2020/10/02

SRIXON製品情報

《「スリクソン ZXシリーズ」開発者インタビュー①》 めざしたのはボール初速世界No.1のドライバー!

まもなくスリクソンから登場する最新モデル『スリクソン ZXシリーズ』。国内では星野陸也プロがドライバーを使って今季の開幕戦に勝利し、松山英樹プロもプロトタイプのドライバーを武器に米ツアーで優勝争いを演じるなど、早くもツアープロたちの武器になっている。日米の開発スタッフをまとめ、商品化に導いた開発陣のリーダーが、モデル完成までの軌跡を2回にわたって語る本企画。1回目の今回はドライバーにフォーカスする。

「プロが使用するドライバーというのは、支給を始めて2、3週間もすると、プロからの評価が分かります。それには良い評価もあればもちろんよくない評価もあり、後者については改善を重ねながら次期モデルにつなげる、というのが基本的な流れです。そのため、前モデル(「スリクソン Z785」「同Z585」)が発売される頃には、すでに『スリクソン ZXシリーズ』の最初のプロトタイプはできていましたね」
 スリクソンのゴルフクラブの開発責任者である住友ゴム工業(株)スポーツ事業部 商品開発部 クラブ技術グループの平野智哉は、『スリクソン ZXシリーズ』(以下、ZXシリーズ)の開発のスタートについてそう語る。
 そして「ZXシリーズ」のドライバーが、これまでのスリクソンのプロモデルと異なる点。それがターゲットとするゴルファーだった。
「最終的なゴールを、“PGAツアーの選手がしっかり使えるドライバー”に設定しました。もちろん、過去のZシリーズもプロが使えることをめざしてはいたものの、“ぜひPGAの選手にも”という思い入れは弱かったように思います。それを今回は完全にPGAの選手に目標を定めて、本気で開発をやってきました。その中には、もちろん松山英樹プロも入っています」
 松山プロをはじめ世界最高峰のツアープロたちを満足させ、武器として手に取ってもらえるドライバーとはどんなモデルなのか。やはり決め手になるのは飛び、さらに突き詰めればボール初速だという。
「もちろん反発係数を高めることは大事ですが、プロに反発係数の数値を伝えてもピンときません。彼らがトラックマン(弾道測定器)を使って絶対に見るのがボール初速なんです。いくら弾道がきれいで、飛んでいるように見えても、初速が速くなっていなければ新しいドライバーには替えません。そして、ボール初速は、反発係数をはじめ、重心位置やロフトなど、様々な要素の組み合わせによって決まります。そのため、ZXシリーズでは、海外ブランドのドライバーを含め、ボール初速をナンバーワンにすることを最大の目標にしたのです」
 ただし、PGAツアーのプロにドライバーを打ってもらうには、その前に通過しなければならない関門がある。
「彼らはまずドライバーの形状を見ます。そこをクリアしないと次のステップに進めません。プロが求める形を、精度良く作り上げるにはどうするか。検討を重ねた末、これまでのカップフェースに代わり、“フェース開口型”といわれるシンプルな構造のヘッドを採用しました。これがプロの求める形状に仕上げるのに最適な構造だと判断したのです」
 平野いわく、ツアープロが見るのはヘッドの後方ではなく、シャフト~ネック~フェースという一連のライン。カップフェース構造では、ちょうどその線上で溶接を行うが、その部分にアマチュアでは気づかないわずかな歪みや出っ張りを感じとると、アドレスでの違和感につながるという。
「その点、フェース開口型ではその部分は一体化しているので、表面がすっきりしていてバラつきも小さいです。そのため目標がとりやすく、海外のプロからは“スムーズに構えられる”“すごくセットアップがしやすい”と高く評価してもらいました」
 新たなヘッド構造を採用することで、形状という最初の関門をクリアしたのだ。

住友ゴム工業(株)スポーツ事業部 商品開発部 クラブ技術グループ
平野智哉(ひらの・ともや)

2001年入社。主にゼクシオのゴルフクラブの設計を担当したのち、2012年から4年間、アメリカ・クリーブランドゴルフ社に出向し、R&Dテクニカルコーディネータ兼プロ対応業務に従事。2016年から再び国内にてゴルフクラブの設計を担当し、Z85シリーズよりスリクソンモデルの開発責任者を務める。

 だが、ここで新たな課題が浮かび上がった。カップフェースは、反発を高めるのに非常に有効な構造である。世界ナンバーワンのボール初速を実現するには、別の方法で反発を上げることが不可欠だった。そこで開発陣は他社製品の技術や構造も参考にしつつ、これまでの自社の知見を結集して研究、テストを重ねた。
「フェース、クラウン、ソール。どこがどのように反発アップに効いているのか。デジタルシミュレーションをしたほか、金型もこれまで以上にたくさん作りました(笑)。最後の細かい部分は、やはり試作品を作って突き詰める必要がありますから。そうして生まれたのが、新技術『リバウンドフレーム』です」
“軟”(フェース)→“剛”(フェース周辺部)→“軟”(フェース折り返し部)→“剛”(クラウン・ソール)と、剛性の高いエリアと低いエリアを交互に配置した4層構造によってフェースを大きくたわませることで、反発性能を大幅にアップさせることに成功したのだ。
 フェース面の肉厚差を小さくしつつ、たわみの支点をボディ側(後方)に設けることでフェースのたわみが大きくなり、高反発エリアは前モデルより1割強広い111%を確保。また、軽比重のクラウンの採用で重心が深くなったことと投影面積の拡大により、左右の慣性モーメントが大きくなったことも高反発エリアの拡大につながった。その結果、ショットはタテ、ヨコへのバラつきが減り、飛距離が安定する。

「ヘッドのテイストは前モデルから大きく変えました。たとえば、Z585はヒール側にボリュームをもたせて、つかまりやすさを重視した造りでしたが、『ZX5』は、後ろをふくらませて投影面積を大きくし、なおかつシャローバックにして球が上がりやすいイメージを出しました。オートマチックにドーンと打っていけるモデルと言えます。一方、『ZX7』については、トゥ側のやや尖っていた部分をなくすなどの調整を行い、本当にオーソドックスな形に仕上がっています。先入観を与えず、プロが自分のショットをイメージしやすい形状にしています」
 平野によれば、トゥ・ヒールが対称に見える、オーソドックスな形こそ松山英樹プロが昔から好むヘッドだという。それに加え、前出のすっきり見えるフェースを実現したことで、松山プロはPGAツアーでプロトタイプを投入するに至った。

 実は、PGAツアーのプロをターゲットにしたZXシリーズの開発には、従来の日本のスタッフに加え、アメリカ・クリーブランドゴルフ社の研究開発チームのメンバーも参加した。そして、プロトタイプのテスト、評価も、日本以上にアメリカ国内で頻繁に行ったという。
「下部のコーン・フェリーツアーやPGAツアー・カナダにも、スリクソン契約プロはかなりいます。しかも、彼らの中にはクリーブランドゴルフ社のあるカリフォルニア州を拠点にしているプロも多いため、まず彼らを対象にテストをしました。そして性能や品質についてある程度確認が取れたら次のレベルに進み、満を持してPGAのプロにテストしてもらいました。そうしたプロセスは、前作までとの大きな違いです」
 およそ2、3か月に一度はプロトタイプを制作しては、テーマを絞ってテストを実施して確認。その中には、昨年11月の宮崎・ダンロップフェニックストーナメントの練習日に行ったテストも含まれるという。
 理論の上ではボール初速が上がるはずなのに、初期のテストではプロによっては思い通りのデータが出ないこともあった。「毎回感じることですが、そのズレの原因を突き止めて、最後にモノに反映させるのが一番難しい」と平野は苦笑する。だが、その後、テスト結果をフィードバックしては設計変更を加え、再びテストというサイクルを繰り返した結果、今年1月時点ではおよそ6割の選手についてボール初速のアップが確認できた。その後、その確率は上がり続けていることから、開発陣はたしかな手応えを感じている。何より松山プロが大きく飛距離を伸ばし、PGAツアーで結果を残していることが、当初の目標を達成した証だろう。
 最後に、アマチュアゴルファーにとって、ZXシリーズのドライバーはどんなモデルなのか、平野に聞いてみよう。
「冒頭でお話したように、ZXシリーズはPGAの選手が使えるよう、2年という月日をかけてしっかり作り上げた自信作です。同時に、アマチュアのみなさんに使えるモデルでもあります。ZX7はヘッドがややコンパクトに見えますが、ZX5はより慣性モーメントが大きく、打点のバラつく方に向いています。シャフトもオリジナルの『Diamana ZX シャフト』(三菱ケミカル社製)をはじめ、クラブとしてベストになるものを組み合わせていますので、世界トップレベルのプロが求める飛びと性能をぜひ体感していただきたいですね」

◆『スリクソン ZXシリーズ』ドライバーの詳細はこちらをご覧ください。
https://sports.dunlop.co.jp/golf/srixon/zx/