2021/02/10

SRIXON製品情報

《松山英樹プロは、飛距離が魅力のXVをチョイス!》 誕生! NEW『スリクソン Z-STARシリーズ』

矢田翔也(やた・しょうや、左)
住友ゴム工業㈱スポーツ事業本部 ゴルフビジネス部 ゴルフボールビジネスグループ
2010年入社。経営企画部やアメリカ駐在(クリーブランドゴルフ)を経て、2019年よりゴルフボールの商品企画を担当。NEW「スリクソン Z-STARシリーズ」が自身が手がけた初の製品となる。

井上英高(いのうえ・ひでたか、右)
住友ゴム工業㈱スポーツ事業本部 商品開発部 ゴルフボール技術グループ 課長代理
2011年入社。ゼクシオなどのディスタンス系ボールの開発、研究部門でのゴルフボールの材料研究を経て、2016年より「スリクソン Z-STARシリーズ」の開発を手がける。

「前作の『スリクソンZ-STARシリーズ』も、プロが求める“より飛んで、よく止まるボール”という目標を、高い次元でクリアできていたと思います。その次期モデルを開発するにあたり、やはり『Z-STAR』(以下、STAR)は、ソフトな打感とアプローチスピン性能、『Z-STAR XV』(以下、XV)は、数あるツアーボールの中でも最大級の飛びという、それぞれの長所をいかに伸ばすかを考えていきました」
 NEWモデルの開発のスタートについて、商品企画を担当した矢田翔也はそう振り返る。とはいえ、矢田が言うように、前作の完成度が高かったために、長所を伸ばすのはそう簡単ではない。その難しさについて、前作に続き開発を担当した井上英高は、次のように話す。
「たとえばXVで飛びを追求していくと、アプローチでのスピン性能が悪くなることも考えられます。一方のSTARも、スピン性能を上げれば上げるほど、ドライバーの飛距離性能では不利な方向に働く。そうした相反する要素をうまく調整しながら、具体的な数値目標を少しずつ固めていきました」
 では、長所を伸ばそうとすることで生じるデメリットをカバーするために、どんなことをしたのか。まず、STARのケースから見てみよう。前作との違いのひとつで、井上がキーポイントとして挙げるのが、ウレタンカバーを0.5ミリから0.6ミリに厚くした点だ。
「わずか0.1ミリですが、割合でいえば2割増しになるため、私たち技術陣にはかなりのチャレンジでした。カバーを厚くすれば、ドライバーでは余計なスピンが増えるからです。ただ、0.1ミリ厚くすることでアプローチスピン性能がはっきり伸びるならば、勝負をかけようということになりました」(井上)
 ボールのパーツの中で最もやわらかいカバーを厚くしたことで、STARのアプローチスピン性能は大きくアップした。さらに、STARの長所であるその性能をより高めるために、コーティング剤にも改良を加えた。
「前作で採用した高分子材料SeRM®(セルム ※1)をはじめ、配合する材料の種類や割合を一から見直しました。その結果、フェースにより食いつき、アプローチスピン性能がアップしています。ここも、STARにとってのキーポイントです」
 アプローチスピン性能が向上した証しとも言えるのが、昨シーズンのツアープロの活躍だ。稲森佑貴プロは「日本オープン」で、香妻陣一朗プロは「三井住友VISA太平洋マスターズ」で、それぞれ大会直前に新しいSTARにスイッチ。どちらも高速グリーンを相手に巧みな寄せを見せ、見事優勝を飾った。
 だが、すでに述べたように、アプローチスピン性能とドライバーの飛距離性能は相反する関係にある。この問題を解決するために、井上たち開発陣はいったい何をしたのか。
「実は、カバーは厚くしただけでなく、最適な硬度に設定しています。プラス、樹脂を構成する要素の配合を変えることで中間層にも改良を加えました。それにより、インパクトの瞬間に生じるリコイルの量をボール全体として増やし、その効果でドライバーでのムダなスピンを減らすことができたのです」
 リコイルとは、インパクト直後にボール内部で起こる“ねじり戻し”の動きのことで、飛距離の妨げになるバックスピンを減らす役目を果たす。さらに、新しいSTARでは、もうひとつ“飛ばしのスパイス”を効かせた。
「いちばん体積が大きく、反発性能を左右するコアにも改良を加えました。それにより、初速を伸ばすことができました。STARは、前作でもソフトタイプのツアーボールの中で、飛距離の優位性は認知されていましたが、NEWモデルも、飛びに関して他に負けない性能を実現できました」(井上)
 つまり、STARはアプローチスピン性能だけでなく、飛距離の面でも極めて高い性能を備えているのだ。

(※1)
超分子ネットワークを応用した「SLIDE-RING MATERIAL」の略称。架橋点が自由に動くネットワーク構造をもち、形状復元性、耐傷特性、耐衝撃性、振動吸収性にすぐれる。

 一方、代々ドライバーの飛距離を追求してきたXVは、今回のモデルチェンジでも、その目標を達成している。コアに、新たに開発した高反発助剤を配合することで、これまで以上に反発性能を上げることに成功したのだ。
「助剤は、当社の材料研究チームが開発した複数の助剤のひとつを採用しました。ボールは、インパクトの瞬間に様々な変形を見せますが、この助剤を加えることで、無駄な変形を減らすことができました。変形によって生まれるエネルギーを、そのままボール初速のアップにつなげています」(井上)
 それに加え、XVでは、中間層に、よりムダなスピンを抑える効果のある新開発の樹脂を採用した。つまり、コアで反発性能を上げつつ、中間層でムダなスピンを抑えることで、ボールを飛ばすために必要な「高初速・低スピン化」を実現したのである。
 飛距離を左右する風に対しても対策を講じた。ディンプルの改良だ。数種類の形状、大きさからなる338個のディンプルを、平均で4%深く設計したのである。
「一般的に、ディンプルは深くすると弾道を低く抑えることができます。ただ、抑えすぎるとキャリーが足りなくなるので、遠くに飛ばすために最適な弾道の高さについて、もう一度見直しました。その結果、わずかに弾道を抑え、風に対する直進性を高めています。また、STARについても、カバーの変更でスピンが増えることも考慮し、"吹け上がり”を抑えた、強い弾道を実現するために、XVと同じディンプルを搭載しています」(井上)
 XVの飛距離性能がアップした一方で、気になるのがアプローチスピン性能だが、これについても進化を遂げた。STARと同じくSeRM®を含むコーティング剤を採用したことで、フェースへの食いつき感が増し、スピン量のアップにつなげている。
 事実、プロやトップアマチュアによる実打テストでも、食いつく感じや着地した後に戻る感じが、前作よりも上がったという声が多く聞かれたという。データでも人間の感覚でも、スピン性能が上がったことが証明された形だ。
 そして、今回のNEWモデルは、中身だけでなくパッケージデザインにも変更が加えられた。そのデザインコンセプトについて、矢田はこう話す。
「ひと言でいうと、とにかくシンプルに、ということを心掛けました。ただ、シンプルな中にも、XV、STARそれぞれが店頭に並んだ時に、はっきり個性が出るようにということを意識しました」
 たしかに、1ダース入り箱のデザインは、XV、STARともに黒を基調にしたシンプルなデザインになっていて、従来とはガラリと変わった印象を受ける。ここまで大きな変更を加えることに、企画の段階で反対の声は上がらなかったのだろうか。
「新しいデザインについて、社内でも賛否がはっきり分かれたのは事実です。実はこれまでも大きく変えようと言いながら、スリクソンボールの最高峰モデルということもあり、変えすぎることで今まで培ってきたレガシーのようなものが崩れることを恐れて、“ここは変えてはダメだろう”という部分がありました。それを今回は、そういうこだわりは捨てて、思い切って変えてみようと」(矢田)
 そうして誕生した新しいパッケージデザインは、販売店や関係者を対象に開催した昨秋の展示会で披露された。そこでの反響について、矢田は言う。
「“変わりましたね!”という声は多く聞きました。これまでダンロップのデザインというのは、よくいえば昔からのファンを大事にする、悪くいえば、突き抜けるような変化がないというのが一般的な評価でした(苦笑)。それが今回、いい意味で驚いてもらえたのは、私としては“やった!”と思いましたし、店頭でも手に取ってもらえるのではと期待しています」

 そして今回、新たにZ-STARシリーズのラインアップに加わったウレタンカバー3ピースボール『Z-STAR ◆(ダイヤモンド)』(以下、STAR◆)。飛距離性能とアプローチスピン性能に関しては、ともにXVとSTARの中間という位置づけながら、アイアンのスピン性能では飛び抜けてすぐれているというボールだ。
 このボールが生まれたきっかけは、もっと多くのプロに「Z-STARシリーズ」を使ってもらおうと、矢田ら商品企画チームがアメリカのスタッフとも協力して、世界ランキング上位100人のプロたちがどんなボールを愛用しているのかをリサーチしたことだった。すると、意外なことに、ロング&ミドルアイアンでスピンが多くかかるタイプのボールを好むプレーヤーが多いことがわかった。
「正直なところ、そこは商品企画としてフォーカスしてこなかった部分で、歴代のZ-STARシリーズを見ても、アイアンのスピン性能を売りにしたモデルはありませんでした。でも、世界のトッププロたちにかなり大きなニーズがあるとわかった以上、より多くのプロに満足してもらうためには、もうひとつモデルが必要だろうと」(矢田)
 アイアンでのスピン量を増やすという視点がなかったのは、技術陣も同様だった。そのため、井上たちは、アイアンでのスピン量を増やすには、何がいちばん有効なのかを探ることから始めた。
「カバーはSTARと同じ0.6ミリにすることでスピン量は増えますが、それだけでは十分ではないだろうと。そこで、他の要素も検討した結果、いわゆるコンプレッションを硬くしたほうが、ロング&ミドルアイアンでスピンがかかりやすくなることがわかりました。そのために、コア、カバーともにSTARにくらべわずかに硬く設計しています」
 その結果、当初意図した通りにアイアンショットでよりスピンがかかるボールが完成。試打したプロからは、「最高到達点の手前でフッと浮きあがる」と、弾道でもスピンの多さを感じさせるコメントが多く聞かれた。それを受け、「アイアンのスピン量の違いを感じ取れるプレーレベルのゴルファーには絶対にニーズがあると確信」(矢田)したことから、テスト販売という形で市場に投入するに至った。
 こうして3モデルとして新たなスタートを切るスリクソンZ-STARシリーズ。最後に、矢田、井上の二人に、あらためて作り手としての思いを聞いた。
「中身の進化に加え、パッケージデザインの変更や3種のラインアップと、今回はいろいろな意味で“攻めた”と思っています。とくに3つのモデルを揃えたことは、Z-STARシリーズの価値を上げることにもつながると思います。開発陣の努力で、3つのボールの特性をしっかり差別化できたので、ゴルファーの幅広いニーズに必ず応えられると自信をもっています」(矢田)
「3モデルの性能を差別化するためのチューニングにはかなり苦心しましたが、3モデルとも、“より飛んで、よく止まる”という目標を高次元で達成しつつ、それぞれ異なる個性を備えたボールができたと思います。ですから、みなさんには、ぜひ3種類すべてを打っていただきたいですね。そこでそれぞれのよさを体感したうえで、ご自分のプレースタイルに合わせて選んでほしいというのが、開発者のひとりとしての思いです」(井上)

いま流行のアライメント機能を、白と黄色のツートンカラーにするという究極の形で搭載! さらに、パットやアプローチでは、インパクト後のボールの回転がよくわかる。中身は通常のZ-STARシリーズと同様なので、ツアープロの練習ラウンドなどで活躍しそう。もちろん、競技でも使用OK!
※数量限定でのテスト販売

■NEW『スリクソン Z-STARシリーズ』の詳細はこちらをご覧ください。
https://sports.dunlop.co.jp/golf/srixon/zstar2021/