2020/06/29

レポート

《“オンリーワン”に選ばれるために、こだわり抜いた素材と構造》ゼクシオ INNOVATIVE LINE Limitedシリーズ

『ゼクシオ』ブランドの“リブランディング”によって、ゴルフクラブと同様にゼクシオのバッグやアクセサリーにも2つのラインアップが誕生したのをご存じだろうか?
従来モデルを“正常進化”させた「REGULAR LINE」と、ゴルフギアの既成概念にとらわれることなく斬新な素材や構造を採用した「INNOVATIVE LINE」がそれだ。今回、後者を象徴するモデルである「Limitedシリーズ」の開発担当者に、完成までの経緯や、作り手としてのこだわりを語ってもらった。

 キャディバッグをはじめ、トートバッグやキャリーバッグ、ヘッドカバー、ポーチ、さらにボールまでトータルでコーディネートできる『ゼクシオ INNOVATIVE LINE Limitedシリーズ』(以下、Limitedシリーズ)。その核となるキャディバッグの開発は、ゼクシオ・ブランドの商品に対する市場調査の結果を分析することからスタートした。

 そこで分かったのは、ボールやクラブも製造する「ギアブランド」のシェアが年々減り、代わりにアパレルをメインビジネスとするブランドのシェアが上昇しているという事実だった。

「キャディバッグ市場にアパレルメーカーが参入し、ユーザーにとっては選択肢がぐんと広がりました。それらのモデルがファッション雑誌などでも紹介されたことで、キャディバッグの見方が多様化し、いかにもスポーツ用品というモデルではないものを選びたいというゴルファーが増えた。ファッションに対し、こだわりや自分なりの基準がある人なら、当然キャディバッグにもこだわりますからね」

 Limitedシリーズの開発を担当した住友ゴム工業(株)スポーツ事業本部 商品開発部の龍田勝はそう語る。また、ギアブランドに代わってアパレルメーカーのモデルが人気を集める背景には、クラブを購入した際にキャディバッグも同じブランドで買い揃えるゴルファーが減ったことも考えられた。

 さらに、ダンロップの会員制サイト「G-ATTEND」内で行ったアンケート調査では、キャディバッグを選ぶ理由として、60代、70代がブランドや機能を重視するのに対し、40代、50代はデザインを重視していることが分かった。

「つまり、これからのキャディバッグの企画開発では、従来のギアと連動したデザインイメージに頼るだけではダメで、個々の商品にしっかりと特長を持たせ、それぞれのユーザー層がワクワクするようなモノづくりをする必要があると考えました」(龍田)

 とはいえ、クラブと同様に従来のゼクシオのキャディバッグにも根強い人気があり、その中には、ゼクシオのクラブユーザーも多い。そんなユーザーを満足させ、なおかつ新たなユーザー層を発掘、獲得するための手段として、ラインアップを2つに増やすというアイディアが生まれた。それが、年齢が高めの従来のゼクシオファンのための「REGULAR LINE」であり、年齢が若く、モノを選ぶのにデザインを重視するゴルファーのための「INNOVATIVE LINE」だった。

想定ユーザー 商品コンセプト
XXIO REGULAR LINE ゼクシオブランドのアイテムを愛用した経験のあるゴルファー ギアブランドらしい、愛用することで安心感が得られるスタンダードモデル
XXIO INNOVATIVE LINE ゼクシオブランドのアイテムを使ったことがない、あるいは経験の少ないゴルファー ギアブランドのイメージにとらわれず、デザインや上質感を重視したオリジナリティに富んだモデル

「モノにこだわる人というのは、“他人と同じモノは持ちたくない”“質の良いモノを持ちたい”はず。そういうユーザーを想定しました」

INNOVATIVE LINEがターゲットとするゴルファーについて、龍田はそう話す。そして、“革新的な”という名を冠した理由について、具体的なユーザー像を挙げて説明する。

「“イノベーター”という言葉には、先駆者的な意味合いが含まれると思います。たとえば、カモフラージュ(迷彩)柄というは、流行に敏感な人たちがまず取り入れ、それが商品としてだんだんこなれていって誰もが持つようになりました。その頃には、最初に使い始めた人たちはすでに違うものを持っているのですが(笑)、その後、カモ柄は廃れることなく、ジャンルのひとつとして定着しました。今回、カモ柄を発掘したような層の人たちを取り込みたくて、INNOVATIVE LINEと名づけたのです」

 そんなINNOVATIVE LINEのコンセプトを具現化したモデルが「Limitedシリーズ」であり、キャディバッグ『GGC-X115L』である。その開発にあたり、まず龍田がめざしたのは、ゼクシオという一大ブランドが生まれ変わることをアピールすることだった。その上で、ユーザーのこだわりに応えるにはどうすればいいか知恵を絞った。

「“奇をてらわない”“大人のこだわり”といった点を意識しながら、キャディバッグの作り手としてのこだわりを表現するにはどうすればいいかを考えました。そこでまず着目したのが生地でした」

 キャディバッグの素材としてありきたりな中国製のポリウレタンやエナメルは論外としても、帆布や天然皮革は、ダンロップが独自に設ける社内基準をクリアできない。そんな時、龍田は素材メーカーから提示された生地サンプルに目をとめた、それは、ポリエステル糸をジャガード織した生地だった。

「これは斬新だと思いました。織物なので柄の自由度が高いし、色も白く織ったものを後から染めるので融通が利きます。それで素材メーカーの試験データを確認したところ、強度などの基準をクリアできるということで、これは使える、と」

 ジャガード織は、1万本もの経糸(たていと)を1本ずつ複雑に動かすことで、文字や紋様を織りなすことができる。当然、高度な職人技が必要で、『GGC-X115L』に使われるジャガード織は、織物の産地として有名な福井県で製造されるものだ。表面を見ると、模様に光沢と立体感があり、その手触りはシルクのような滑らかさ。キャディバッグの素材としては、たしかに斬新であり革新的といえた。

 そして、生地へのこだわりは、表地だけでなく裏地にも及んでいる。そこには龍田のユーザーとしての経験が生かされている。

「キャディバッグに限らず、バッグの裏地というのは、安いものだと手触りがザラザラしてガッカリします(苦笑)。それを何とかしたいと考え、『GGC-X115L』の裏地には、高級バッグにも使われる手触りのよいポリエステル布を採用しています」

 そんな素材の斬新さを追求する一方で、それぞれのパーツに目をやると、ギアブランドならではのゴルファーへの細やかな配慮がなされている。たとえば、サイドポケット内にはマチを設けて容量を増やして収納しやすくし、背面ポケットの内張りには、腕時計などの貴重品を入れても傷つかないよう柔らかなベロア生地を採用している。

「そうした細部へのこだわりは、私のゴルファーの経験のほかに、ツアープロ用バッグもヒントになっています。プロが使うバッグを研究していく過程で採用した便利な機能や構造は、市販用にも反映させてはどうかと考えたのです」(龍田)

 さらにネームタグにも、Limitedと呼ぶにふさわしいこだわりが反映されている。小さなダイヤの粒を無数に散りばめたような輝きを放つことから「革の黒ダイヤ」の異名をとる「姫路黒桟革」を採用したのだ。

「仕上げの一つとして、何か光るものを加えたいと思ったのです。当初はかつてネームタグに使われていた一般的な牛革で作ることも考えましたが、それでは面白くない。そんな時、ゼクシオのギフト商品として、黒桟革を使ったグリーンフォークを開発しているのを知って、ぜひネームタグにもこれを使おうと」

 国産の黒毛和牛の革だけを使い、「なめし」と「漆塗り」という日本古来の2つの伝統技法を融合して生まれる姫路黒桟革。摩擦に強いことから、戦国時代には大将クラスの甲冑に用いられ、現在は剣道などの武道具に使われている。革の下地づくりに3か月、最低でも8回から9回塗り重ねるという漆塗りに1か月を要するため、完成まで4か月もかける手の込みようだ。

 最上級の革のネームタグという最後のピースによって、Limitedシリーズのキャディバッグは完成した。

「流行を先取りする人たちのさらに先を行くモデルとして、こだわりを形にしました。その意味では、チャレンジングな、当初のイメージに近いキャディバッグができたと思っています」(龍田)

 だれもが持っている人気ナンバーワンではなく、自分だけのオンリーワンをめざして開発されたゼクシオ INNOVATIVE LINE Limitedシリーズ。その革新性を、ぜひ店頭で目で見て、手で触れて確かめていただきたい。

ゼクシオ INNOVATIVE LINE Limitedシリーズ  ※すべて数量限定商品。すべてメーカー希望小売価格。キャディバッグのみグレーもあり。

※取り扱い店舗はこちらをご覧ください。