2018/11/09

D-Cafeレポート

<D-cafe> 祝! ツアー初優勝!! 香妻琴乃プロ 独占インタビュー 地元・九州でのツアー最終戦で2勝目を狙います!

D-cafe:遅ればせながら、ツアー初優勝おめでとうございました!

香妻琴乃プロ(以下、香妻):ありがとうございます!

D-cafe:あの試合、首位と3打差で最終日を迎えました。スタート前はどんなことを考えていたのですか?

香妻:8アンダーを出そうと思っていました。初日が6アンダー(※首位タイ)で、2日目は1つしか伸ばせなかったのですが、その2日目もパーオンできなかったのは1ホールだけでした。ショットはすごくよくて、同じ組の中では私がいちばん多くバーディチャンスにつけたのに、それをポロポロ外してしまって・・・。だから最終日はパットさえ入れば、いいスコアが出せるはずと思っていたんです。

D-cafe:そうしたら本当にボギーなしの8アンダー「64」というスゴいスコアが出ましたね!

香妻:はい(笑)。パットがよく決まったのですが、それでも1.5mと1mのバーディパットを1度ずつ外しているんです(苦笑)。最終日も18ホール中16ホールでパーオンできたし、とにかくショットはピンに“ベタベタ”でした(笑)。

D-cafe:あの試合はご自身にとって今季16試合目でした。それまでのゴルフの調子はどうだったのですか?

香妻:春先はショットがまだ少し粗いかなと感じていたのですが、それもだんだんよくなっていったので、あとはパットだけだなと思っていました。そうしたら、8月中旬の「CAT Ladies」でパットが入って、2日目に今年初めて60台のスコアが出ました(※最終順位は6位タイ)。実はあの試合の前に都内でパットのレッスンを受けたのですが、それで何かつかんだ感じはありました。

D-cafe:そのレッスンでは、パットのどんなところを修正したのでしょう?

香妻:まず言われたのは、「悩んでいる人はもっとひどい打ち方をしている。それに比べると悪くない」ということでした。ただ、「アドレスでボールが身体から離れ過ぎている」ということと、「タッチが合わないのはテークバックがゆっくり過ぎるからでは?」とも言われました。テークバックのスピードについては自分でも思い当たることがありました。昔のいい感覚に戻そうと意識しすぎるあまり、ストロークに自信が持てないというか。本当にひどい時は、2mの距離をショートしてしまっていましたから・・・。それで、スタート前の朝の練習グリーンで、イヤホンで聞くリズムに合わせて打つようにしたらスムーズにストロークできて、タッチも合うようになって、迷いなく打てるようになったんです。

D-cafe:技術面だけでなく、メンタルにも関わるアドバイスだったのですね。

香妻:そうなんです。自信が持てるようになると、入るかどうかは別として、狙いどころを決めてパンと打つ“決め打ち”ができるようになったんです。それまでパットでリズムを意識することはなかったので、あのレッスンはそれを意識するいいきっかけになりましたね。

D-cafe:優勝して改めて思ったのですが、香妻プロには本当にたくさんのファンがいますね。

香妻:はい、ありがたいことです。それにすごくいい方ばかりなんです。試合会場でサインをくださいという人もほとんどいないし、純粋に応援してくださいます。話しかけられることもあまりないのですが、「ナイスバーディ!」とか「ナイスイーグル!」と書いたラミネート加工の紙を持っている方がたくさんいて、それを持って応援してくれます。優勝した試合でも「優勝おめでとう」という横断幕を持っている方がいて。私が驚いて「いつ作ったんですか?」と聞いたら、私が4年前に「サマンサタバサレディース」のプレーオフで負けたあとにすぐ作ったと。4年間持っていてくれたということですよね。

D-cafe:それはスゴい! いつか香妻プロが優勝すると信じていたんですね。

香妻:みなさん、遠くから温かい目で見守ってくださるんです。それに、大勢で誘い合わせて毎年12月に私の母が鹿児島でやっている居酒屋にも来てくれるんですよ。それも、私が困るだろうからと、わざわざ私のいない時に。それで去年は、「絶対に琴乃ちゃんがいないはずだから」とクリスマスの日に来ました(笑)。両親はみなさんと仲良くさせていただいているみたいです。

D-cafe:ここ数年、苦しい時期を過ごしたと思いますが、何が原因だったのでしょう?

香妻:やっぱり腰痛だと思います。昔ほどひどくはないのですが、今も時々顔を出します。実は、今年のオフにハワイでトレーニングをしたのですが、追い込み過ぎて腰が痛くなって1週間トレーニングができなくなったことがあったし、春先には試合中に出て棄権してしまいました。腰が痛くなるのが怖くて練習、特にパットの練習量が減っていたと思います。パットはいちばん腰に負担がかかりますからね。ただ、春以降は痛みは全然出ていません。

D-cafe:すると、身体に不安がなくなってたくさん練習できたことも、優勝できた要因ですか?

香妻:それもあるのですが、今までより自分自身で考える時間を増やしたのがよかったのかなと思います。ここ数年、毎試合会場に先生(中島弘二プロ)に来ていただいていたのですが、それをやめました。私は何でも気にしすぎる性格で、先生が私のスイングを見て「いいよ」と言ってくださっても、結果が出ないと「なんでだろう」と考えてしまうし、指摘されればされたで、そこが気になってしまうんです(苦笑)。だから春以降は、先生に見てもらうのは月曜日にして、試合会場では自分だけで練習することにしました。そして、調子が悪ければ悪いなりに精一杯のゴルフができればいいし、「今の調子が60点なら、60点なりの100パーセントのゴルフができればいい」と考えるようにしたんです。それと、これは最近聞いたのですが、先生も私のスイングがいいと思っても「いいよ」と言わないようにしていたそうです。

D-cafe:初優勝したことで、ご自身の中で何か変わったことはありますか?

香妻:いちばんの変化は気がラクになったことですね(笑)。正直ツアーでは勝てないのかなと思ったこともあったし、「勝つって本当に遠くて難しいものなんだな」と感じていましたから。でも、幼なじみの大二郎(出水田プロ)が今年勝ったことで、優勝がすごく身近に感じたというか、「大二郎が勝てるなら」と勇気をもらいました(笑)。小学3年生頃から一緒に練習していた同級生の優勝というのはやっぱり大きかったし、それがいちばんの力になった気がします。

D-cafe:出水田プロからお聞きしたのですが、横峯さくらプロご夫妻、出水田プロと一緒に食事をされたそうですね。

香妻:はい。弟の陣(陣一朗プロ)は先約があったので参加できなかったのですが、私と大二郎のお祝いをしてもらいました。さくら姉ちゃんからは「本当におめでとう」と言ってもらってすごくうれしかったのですが、さくら姉ちゃんはツアーで23勝もしていて、私はやっとその何十分の1の1勝をしただけ。さくら姉ちゃんはどんだけスゴいんだろうと改めて思いました(笑)。さくら姉ちゃんからはアメリカツアーの話も聞きました。あれだけ大きな国なので、やっぱり移動が大変なようで、行くなら本当に覚悟を決めてからでないとダメだなと思いました。

D-cafe:ところで香妻プロは、ウッドもアイアンも新しいスリクソンのモデルを使っていますよね。

香妻:はい。まずアイアンを『スリクソン Z585』に換えて、ウッドも優勝の2週間前から新しいモデルに換えました。それまで使っていた3Wが、スピンが多すぎたのかフケ上がってしまって、欲しい距離が出なかったんです。それでクラフトマンの方に相談して、『スリクソン Z F85』を見せてもらったら、すごく顔がいいので構えやすくて。打ってみると球にすごく勢いがあって、明らかに飛んでいたんです。それで、ついでに『スリクソン Z785 ドライバー』も打たせてもらったら、輪をかけてよくて(笑)。飛ぶし、曲がらないし、高さも少し抑え目で、それまで時々出ていた右にフケる球が出なくなりました。それと私は持ち球がフェードなのでアゲンストが吹くと厳しいのですが、新しいドライバーとフェアウェイウッドに替えてからは、アゲンストでもだいぶ飛ぶようになりました。

D-cafe:今年の女子ツアーもいよいよ大詰めですが、今後の目標を聞かせてください。

香妻:今シーズン中に2勝目をできればと思っていますが、その中でも勝ちたいのが最終戦の「LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」です。あの大会には4年前に一度出ていますが、優勝して出るのは今回が初めてです。会場は宮崎なので地元の鹿児島からも近いですし、友だちや知人もたくさん応援に来てくれると思います。今年の締めくくりの試合なので、ぜひ優勝を狙いたいと思います。

D-cafe:今日はありがとうございました。ご健闘をお祈りします。



香妻琴乃(こうづま・ことの)1992年鹿児島県生まれ。3歳でゴルフを始め、横峯さくらプロの父・良郎氏が主宰する「めだかクラブ」で練習を積む。2011年プロテスト合格。13年ステップ・アップ・ツアー初優勝。14年賞金ランク19位に入り、初のシードを獲得。2018年賞金ランキング:45位(10月28日時点)。