2019/10/16

D-Cafeレポート

《祝・ツアー初優勝!!淺井 咲希プロ 独占インタビュー》目標はツアー2勝目。でも、初心に戻って謙虚にゴルフをしたい

今回は、今年ツアー本格参戦1年目ながら、8月の「CAT Ladies」でツアー初優勝を飾った淺井 咲希プロの単独インタビューをお届け。
同じ黄金世代である勝 みなみプロや小祝 さくらプロとの交友、愛用するスリクソン Z785ドライバー、今季の自身のプレーなどについて聞きました。


D-cafe:遅ればせながら、ツアー初優勝おめでとうございました。
淺井咲希プロ(以下、淺井)ありがとうございます(笑)!
D-cafe:優勝された「CAT Ladies」は、最終18番グリーンで2m近いボギーパットを沈めて1打差で逃げきるというスリリングな展開で、グリーンサイドで勝みなみプロと抱き合うシーンが印象的でした。そして、勝プロが淺井プロにかけた言葉がテレビ中継で流れて……。

淺井「もう、なにやってるの~、最後~」ですよね(笑)? みなみが待っていてくれたのがうれしかったし、みなみを見て私もウルっと来ました。みなみとは中学生の時から仲がよくて、私がまだパットが得意だった頃を知っているし、それから悩んでダメになったのも見ているんです。あの日は、高橋彩華ちゃんと大里桃子ちゃんもグリーンサイドで待っていてくれたのですが、彼女たち二人もパットで悩んだことがあるので、私が短いパーパットを外した時は、「あー、やっちゃうよね~、わかる~」みたいな顔で苦笑いしていたんですけど、みなみは真顔で目が死んでましたから(笑)。「えっ? ちょっと待って! マジ⁉」みたいな顔で。私はそれをあとから録画で見て、「そうなるよね~」って(笑)。だから、「なにやってるの」という言葉もふざけたわけじゃなくて、いろんな思いがこもっていたと思うし、一人だけ反応が違ったのも、今までの私を知っているからだと思います。


D-cafe:そんなドラマがあったのですね。返しのパットを決められてよかったですね。
淺井はい(笑)。
D-cafe:今日知ったのですが、淺井プロは他のプロやツアー関係者から“タータン”と呼ばれているんですね。
淺井はい(笑)。そのことはけっこういろいろなところで取り上げてもらっているのですが、由来を聞かれても困るんですよね。小さい時に自分の名前を“さき”と言えずに“タータン”と言っていただけなので(苦笑)。でも、最近は先輩プロやキャディさんもそう呼んでくれるので、親近感が湧くという意味ではいいかなと思っています。


D-cafe:淺井プロは小祝 さくらプロとも仲良しなんですよね? 小祝プロのことはなんと呼んでいるんですか?
淺井“さくちん”です。そんな感じの顔してるでしょ(笑)?
D-cafe:(笑)。“さくちん”とはいつからのお知り合いなんですか?
淺井ジュニアの頃から知っていたけど、そんなに話をしたわけじゃなくて。プロになって、ステップ・アップ・ツアーに出るようになって仲良くなりました。それからですね、一緒に食事に行ったり、気分転換に遊んだりするようになったのは。最近はプライベートでも一緒にいることが多いです。
D-cafe:優勝した試合でも、小祝プロからプレゼントしてもらったピアスをつけていたとか。
淺井はい、私の今年の誕生日にもらいました。まず、私がさくちんの誕生日にヘアトリートメントをプレゼントしたんです。さくちんは髪がきれいで、長い黒髪がトレードマークだと思ったので。そうしたらお返しにピアスをくれたんです。
D-cafe:プライベートではどんな話をするのですか? ゴルフの話題はナシ?
淺井いえ、むしろメッチャします。プライベートでもゴルフの話ばっかりです。よく話すのはクラブセッティングについてですね。私たち、ドライバーの顔の好みもセッティングも年々似て来ているんです。周りの選手が新しいモデルを使い始めても、私たちだけ古いモデルを使っていたり(苦笑)。それもまったく同じドライバーで。


D-cafe:今はお二人とも「スリクソン Z785 ドライバー」を使っていますね。
淺井はい。さくちんが、優勝した試合(サマンサタバサ・レディース)から替えたじゃないですか? で、私は前のモデルを気に入っていたのでなかなか替える勇気が出なくて、けっこう引っ張っていたのですが(苦笑)、さくちんが優勝した時に「新しいドライバー、どうだった? 気になるところあった?」って聞いたんですよ。優勝争いをしている時は、クラブに対する感覚も違うと思ったから。そうしたら、さくちんが「え? 気にならないぐらいよかった」と言うので、「じゃあ私も使ってみようかな」と。それで8月の半ばに替えたら、私もすぐ優勝したんです。
D-cafe:それはすごいですね。「785ドライバー」はどんなところが気に入っていますか?
淺井標高の高い場所での試合が続いたこともありますが、やっぱり飛距離が出るところですね。勝った試合もそうでしたが、ちょっと広めのコースでは思い切って振れるのでその分飛距離が出るし、パー5では2オンも狙えるようになりました。ただ、もう少し精度を上げないといけないなとは思っています。


D-cafe:前半戦の戦績を見ると、優勝するまではトップ10入りは1試合だけでしたね。ご自身の前半戦を振り返ると?
淺井私はスロースターターで、アマチュアの頃も最終日にスコアを伸ばす感じだったのですが、それじゃプロの試合では優勝できませんよね? そう考えて、ある時期から初日から攻めるゴルフを心掛けるようにしたんです。そうしたら、初日に首位発進できた試合があって。まあ、初日の2位から予選落ちという試合もあったのですが(苦笑)、そういう“派手なゴルフ”をした経験が生きました。「CAT~」は3日間トップの“完全優勝”だったのですが、自分では全然意識していなくて、言われてから気づいたんです。それよりもあの試合では、“こういう気持ちでプレーしたから、あの時は崩れたんだ”とか、そんなことを考えながらプレーしていました。だから、前半戦の経験があの完全優勝につながったのかなと思います。自分をコントロールして、緊張せずにプレーできるようになるまでは長かったですけどね。


D-cafe:とはいえ、ツアー本格参戦1年目でそれができるのはすごいことだと思います。
淺井今年に入ってゴルフの内容もかなり変わったのですが、それは序盤の10試合ぐらいバッグを担いでくれたピーター(ブルース氏)のおかげもあります。ピーターは藤田寛之プロの専属キャディで、男子の試合が少ない春先にお願いしたのですが、そんなスゴいキャディさんが担いでくれることにまずビックリしました。ピーターとの初戦は沖縄での開幕戦でしたが、私は、以前沖縄であった「ステップ~」の試合では全然いいプレーができなかったんです。私にはコーチがいないし、いつも同じ球しか打てなかったので……。そうしたら、ピーターが「風が強い時は、こうやって低い球を打った方がいいよ」とか、「ボールを止めたい時、藤田さんならこういう技を使う」とか教えてくれて。最初は結果が出なかったのですが、やり続けていると自分で考えて試合でできるようになって、そうものが噛み合っての優勝だったと思います。


D-cafe:今シーズンに入って成長されたのですね。さて、ツアーも終盤戦に入りました。これから、どんな目標あるいはゴルフをめざしてプレーしますか?
淺井「ゴルフ5レディス」では悔しい思いをしましたが(注:トップと1打差の2位タイ)、ツアー2勝目に思ったより早く近づけた感覚があります。2勝目が難しいとみんなは言うけれど、シブコ(渋野日向子プロ)も今季4勝しているし、私も早くしたいなという気持ちはあります。
 ただ、1勝したことで少し気持ちの余裕ができるじゃないですか? だから、初心に戻るというか、「優勝争いをしなくちゃ」と気負わずに、まず予選を通過して、目の前の一打一打をよくしていくような、謙虚にゴルフをしていきたいなと思っています。それに最近、調子の波が激しいんです。いい時は上位に入るけれど、ダメな時は予選落ちかみたいな(苦笑)。だから、もうちょっと“落ち着いたゴルフ”ができたらいいなと思いますね。
D-cafe:ツアー2勝目がすぐ近くにあるのはたしかだと思います。頑張ってください。
淺井はい、頑張ります!