸ばした他の上位陣に対し、松山のスコアは1アンダー「69」。トップとは6打差での終戦となった。
その最終日は、9番の初バーディから、1つのボギーを挟んで17番まで4バーディを奪取し通算8アンダーまで伸ばしたが、勝負に出た18番でダブルボギー。そのせいもあってか、フェデックスカップ・ランキングで自己最高の13位にランクインした感想を問われても「特に何もないです」と言葉少な。そして、「ショットもパットも、もっと自分が納得するプレーをできるようにしたい」と自身のプレーへの不満を口にした。
だが、この最終戦では見せ場も作った。大会3日目、13番ホールでこの日3つ目のバーディを奪い通算5アンダーまでスコアを伸ばした松山だったが、14番では、第2打がフェードがかからず大きく曲がり、痛恨のトリプルボギー。そのままズルズル後退しても不思議ではなかった。だが、続く15番で約9mを沈めてバーディとすると、17番でもバーディ。さらに600ヤードの最終18番では、左足下がりの第2打を見事なフェードボールで2オンさせ、2パットのバーディ。大叩きの後の“バウンスバック(「立ち直る」の意)”、そして、フェードでの失敗をフェードで取り返し優勝戦線に踏みとどまったのはさすがだ。また、本大会での過去2回の戦績は、初出場の14年が6オーバーの22位、昨年がイーブンパーの12位タイ。その点を見ても、松山はたくましさを増していると言えるだろう。
米ツアー本格参戦3年目を振り返って印象に残るのは、やはり2月の「ウェイストマネジメント フェニックスオープン」でのツアー2勝目だろう。最終日の最終18番でバーディを奪ってプレーオフに持ち込み、4ホールに及ぶ激闘の末にもぎ取った勝利は、その実力が底上げされていることを示すものだった。メジャーでの戦いを見ても、「マスターズ」で7位タイ、「全米プロ」でメジャー自己ベストの4位タイに入賞。さらに、年間獲得賞金でも昨シーズンを上回り、自身が持つ日本人歴代最高記録を更新した。本人には不満が残るかもしれないが、今シーズンの成績は十分に誇れるものであり、これらの事実、数字からは、松山の着実な前進が見て取れる。
長いシーズンを戦い終えた松山だが、再来週には再び始動する。その舞台は、狭山ゴルフ・クラブで開催される81回目の「日本オープン」。国内でのプレーは、昨年11月のダンロップフェニックストーナメント以来ほぼ1年ぶりとなる。まだ手にしていないナショナルオープンのタイトルを目指す戦いでどんなプレーを見せてくれるのか、期待は高まるばかりだ。