ダンロップゴルフィングワールド(以下、DGW):まず、「みなみ」という名前の由来をおしえていただけますか?
勝プロ:最初は母も漢字の名前をいくつか考えたようなのですが、「勝」という名字のインパクトが強いので、名前はひらがなにしてバランスをとったほうがいいんじゃないかと考えたらしくて。そんな時に漫画『タッチ』のヒロイン、浅倉南を思い出したそうで、南ちゃんのように勉強もスポーツもできて、南向きに成長してほしいという願いを込めてつけてくれました。名字と名前のバランスがとれていて、すごく気に入っています。
DGW:え? 現在のスイングはひとりで作ったのですか?
勝プロ:はい。小学校の高学年から、自分のスイングをビデオに録って、それを見てどこが悪いのかを研究しました。誰かのスイングを参考にしたことはないし、雑誌のレッスン記事も読んだことはなかったです。中学に入ると学校が終わるのが遅くなってスクールに通う時間もなくなってしまったので、スクールはやめてひとりで練習しました。
DGW:プロゴルファーになろうと思ったのはいつ頃からですか?
勝プロ:小学校6年の時からです。それ以前に、小学3年で出た試合で悔しい思いをして、「絶対に負けたくない」と思って、それから練習の質を考えるようになりました。それで小5になって初めて九州の大会で優勝して全国大会に出たのですが、そこで何かカベのようなものを感じました。その時、上位の選手にくらべて自分の練習量が全然足りないことが分かったんです。それで練習量を増やしたら、小6の全国大会では上位に入ることができました。その時に「自分はできるんじゃないか」という手応えがあって、ゴルフも大好きだったので、プロになりたいという思いが強くなりました。
DGW:そして、みなさんご存じのように、高校入学からまもない2014年4月の「KKT杯バンテリンレディスオープン」で、国内女子ツアー史上最年少の15歳293日で優勝しました。
勝プロ:実は、あの試合は、開幕前日に(開催地の)熊本にいることができなくて、午後に飛行機で熊本に入ったんです。コースに行って練習する時間もなかったので、「予選を通過できればいいね」と母と話していました。そうしたら、初日にいきなり「66」というスコアが出て。「練習しないのがよかったんじゃない?」と笑ったのですが、楽な気持ちで大会に臨んだのがよかったのかもしれません。
DGW:最後まで優勝争いのプレッシャーは感じなかったのですか?
勝プロ:感じなかったです。ただ、18番ホールの3打目だけは緊張しました。パー5だったのですが、池越えでピンも手前だったので大きめに打ったら、左に曲げてバンカーに入れてしまいました。でも、あの大会ではそれまでバンカーからボギーを打ったことがなかったので、バンカーショットには自信がありました。最後のパットも、あの試合では同じようなスライスラインを全部入れていたので、すごく自信をもって打つことができました。
DGW:ツアーで勝ったことで、すぐにプロに転向しようとは考えなかったのでしょうか?
勝プロ:はい。その理由は、プロになったら高校に通えなくなるんじゃないかと思ったからです。それと、やっぱり“日本”とつくアマチュアタイトルも欲しかったですし。ただ、「あの時にプロ転向していたら、今どうなっていたかな」と思ったことはあります。でも、アマチュアとしていろいろな経験をさせていただいてよかったと思いますし、プロとして決意も新たにゼロから頑張ろうと思えるのは、貴重なアマチュア時代が送れたからだと思います。
DGW:ツアー初優勝の時には笑顔でしたが、今年8月のステップ・アップ・ツアー「山陰合同銀行Duoカードレディース」でプロ初優勝を飾った時には涙でした。
勝プロ:いや~、泣きましたねぇ(苦笑)。本当に念願の優勝だったので。高2の時に「日本女子アマ」に勝って、それ以来、丸2年ぐらい優勝がなくて、すごく苦しみました。ステップ・アップ・ツアーの試合でしたが、アマチュアの試合でもプロの試合でも、優勝者は一人しかいないし、勝つのは本当に難しいことなので、優勝できたのはすごくうれしかったです。
DGW:記者発表後の取材で、「プロになって、ゴルフに対する気持ちが変わった」とおっしゃっていましたが・・・。
勝プロ:ツアーで優勝したあと、2勝目を目標にプレーしていたのですが、それが自分にプレッシャーをかけることになってしまって、この数年は本当に苦しみました。プロテストも本当に苦しくて、パットも半分イップス気味になってしまって・・・。そんなことは初めてだったので、「どうしよう」と思ったのですが、18ホール回りきらないと順位がつかないし、プロになれないので、とにかく回らなきゃと。最後の1メートルのパットも緊張してしまって入る気がしないんです。本当に大変だったし、二度と受けたくないです。もう受けなくていいんですけど(笑)。でも、プロになってから、優勝したいというより、一打一打に集中しようという気持ちが強くなりました。それは、プロは賞金がかかっていることと関係があるのかもしれませんが、一打でも縮めようと考えることでプレーしやすくなりました。
DGW:ダンロップのゴルフ用品は小学5年生の時から使われているそうですが、今回、ダンロップスポーツをパートナーに決めたのはどんな理由からでしょう?
勝プロ:今までずっとお世話になってきましたし、他のクラブを使うことは考えませんでした。それと、ダンロップで働くみなさんの人柄。これが一番の決め手かもしれません。道具のこと以外にも試合会場でわからないことがあると、みなさん親身になって教えてくれましたし、私と話しているとみなさん面白いことを言って笑わせてくれるんです。私は笑うことが大好きなので。
DGW:クラブは、振ってみて“あ、これいいな”と感じたものを選ぶそうですが、クラフトマンにはどんなことを要望するのですか?
勝プロ:たとえば、「ボールを上がりやすくしたい」という話をした時には、クラブについていろいろ提案してくださいました。そして実際にボールが上がりやすくなったので助かりました。
DGW:現在は、ドライバーからアイアンまですべてスリクソンのモデルを使っていますが、スリクソンのクラブにはどんなイメージをもっていますか?
勝プロ:ひと言でいうと“黒”のイメージです。それと、ボールとも関係していると思うのですが、打感がよくて、すごくボールをコントロールしやすいクラブだなという印象があります。
DGW:ところで勝プロは、アマチュア時代から多くのプロトーナメントに出場されていますが、ツアー転戦中のリフレッシュ法は?
勝プロ:関東に住んでいる友だちも多いので、その子たちと会っておしゃべりをしたり、母と映画を観たりすることですね。そういうことは、アマチュアの頃は毎週やっていました。それと、カラオケも大好きです(笑)! よく歌うのはYUIさんの歌。友だちともよく行きます。最初に国家を歌ったり、全然似てないモノマネをしたり、変わった友だちばっかりなんですけど(笑)。
DGW:話題をゴルフに戻しますが、ゴルファーとして自分の武器、強みは何だと思いますか?
勝プロ:うーん、難しい質問ですね。友だちからは「強いね」と言われるけれど、自分ではどこが強いのかわからないし、ここが上手いと思ったこともないんです。自分の感覚からすると、まだまだだと思う部分のほうが全然多くて、ショートゲーム、特にパッティングについては足りません。パットで成長できたら、もっとスコアが伸びると思いますし、1メートル以内のパットを外すことが多いので、それを90パーセント以上決められる選手になりたいですね。
DGW:記者発表で「世界一、愛されるプロになる」という目標を発表しましたね。この目標の意味について、改めて聞かせてください。
勝プロ:私はずっと宮里藍さんを目標にしてきたのですが、愛されるプロというのは、藍さんのように、技術だけでなく人間としても素晴らしいと認められるプレーヤーだと思っているんです。だから、私も、ゴルファーとしてだけでなく、人間としてもっともっと成長していきたいと思っています。
DGW:それと、勝プロは以前から「オリンピックで金メダル」という目標をもっていますね。
勝プロ:はい。オリンピックに出るには乗り越えなければいけないカベがあると思うので、東京大会の3年までのあいだに、カベを一つひとつ乗り越えて行って、まずは出場権を獲得したいと思います。そして、最終的には世界一になりたいと思っています。具体的な目標は世界ランキング1位です。ただ、1年や2年でなれるものでは絶対にないし、時間をかけて徐々にランキングを上げていけたら。調子の悪い時にどう切り抜けるかがいちばん大事なことで、これから苦労したり、悩んだりすることもあると思うのですが、世界一になるという自分の目標にどうすれば近づけるのかを考えながら、頑張っていければと思います。
DGW:最後に、DGWの読者やダンロップのクラブ・ボールのユーザーにメッセージをお願いします。
勝プロ:クラブやボールをはじめ、ダンロップの製品は本当に素晴らしいので、それを使って、これからプロとしてどんどんよい成績を挙げていきたいと思っています。頑張りますので、みなさん応援をよろしくお願いします!