2018/10/19

ツアー情報

第45回 ダンロップフェニックストーナメント開催! 11月11日(日)~

今年で45回目を迎えた『ダンロップフェニックストーナメント』は、11月18日、フェニックスカントリークラブ(宮崎市)で最終ラウンドが行われ、プロ18年目の市原弘大が大会初優勝を飾った。

 首位に5打差の8位タイで最終ラウンドをスタートさせた市原。2番、6番、7番でバーディを奪うと、9番パー4では残りおよそ150ヤードの第2打を直接カップインさせイーグルを奪取。前半を「31」で折り返すと、後半も10番、13番、14番と着実にバーディを積み重ねた。17番パー3はこの日唯一のボギーとしたが、続く最終18番パー5では第3打を1メートルにつけ、これをしっかりと沈めてバーディフィニッシュ。この日のベストスコアとなる8アンダー「63」をマークし、首位タイの通算15アンダーでホールアウトし後続を待った。すると、トップに並んでいた最終組のプレーヤーが18番ホールでパーパットを外しボギー。この瞬間、市原が今年6月のツアー初優勝に続く2勝目を、ダンロップフェニックスというビッグタイトルで飾った。

「まさか勝てるとは思っていなかったので、驚いているし、まだ実感が湧かない」

 大逆転劇について、そう振り返った市原。そして、「ショットはずっとよかったし、パットも神懸っているなと思うくらいよく入った」と勝因を語ると、最後はギャラリーに向かって、

「このような素晴らしい大会で、自分の最高のプレーができて優勝することができたので、すごく自信になった。今シーズンまだ2戦あるので頑張りたい」

 とさらなる健闘を誓った。

 一昨年、昨年の覇者でオフィシャルワールドゴルフランキング1位のブルックス・ケプカや、ホストプロで同ランキング23位(※ともに大会前の順位)の松山英樹をはじめ、今年も海外からビッグネームが参戦しギャラリーを沸かせた本大会。来年も、“インターナショナルツアー”と銘打つトーナメントにふさわしい、世界トップレベルのプレーと手に汗握る優勝争いに期待したい。

 なおダンロップ契約プロでは、星野陸也が最終日に6アンダー「65」でマークし4位タイに入る健闘を見せた。

今年で45回目を迎えた国内男子ツアー『ダンロップフェニックストーナメント』(以下DPT)。
海外招待選手の顔ぶれや、戦いの舞台となるフェニックスカントリークラブの高い戦略性など、どれをとっても世界レベルを誇ります。ダンロップゴルフィングワールドでは、毎年好評の『プロサービスカーレポート』を今年も実施。練習日のスリクソン・プレーヤーたちの調整の様子や素顔、DPTに出動中のダンロップのプロサービスカーとスタッフの活動の様子などを3日間にわたって密着レポートします。どうぞお楽しみに!

11月14日 水曜日 晴れ

プロアマチャリティトーナメントが開催されるこの日、フェニックスCCのある宮崎市は朝から快晴。ただ、その分この3日間で最も冷え込んだ朝となり、コース内には霜柱も見られました。ドライビングレンジ横にあるダンロップのプロサービスカーは、6時半過ぎにオープン。クラフトマンたちは、昨日契約プロたちからオーダーを受けた作業に取りかかっていました。また、昨日からスタートさせた試打計測テストも、プロアマ戦を出場しない選手を対象に実施予定です。

この日、ドライビングレンジに最初に姿を見せたプロは、2008年大会の覇者でもあるプラヤド・マークセン選手(タイ)でした。今年、主戦場である国内シニアツアーで11戦に出場して5勝と他を圧倒し、3年連続で同ツアーの賞金王に輝いたマークセン選手。その勝利に大きく貢献したのが、7月に使用を開始した『スリクソン Z785 ドライバー』。その飛距離はレギュラーツアーの若い選手たちに混じっても見劣りしません。そんなマークセン選手は、先週、ボールを『スリクソン Z-STAR』にチェンジ。プロサービススタッフによると、気温が低くなってきた最近、同モデルのソフトな打感がしっくりくるとのことで、今月末に挑戦する米チャンピオンズツアー(シニアツアー)のファイナルQTでも、このボールを使うそうです。

今年DPTに出場するスリクソン契約の海外招待選手3人のうちの1人が、アンドリュー・パットナム選手(アメリカ)。プロ8年目の今年、米PGAツアーで初優勝を果たした実力者です。ジュニアと大学生の時に続き、今回が3度目の来日だというパットナム選手。スリクソンとクリーブランドのギアはゴルフを始めた8歳の時からずっと使っているそうです。また、今週の戦いの舞台となるフェニックスCCについては、2016年大会に出場したジャスティン・トーマス選手をはじめPGAツアーでプレーする多くの選手から、とてもよいコースだと聞かされたとか。そんなパットナム選手に、DPTでの抱負を聞いてみました。「もともとパットが得意なのですが、昨シーズンは特にアイアンが好調でした。新しいシーズンが始まった今も調子はいいので、今週もぜひいい結果を残したいと思っています」。堅実なプレーが持ち味なだけに、大会初出場でいきなり優勝争いを演じてくれるかもしれません。

出水田大二郎プロは、午前9時過ぎに1番ホールからプロアマ戦をティオフ。そしてホールアウト後、午後3時半すぎからドライビングレンジで練習を行いました。DPT出場は昨年に続き2度目ですが、ここフェニックスゴルフアカデミーには高校卒業後に練習生として在籍したため、フェニックスCCは知り尽くしている出水田プロ。ただ、「よく知ってはいますが、難しいコースなので得意ではないです(苦笑)。難しいのはやはりティショットで、どうしても林に入れてしまいます。バンカーも、表面はフワフワなのに下は硬くて難しいなと今日回ってみて感じました」と改めてコースの手ごわさを語っていました。とはいえ、もちろん気持ちは前向き。「去年は出るだけで満足してしまった部分があって、その結果、予選落ちしまって悔しい思いをしたので、今年はとにかく予選を通過したいですね。それに他の試合より知り合いも多く応援に来てくれるので、それを力に変えて頑張れたらと思います」と、静かに闘志を燃やす出水田プロでした。

プロアマ戦出場に向け、ドライビングレンジでリラックスした表情で調整に励んでいたのが星野陸也プロ。クラフトマンの今井(※月曜の記事参照)によると、今週はクラブに関するプロからの作業依頼はなく、いつも通りのセッティングで臨むそうです。それについて星野プロに聞いてみると、「去年の大会で初めてフェニックスでプレーして、ボールが沈み気味になる洋芝のフェアウェイでの打ち方が分からずに苦労したんです(苦労)。だから、その対策として今年はキャビティアイアンも持参したのですが、昨日ラウンドしてみたら、去年ほど沈まないので必要ないかなと思って」。そして、1年ぶりにプレーしたフェニックスCCについて、「やっぱりティショットが難しい」と語っていたものの、今年ツアー初優勝を達成した今、星野プロが掲げる目標はツアー賞金王。「早くもう1勝しないと、賞金王争いに加われないので。今週優勝できるよう頑張ります」と笑顔で健闘を誓っていました。

プロアマ戦の前後で、たっぷり時間をかけてドライビングレンジで打ち込んでいた稲森佑貴プロ。ダンロップのクラフトマンやプロサービススタッフたちが“サイドスピン・ゼロの男”と呼ぶ異名の通り、どの番手での曲がり幅の少ないショットを連発していました。出水田プロと同じ鹿児島出身で、フェニックスCCはジュニアの頃からプレーしている稲森プロ。「嫌いではないですけど、得意でもないです(笑)。相性としては五分五分という感じですが、今年はボールとドライバーを替えてかなり飛距離が伸びた(※火曜の記事参照)ので、最初に出場した時ほど苦ではなくなった気はしますね」と笑顔で語ります。そして、メジャー優勝者としては初めて出場するDPTについて、「優勝してからギャラリーのみなさんが僕を見る目が変わったので責任を感じますね。今週は松山さんとケプカ選手という二大巨頭がいますが、もちろん僕も優勝をめざします。最終日に最終組で回れればいいですが、その一つ前の組が最高のポジションかも。そこでバーディをとって最終組にプレッシャーをかけたいです」と、優勝争いの具体的なイメージを頭に描いていました。

この日、プロアマ戦での不測の事態に備える待機選手(ウェイティング)となった塚田陽亮プロには、大会の未使用ホールでの試打計測テスト(※火曜の記事参照)を依頼。笑いの絶えない和やかな雰囲気で行われたテストでは、塚田プロが現在試合で使用しているスリクソンのプロトタイプのボールのデータ収集も実施しました。「アプローチショットでのフェースへのボールの食いつき。これが、僕がこのボールを使っている理由で、グリーン周りの性能は間違いなく上がったと思います」と、新しいボールのスピン性能と打感を絶賛する塚田プロ。そして、それと同等の高い評価を与えているのが、夏前から愛用している『スリクソン Z785 ドライバー』との組み合わせから生まれる飛距離です。「僕は古いタイプの人間なので、あまりデータは見ないのですが(笑)、ボールの飛んでいく姿を見れば明らかに飛距離が伸びているのがわかります。僕の場合、確実にスピン量が減って、それまでフケ上がっていた球が、前に力強く進んでいくようになりましたから」と満足気に語っていました。

塚田プロに続いて試打計測テストプロアマ戦をお願いしたのが古田幸希プロ。ジュニア時代に“ぽっちゃり王子”の愛称で親しまれ、東北福祉大ゴルフ部では松山プロの次のキャプテンを務めるなどゴルフキャリアは抱負なだけに、テスト中はクラブの形状や打感への自身のこだわりについて、担当スタッフに丁寧に説明していました。そんな古田プロは今回がDPT初出場。「この大会に出るのが、プロとしての第一関門というか夢だったので、出られるのは素直にうれしいですね。たくさんの選手から“DPTの雰囲気は特別だ”と聞かされていたので、そこに自分がいることに感謝しつつ、自分がどれだけ成長できたかをお見せできる場でもあるかなと思っています」と今回の出場の意味を語ります。今週は月曜に雨の中9ホール、前日火曜日に18ホールを練習ラウンド。フェニックスCCは過去に何度かプレー経験があるそうですが、「全部寒い時期だったので、その時とくらべると身体が動いているのか飛んでいるな、という印象です」とコメント。そして、現在賞金ランキング80位で臨む今大会での目標について、「トップ10に入りたいです。そこをめざして頑張ります」と夢の舞台での抱負を語ると、ドライビングレンジに戻っていきました。

プロアマ戦出場後、ドライビングレンジでクラフトマンの今井と言葉を交わしながら『スリクソン Z785 ドライバー』を打ち込んでいたのが香妻陣一朗プロ。前日の夕方、試打計測テストでデータをとったところ、これまでのクラブよりトータルの飛距離がなんと20ヤード近く伸びたことから、プロアマ戦で使ってみたとのこと。結果は、「“セカンドをこんな位置から打ったことがない”というぐらい、メッチャ飛んでました」。今井によると、スピン量もこれまでの3分の2前後まで減ったそうで、「自分ではそうは思っていなかったのですが、吹け上がっていたみたいですね。『なんで飛ばないんだろう?』と思っていたので」と、飛距離の大幅アップに大満足している様子。ドライビングレンジでも、海からの冷たいアゲンストに向かって力強いショットを連発したことから、明日からの本番での投入を決めました。そんな香妻プロは現在賞金ランキング79位。「調子はあまりいいとは言えないのですが、ティショットが良くなったのは明るい材料ですね。優勝争いできるかはわからないけれど、応援に来てくれる人たちのためにも、頑張って上位を狙いたいですね。そして、それを上昇のきっかけにしたいです」と静かに語っていました。

香妻プロと同様、DPTでの『スリクソン Z785 ドライバー』の使用を決めたのが大堀裕次郎プロ。前日に行った試打計測テストで好データが得られたのに加え、この日のプロアマ戦でも感触がよかったためで、主に大堀プロのクラブ調整を担当するクラフトマンの中村(※月曜の記事参照)によれば、プロが理想とするフェードボールの球筋に近づいてきたのだそうです。そんな大堀プロに現在の自身の調子について聞いてみると、「ショットは悪くないのですが、それが18ホール持続しないのが今年の課題で。いい感じだなと思ってプレーしていても、終盤は耐えて耐えてというゴルフになってしまうので、ビッグスコアが出ないんです。だから、予選は通れても、なかなか上位に入れなくて」。それでも賞金ランキング41位と、シード権キープはほぼ確実の大堀プロ。「ただ、やっぱり今年も最終戦に出たいんです。そのために僕に残された猶予はあと2試合なので(笑)、どちらかでトップ3に入らないと。今週それが実現できるよう頑張ります」。ホストプロの1人として、ぜひ優勝争いを演じてほしいものです。

秋吉翔太プロは8時30分からプロアマ戦に出場。ホールアウト後はドライビングレンジに移動し、ひたすらロングショットの練習をしていました。高校の後輩である出水田プロと同様、DPTには去年に続き2回目の出場となる秋吉プロ。「去年は、この大会の前に初シードが確定していたことで、少し浮かれていました。でも今年は違います。とにかく先週悔しい思いをしたので」と、優勝争いの末に惜敗した先週の「三井住友VISA太平洋マスターズ」について自ら言及。そして、「最終ホールではミスしてしまいましたが、ショットの調子自体は悪くないです。それに、先週は火曜日以降はアルコールを一滴も呑まなかったのですが、今週も昨日(火曜日)からセーブして試合に臨もうと思っています。今週はダンロップの契約プロにとって大事な試合だし、先週の悔しさをこの試合で晴らせたらいちばんいいし、ぜひ晴らしたいです」とリベンジを誓う秋吉プロ。予選ラウンドは、現在賞金ランキング1位の今平周吾プロと、ディフェンディングチャンピオンのブルックス・ケプカ選手と一緒という大注目のペアリングです。

この日、松山英樹プロは午前7時15分過ぎにコース入り。プロアマ戦出場後は、中継テレビ局や共同記者会見に参加したあと、ドライビングで最終調整を行いました。練習中は厳しい表情を見せていた松山プロですが、その合間には、ベテランの谷口徹プロや大学の先輩である岩田寛プロ、そして秋吉プロらとリラックスした表情で談笑していました。そして、17時に練習を終えたあとは、プロサービスカーの近くでスリクソンボールのプロモーション動画の撮影。この動画は今後イベントなどで公開される予定です。そんな松山プロの予選ラウンドは、石川遼プロ、星野陸也プロとの組み合わせ。星野プロとは今年の全米オープンの練習ラウンドを共にし、会見では「試合でもぜひ一緒に回ってみたかった」と語っていました。さらに、今大会への意気込みについて、「(DPTで)勝ったのはもう4年前なのでそろそろ勝ちたい。ホストプロなので、期待も大きいと思うけれど、それに応えられるようにしっかり頑張りたい」と語っていた松山プロ。4年ぶりに優勝トロフィーを掲げる姿を見せてほしいものです。

今週DPTに出動したダンロップの4人のクラフトマンのうち、中田と佐澤はこの日で作業を終了。中村は木曜まで、今井は最終日の日曜まで現場に残り、プロからの要望に対応します。練習日初日からお届けしてきたプロサービスカーレポートは今日が最終回。そして、いよいよ45度目のダンロップフェニックストーナメントが開幕します。スリクソンやクリーブランドゴルフのギアを武器に奮闘するダンロップ契約プロたちのプレーを、トーナメント会場やテレビ中継でぜひお楽しみください。

指定練習日2日目のこの日の朝も宮崎は曇り。気温も低めでしたが、やがて雲の切れ間から日が差すようになり、昼前からは南国らしい青空が広がりました。ドライビングレンジ横にあるダンロップのプロサービスカーは、早朝6時過ぎから作業をスタート。前日に松山英樹プロからオーダーのあったグリップ交換作業などで、クラフトマンたちは車内を所狭しと動き回っていました。また、明るくなると同時にドライビングレンジには続々と選手たちが登場。クラフトマンやプロサービススタッフは、契約プロにクラブや物品を届けるなどの作業をしていました。

午前8時半過ぎ、1985年大会の優勝者でもある“レジェンド”中嶋常幸プロがドライビングレンジに登場。そこにクラフトマンの今井(※月曜の記事参照)が、『スリクソン Z785 ドライバー』のヘッド数個を持って歩み寄りました。6月から同ドライバーを使用している中嶋プロですが、1ヤードでも距離を伸ばそうと新しいシャフトを模索中。この日はシャフトメーカーの協力を得て、レーダー式弾道計測システム「トラックマン」でスピン量などをチェックしながらテストをしました。「これがいちばん弾きがいいね」と中嶋プロが評価した新たなヘッドに、これまでより軽いシャフトを組み合わせてテストをしましたが、結果は打ち出し角が高くなり過ぎ、ヘッドスピードも伸びず飛距離アップにはつながらず。引き続きベターな組み合わせを探すことになりました。10月に64歳になった中嶋プロですが、飛ばすことへの探求心は不変です。

今年もDPTには海外から5人の招待選手が出場します。その中から、スリクソン契約の2人のプロ、ジョージ・カニンガム選手(アメリカ・左側の2枚)とスコット・ビンセント選手(ジンバブエ・右側の2枚)に練習の合間に話を聞きました。現在23歳で、今年6月のカナディアンツアーでツアー初優勝を飾ったカニンガム選手は今回が初めての来日。初めてプレーするフェニックスCCの印象について、「コースコンディションは完璧だと思います。試合でプレーするのがとても楽しみ」と話します。そして自身の武器として、「すごく飛ばすわけではないけれど、まっすぐ飛ばすことには自信があります」と、2週間前のアメリカPGAツアーの試合でフェアウェイキープ率2位に入ったドライバーショットの正確性を挙げていました。一方、今シーズンはアジアンツアーを主戦場とし、日本ツアーと共催の国内試合にも出場しているビンセント選手もDPTには初出場。「日本のコースはどこも素晴らしいですが、このフェニックスもコースの状態は素晴らしいと思います。ただ、左右を木に囲まれた狭いホールが多いので、ティショットをまっすぐ打つ必要がありますね」とコースの印象と注意点を語るビンセント選手。その上で、「自分の武器は正確なアイアンショット。今週もそれを活かせればいいなと思います」と、コース攻略に自信をのぞかせていました。

今シーズンの国内男子ツアーではツアー初優勝を達成したプロが数多く誕生していますが、9月の「ISPSハンダマッチプレー選手権」を制したタンヤゴーン・クロンパ選手(タイ)もその1人。この日は朝10時過ぎに1番ホールから練習ラウンドをスタートさせました。クロンパ選手が「今シーズンいちばん活躍してくれたクラブ」と語るのが、『スリクソン Z785 ドライバー』。「飛距離が10ヤード伸びて、持ち球のドローボールのコントロールがしやすくなった」そうで、両サイドから松林が迫るフェニックスCC攻略の武器になりそう。実際、この日の練習ラウンドでは多くのホールでティショットがフェアウェイをとらえていました。そんなクロンパ選手に、今大会での抱負を聞いてみました。「僕はこのコースが好きで、3年前の大会では予選をトップタイで通過しました(※最終順位は7位タイ)。今は自信を持ってティショットを打てているので、ここでシーズン2勝目ができたらいいですね」

ダンロップでは、主催トーナメントであるDPTの会場内で、契約プロを対象にした試打計測テストを毎年実施。トラックマンなどの計測機器を使い初速や打ち出し角などのデータを収集するとともに、ツアープロの意見をクラブやボールなどの商品開発に活用しています。前日は雨で中止となったため、テストはこの日が初日。今季ツアー初優勝に続き、6月の「ダンロップスリクソン福島オープン」で2勝目を飾った秋吉翔太プロにも午前11時半過ぎからテストをお願いしました。テストはアプローチショットからスタート。開発段階の数種類のボールをクリーブランドウエッジで打ち、その打感やスピンのかかり具合についてプロの意見を聞くこのテスト。秋吉プロは、「このボールは少し硬く感じますね」とコメントしたあと、「今の評価、合ってますか?」などと、自分の感覚と硬度などのデータが一致しているかどうかを担当スタッフに確認していました。その後、別のホールへ移動し、アイアンやドライバーを使ったテストを実施。こちらのテストは、打った瞬間、「これはいい!」と叫ぶなど、にぎやかなものに。ただ、一方で、「使うクラブは第一印象で決める」と、打感やクラブフェースの見え方への自身のこだわりについて、言葉を選びながら丁寧にスタッフに語る秋吉プロでした。

そして先月、「日本オープン」というビッグタイトルでツアー初優勝を飾った稲森佑貴プロにも秋吉プロと同じ時間帯にテストを依頼しました。アプローチショットのテストでも使い、スピンの利いたショットを見せていたのが、優勝した試合でも使っていたスリクソンのプロトタイプのボール。6月末から実戦に投入したそうで、「アプローチで“ポッコン”(打出し角が高過ぎるショット)が出なくなりました。日本オープンのセッティングでも40~50ヤードのショットで適度にスピンがかかったし、高く上げるショットでは無駄に走らずに距離感が出しやすかったです」と、その完成度の高さを絶賛します。飛距離についても、「ドライバーでキャリーが3~5ヤード伸びたのですが、9月に『スリクソン Z585 ドライバー』に替えて、さらに飛距離が伸びました」と高く評価。それに加え、ご存じのようにフェアウェイキープ率が3年連続ツアー1位で、今シーズンも現時点で2位に7%近い差をつけ74.52%でトップを快走する正確性も備える稲森プロ。多くの選手がフェアウェイキープをコース攻略のカギに挙げるフェニックスCCだけに、優勝争いを演じてくれる可能性が大です。

アウトコースの練習ラウンドを終え、午後1時半すぎからドライビングレンジで練習を行っていたのが、やはり今季ツアー初優勝を飾った出水田大二郎プロ。その傍らでは、クラフトマンの佐澤(※月曜の記事参照)が『スリクソン Z785 ドライバー』のヘッドを複数用意しフィッティングを行っていました。これは、ラウンド前の試打計測テストで同モデルを打ち、キャリーが10ヤード伸びたことをデータで確認した出水田プロからの依頼を受け実施したもの。同じシャフトのまま、いくつかのヘッドをテストした結果、やはり午前中に打ったヘッドがいちばんしっくりくることが分かりました。1球打つたびに出水田プロは隣打席で練習する秋吉プロに「先輩、これいいよ!」と興奮気味に話し、秋吉プロもその飛距離に、「ハァー!それエグいな」と驚きの表情。「インパクトでポーンと球を弾いて、素直に飛んでいく」と出水田プロが表現したショットは、午後になって海方向から吹き始めたアゲンストに対しても力強く飛んでいました。明日出場するプロアマトーナメントで試し、結果がよければ実戦投入することになりそうです。

松山英樹プロは、この日7時半すぎにショートゲームエリアにあるパッティンググリーンに登場。プロサービススタッフによると、前日(月曜日)午後に宮崎入りしたものの雨だったため、コース近くの屋根付き練習場で調整を行ったとのことです。この後、ドライビングレンジで練習し、8時半過ぎに10番ホールからティオフ。ダンロップのプロサービスや商品開発担当のスタッフらを引き連れ18ホールを練習ラウンドしました。そして再びドライビングレンジへ。そこではショットごとに、切り返しでの腕や右足の動きを繰り返し確認していました。練習終了後、ダンロップのプロサービスカーにやってきた松山プロ。今春に神戸本社で初対面したというクラフトマンの佐澤と「お久しぶりです」と笑顔で挨拶を交わしたり、予選ラウンドで同組となった星野陸也プロからの挨拶に笑顔で応えたりしていた松山プロ。最後は「グリップ交換ありがとうございました」とクラフトチームの面々に感謝の言葉をかけ、コースを後にしました。

この日(13日)は、出場選手たちの調整が本格化。プロサービスカーには、塚田陽亮プロや古田幸希プロなどからクラブの作製・調整の依頼があり、クラフト作業は午後6時過ぎまで続きました。また、試打計測テストも、前日の遅れを取り戻す国内外9選手を対象に実施。夜には明日(水曜日)のプロアマチャリティートーナメントの前夜祭が行われ、出場選手たちが参加しました。明日は、そのプロアマトーナメントが開催される一方、スタッフたちは、クラブの調整や物品の支給、試打計測テストなど、本番直前の業務を行います。

朝から曇り空が広がった指定練習日初日の宮崎市。ダンロップフェニックストーナメント(DPT)の指定練習場であるフェニックスゴルフアカデミーのドライビングレンジにはまだ出場選手の姿は見えませんが、ダンロップのプロサービスカーは今年も真っ先に到着。全長350ヤードのドライビングレンジの全打席やショートゲームエリアが見渡せるプロサービスカーは、住友ゴム工業をはじめ、契約プロに関わるダンロップグループ各社の社員が多く出動するDPTのヘッドクォーター的な存在。昼過ぎからは、プロのクラブを調整・修理するクラフトマンや、物品支給などを行うプロサービススタッフ、さらに毎年実施しているクラブやボールの実打テストを担当する開発スタッフなどが続々集結しました。

昼近くになって出場選手や帯同キャディの姿が見え始めたものの、残念ながら空からは雨が。最初は小降りだったもののやがて本降りになり、練習ラウンドをする選手は数えるほどしかいませんでした。そんな雨の中、大会のインコースとして使用されるフェニックスカントリークラブの住吉コースを練習ラウンドしたのが小木曽喬プロ。DPTには今回が記念すべき初出場となります。「本当は雨は嫌いなんですけど(苦笑)、こういう日に練習ラウンドすることはあまりないので、いろいろ試しながらやりました。いい練習ラウンドだったと思います」と、この日の練習を振り返っていた小木曽プロ。コース自体はオフに何度かプレーしたことがあるそうですが、「その時期に比べるとやはりフェアウェイの芝がきれいですね。わらじのようなターフが取れて気持ちよかったです」と笑顔を見せていました。そして、コースの攻略ポイントについて「グリーン周りの外してはいけないところには絶対に打たないことですね。それと、グリーンがあまり大きくないので、センターを狙い続けていれば2パットでいけるし、あまりリスクを負わないゴルフをすればいい位置にいけるんじゃないかと思います。パットの調子は最近ずっといいので」。さらに今週の抱負を尋ねると、「ダンロップの契約プロとして試合を盛り上げたいですし、その結果、シード権を確定させられたら、推薦していただいた恩返しもできるので最高ですね」と力強くコメント。賞金ランキング77位につけている今、上位に入ってぜひその目標を叶えてほしいものです。

この日はコースに来場するプロが少なかったため、プロサービスカー内では、先週選手からオーダーを受けた分や、今週出場する招待外人選手たちのテスト用クラブの作製が主な作業となりました。その作業を担当したクラフトマンたちを紹介しましょう。まず、向かって右端は、クラフトマン歴12年、DPTには2年ぶり6回目の出動となる中村俊亮。その左が今井正人。今年ツアー初優勝を果たした星野陸也プロや稲森佑貴プロなどからの信頼も厚いクラフトマン歴24年という大ベテランです。さらにその左がダンロップ初の女性クラフトマン、佐澤理穂。昨年から宮崎にあるダンロップのクラブ工場「ダンロップゴルフクラブ(DGCC)」から住友ゴムに出向し、男女プロトーナメントの現場で“武者修行中”です。そして左端が、DGCCで特注や修理などを行う製造課を統括する中田光宏。現在放映中の「ゼクシオ テン」のTVCMにも出演している中田は、1990年代に男子ツアーのクラフトマンを務めたことがあり、今週は助っ人としてDPTに出動。今年のDPTでのクラフト作業は、ベテラン3人に期待の若手を加えたこの4人で行います。

この日はあいにくの空模様になったこともあり、練習ラウンドを行ったダンロップ契約プロは、小木曽プロのほか、同じくDPT初出場となる古田幸希プロなどほんのわずかでした。また、午後から予定していた試打計測テストも延期に。ただ、明日(火曜日)は曇り時々晴れ、最高気温21°と天気予報もまずまず。この日宮崎入りした松山英樹プロや稲森プロらは朝からドライビングレンジで調整を行う予定で、スタッフたちにとっては忙しい一日になりそうです。