2021/01/29

XXIO製品情報

《キャリーで飛ばす。それがゼクシオアイアン伝統のこだわり》NEW『ゼクシオクロス アイアン』デビュー!

Q:まずお聞きしたいのですが、飛び系アイアンのユーザーは増えているのでしょうか?
杉本:はい。当社では、「ゼクシオ」アイアンが“やさしく飛ばせるアイアン”の代表格として、常に進化を続け、モデルチェンジするたびにヒットを記録してきたので、ゼクシオがストロングロフト化をけん引している自負がありました。そこに、7番アイアンのロフトが27°未満の、いわゆる飛び系アイアンが登場し、初代の「ゼクシオクロスアイアン」(以下、ゼクシオクロス)も多くのお客様に愛用されたこともあり、今では飛び系アイアンの市場はアイアン全体の2割に迫るほどになっています。

Q:年々人気が高まっているのですね。それは、やはりアイアンにも飛距離を求めるゴルファーが多いということなのでしょうね。
杉本:そうですね。これは、初代「ゼクシオクロス」に対して寄せられたユーザーの声でもあるのですが、飛び系アイアンを使っているのは、「アイアンでもっと飛ばしたい」「アイアンでも飛びが最優先」というゴルファーです。そして、同じ距離を飛ばすにしても、「人より一番手でも短いクラブで飛ばしたい!」というこだわりのあるゴルファーだと思います。

Q:ということは、NEW「ゼクシオクロス」も、飛ばすことを最大の目標に開発されたのでしょうか?
杉本:はい。飛距離を伸ばすために、まずはボール初速を上げることを目指しました。ただし、アイアンはグリーンを狙うクラブですから、いくら飛ばしたいからといって、たんにロフトを立てるだけでは、ランが増えてグリーンをオーバーしてしまいます。ですから、グリーンに止めるために、ある程度高さを出し、なおかつボール初速を上げることを目標にしました。

Q:それを実現するために、どんな技術や構造を採用したのでしょうか?
杉本:ボール初速を上げるための工夫として、「ゼクシオ イレブン」アイアン(以下、イレブン)で開発した、ボディを2分割した「チタン複合4ピース構造」を、「ゼクシオクロス」向けにアレンジして搭載しました。具体的には、まず、フェースの肉厚をイレブンよりも薄くし、反発性能をアップさせました。それに加え、フェースのより下側をたわませるために、フェースに近い部分のボディ内側の溝を深くしつつ、その部分のソールも薄く設計しました。それによってボディもたわみ、反発性能をさらに高くすることに成功しました。

Q:ボディがたわむアイアンというのは、かなり画期的なのではないですか?
杉本:ひと昔前のキャビティアイアンは、ソール部分は金属の塊のようになっていて、当然ボディの内側の溝もありませんでした。それに、フェースも厚いためにほとんどたわみませんでした。それに対し、「ゼクシオクロス」は、フェースが薄い上、それをボディが巻き込んでたわむので、フェース下部の反発性能を初代にくらべ22%もアップさせることができました。ウッドと同様に2つのパーツを溶接して作る中空アイアンのヘッドというのは、重心は高くなるものの、フェースは下部まで薄くすることができます。「ゼクシオクロス」は、そのメリットを取り入れつつ、中空アイアンと違いフェース上部を軽く作れるので、重心も低くできたのです。

Q:重心を低くすることによって、ボールを上がりやすくしたのですね。
杉本:はい。それに加え、「ゼクシオクロス」は、イレブンよりもフェース高を低く設計することでも、重心を低くしています。ただ、フェース高を低くすると重心が下がる反面、フェースのたわみは小さくなって、反発性能の絶対値は小さくなってしまいます。それに、あまりフェース高を低くしてしまうと、構えた時にアイアンらしく見えません。そのため「ゼクシオクロス」では、アイアンらしく見せながら、4ピース構造によって反発性能を高めるとともに、さらに重心を下げるために、ボディ内部にウエイトを配置し、ソール幅もイレブンより広くとっています。

Q:冒頭のお話にあったように、「ゼクシオクロス」のヘッドは、たんに飛ばすだけでなく、高さも出るということですね。
杉本:その通りです。また、今回はシャフトも新たに開発し、よりボールが上がりやすくしています。たとえば#7の場合、ボールを遠くに飛ばすには、打ち出し角を上げるのが効果的です。そのために新しいシャフトは、先端をやわらかくして打ち出し角を上げ、ヘッドスピード38m/sで#7を打った場合、初代モデルにくらべ4.1ヤードの飛距離アップにつなげています。

Q:そのヘッドスピードから考えると、4ヤードというのは大幅な伸びだと思います。
杉本:はい。しかも、弾道も十分な高さが出て、グリーンに上から落ちるので止まりやすくなるはずです。

Q:そして今回のモデルには、新たに「#0」が設定されています。これは、どんな経緯で生まれたのでしょう?
杉本:きっかけは、開発陣の中で「アイアンはいったい何ヤードまで飛ばせるのか?」という話題が出たことでした。ハイブリッドは、“フェアウェイウッドは長くて打ちにくいし、ロングアイアンはボールが上がりにくい”というゴルファーの悩みを解消するために生まれたクラブですが、それでもクラブ長はアイアンにくらべ長く作られています。そこで、「アイアンと同じ長さでどれだけ飛距離を伸ばせるのか?」と考え、#0を作りました。まさにゼロからの発想だったので、ネーミングも“ゼロ”にしました。

Q:なるほど。とはいえ、ロフトは極端に少ないわけではないのですね。
杉本:はい、17°ですから、ドライバーや3Wほどのロフトではありませんが、開発にあたっては、まず、何度くらいのロフトであれば打ちこなせるのかを検討しました。ロフトは、立てようと思えばいくらでも立てられるのですが、先ほどもお話ししたように、ある程度打ち出し角を上げないと飛距離が出ません。しかも、想定ユーザーは、それほどヘッドスピードが速くないゴルファーで、プロのように打ち込めるわけではないので、やはりある程度ロフトをつける必要がありました。

Q:遠くに飛ばすために、ロフトのほかにどんな工夫をされたのでしょう?
杉本:まず、#5以降に採用した4ピース構造とは違い、フェース、ボディ、ウエイトという3ピース構造にしています。そしてフェースは、ゼクシオのアイアンとして初めて、チタンカップフェース構造を採用しました。カップフェースにすることでフェース下部まで薄くでき、反発性能を高めることができます。しかも、カップフェースでは、トップブレードも比重の軽いチタンになるため、より重心を下げることができます。

Q:ボールも上がりやすいということですね。すると、#0はハイブリッドとどこが違うのでしょうか?
杉本:まず、ミドル&ショートアイアンと同じイメージで打てるというメリットがあります。それに、ハイブリッドにくらべフェース面がストレートなので、方向が合わせやすい。さらに、クラブ長が短い分、ミート率も向上します。

Q:操作性も高いということですね。では、最後に開発者としてメッセージをお願いします。
杉本:ゼクシオのアイアンは「あと1ヤード飛んでいればバンカーを超えたのに」という声に応え飛距離を伸ばすことを、初代からずっと開発コンセプトにしてきました。つまり、あと1ヤードを、ランではなく、キャリーで飛ばすのがゼクシオブランドのアイアンのこだわりなのです。さらに、ゼクシオアイアンのいいところは、よくスピンがかかることで、それは、構造に加え、フェースの溝にも工夫をこらしているからです。ボール初速を上げ、打ち出し角も上げてキャリーで飛ばし、スピンをかけてグリーンで止める。そうした基本性能を進化させたのが新しい「ゼクシオクロス」なので、ぜひコースで打っていただきたいと思います。

住友ゴム工業㈱スポーツ事業本部 商品開発部 クラブ外注技術グループ
杉本靖司(すぎもと・やすし)

1993年入社。以来、一貫してゴルフクラブの開発に従事し、「ゼクシオ」は初代から現行モデルまで主にヘッドの開発を手掛ける。「ゼクシオクロスアイアン」は初代に続き開発を担当。

◆『ゼクシオクロスアイアン』の製品情報はこちらをご覧ください。
https://sports.dunlop.co.jp/golf/xxio/cross2/