2017/03/03

XXIO製品情報

ゴルフボールの新常識「やわらかいから飛ぶ!」 ゼクシオ SUPER SOFT X デビュー!

瀧原広規(たきはら・ひろのり 右)
2007年入社。テニスボール/ラケットの開発を経て、2014年よりゴルフボールの開発を手がける。

三村耕平(みむら・こうへい 左)
2012年入社。ディスタンス系ボールの開発を経て、現在すべてのゴルフボールのディンプル開発を担当。

Q まず、『ゼクシオ SUPER SOFT X』(以下、ゼクシオSSX)の開発コンセプトについてお聞きします。そもそもどんなボールを目指したのでしょうか?

瀧原 ネーミングの通り、“とにかくやわらかい”ボールです。先代モデル(ゼクシオ AERO DRIVE)も十分やわらかかったのですが、「ゼクシオSSX」では、もっともっとやわらかさを追求し、だれもが体感できるやわらかさを目指しました。

Q “スーパーソフト”のあとの“X”は何を表しているのですか?

瀧原 究極の飛びです。ゼクシオSSXはだれもが体感できるやわらかさを目指したボールですが、たんに「やわらかさ」だけでなく、「ドライバーでの飛び」も開発の重要なテーマでした。

Q なるほど。では、フィーリングをやわらかくするために何をしたのでしょう?

瀧原 まず、コアを従来モデルにくらべ10%やわらかくしました。また、中間層も従来より36%もソフトになっています。

Q 36%というのはかなり大きな違いですね。

瀧原 はい。当社独自の技術を使い、比較的硬い合成樹脂であるアイオノマーに、やわらかいけれど反発性能にすぐれる素材を配合してソフトにしています。コアと中間層をソフトにすることで、ボールのコンプレッションは従来モデルより14%やわらかくすることができました。

Q そうして開発のスタート時に目指した「やわらかさ」を実現したわけですね。ただ、やわらかくすると、もうひとつの開発目標である「ドライバーでの飛び」を実現するのは難しくなるのではないですか?

瀧原 その通りです。そこで、やわらかくても飛ぶボールにするための工夫を施しました。コアの中心をやわらかくし、内側がやわらかく外側が硬い「外剛内柔」の度合いをボール全体としてさらに高めたのです。ゴルフボールは、外側と内側とで硬度差をつけると、インパクト時に内部で“ねじり戻し”という現象が起こります。これは、余分なスピンが減って、ボールを遠くに飛ばすのに必要な初期条件のひとつである低スピン化につながります。さらに、スピンが減れば、飛ばしのもうひとつの条件である高打ち出しも可能になります。

Q 中間層がソフトになったことは、飛距離には影響しないのでしょうか?

瀧原 先ほどお話ししたように、中間層をソフトにしようとしたのは、ボール全体の打感をやわらかくするのが目的でした。ただ、今回はソフトなコアと、反発性能にすぐれるアイオノマーのカバーを採用していて、両者との組み合わせを検証した結果、中間層は従来モデルよりやわらかくしたほうがスピンは減ることがわかりました。つまり、中間層をソフトにしたことは飛距離アップにも貢献しているのです。

Q ゼクシオSSXではディンプルも一新されていますね。その開発経緯についておしえてください。

三村 はい。ディンプル設計では常に飛距離アップを目指していますが、ゼクシオSSXの開発に当たっては、これまで開発してきたディンプルや蓄積してきたデータを見直すという作業をしました。ディンプルに関する考え方を整理したわけです。その結果、“なるべくディンプルの大きさを揃えてボール全体を覆うと飛距離アップに効く”ということが新たに分かってきて、それを出発点としながら、配置させるパターンの定量化を図りました。その結果、打出し時には抗力が小さくなって空気抵抗を減らせるためにボールスピードを維持でき、頂点を過ぎた以降は、揚力が大きくなるので、さらに伸びる弾道になる、という特長を持ったディンプルが誕生したのです。

Q なるほど。では、ゼクシオSSXのディンプルについて詳しく聞かせてください。

三村 大小5種類のディンプルを338個搭載しています。338個という数自体は、先日発売されたNEW「スリクソン Z-STARシリーズ」と同じですが、想定ユーザーのスピン量や打出し角に合わせてディンプルを独自に設計しています。

新たに開発された「高弾道338スピードディンプル」。大小5種のディンプルを組み合わせることで、打ち出し直後の抗力は小さく、頂点以降の揚力は大きくなって飛びにつなげる。

「新しいディンプルの採用によって初期の空気抵抗が減るので打ち出しは鋭くなり、頂点位置も従来モデルより遠くなっています」(三村)

Q ディンプルの配列を決めるには、非常に高度な技術が必要だと思います。それはコンピュータでシミュレーションして決めるのですか?

三村 ある程度の配列は、自動計算で作ることができるのですが、それだけでは不十分です。先ほどお話ししたように、ボールの性格に合わせて考える必要もあるので、やはり最後は人間の手によるチューニングが必要です。

瀧原 たとえば揚力係数(Cd値)にしても、計算によってある程度の予測はできますが、製品化するには、試作をして実際にテストをし、過去のデータとも照らし合わせるなどして評価して、最終的な仕様を決める必要があります。

Q いまテストのお話が出ましたが、ゴルファーによる実打テストの結果はどうだったのでしょう?

瀧原 今回、ドライバーのヘッドスピードが33~43m/sぐらいのアベレージゴルファーのみなさんに、「ゼクシオ SUPER SOFT X」と同じスペックの試作品を打っていただきましたが、ドライバー、パターともに、90%以上の人が「やわらかく感じる」と答えています。

Q 飛距離についてはいかがですか?

瀧原 こちらは当社のテストセンターでのマシンテストの結果ですが、ドライバーのヘッドスピードが40m/sの場合で、従来モデルにくらべ1.2ヤード飛距離がアップしました。ゴルフコースでのラウンドでは、もっと大きな差が出ると思います。ソフトになった打感と合わせて、当初の狙い通りのボールができたと思っています。

「コンプレッションを大きく下げたことで、ドライバーショットだけでなく、パッティングの打感も非常にソフトになっています」(瀧原)

※当社計測所データ

ドライバー(ヘッドスピード40m/s相当)の飛距離の比較。「ゼクシオ SUPER SOFT X」は従来モデルを1.2ヤード上回り、ゼクシオ史上最大の飛距離を実現。