2021/09/03

XXIO製品情報

《軟・剛・軟の新構造で、ティからグリーンまでオール OK!》 ディスタンス系ボール『ゼクシオ リバウンド ドライブ』デビュー!

小野 琢也(おの・たくや、左)
住友ゴム工業㈱スポーツ事業本部 ゴルフビジネス部 ゴルフボールビジネスグループ 主査
2005年入社。ゴルフボールの商品企画、販売企画などを経験したのち、2018年よりゼクシオ、スリクソンの両ブランドのゴルフボールの商品企画を担当。

田窪 敏之(たくぼ・としゆき、右)
住友ゴム工業㈱スポーツ事業本部 市島工場 製造課 課長代理
2008年入社。市島工場でのゴルフボールの生産技術担当を経て、商品開発部にてスリクソン、ゼクシオのボール開発を手掛ける。現在は再び生産技術を担当。
※肩書は取材時のもの。

アマチュアゴルファー待望のNEWボール『ゼクシオ リバウンド ドライブ』(以下、ゼクシオRD)。〝リバウンド〟という、いかにも弾きのよさそうなネーミングのこのボールの商品企画は、どんなことからスタートしたのだろうか。
 それについて、商品企画を担当した小野琢也は次のように語る。
「まず、新しいモデルでも、従来の2つのラインが必要なのかどうかを最初に議論しました。というのも、前作の『ゼクシオ イレブン』(以下、イレブン)と『ゼクシオ エックス』(以下、エックス)とは、どちらもヒットして、目標とするシェアは獲得できたものの、両者が属するディスタンス系ボール市場全体が縮小傾向にあるからです。議論の末、飛距離性能の高いイレブンとスピンコントロール性能にすぐれるエックス、この2つのよさをミックスさせたボールを作れれば、よりお客様に満足していただけるのではないかと考えました」
 ゼクシオのゴルフボールの歴史を振り返ってみると、1つのモデルのみを開発、発売していた時期の方が長く、今回、あらためて1つのモデルで〝飛んで、止まる〟という理想を追求することになったのである。
 そんな商品企画の方針を受け、開発陣はどんなことを考えたのか。担当した田窪 敏之は当時をこう振り返る。
「開発自体は2スペックを想定して進めていたのですが、我々開発陣としては、ディスタンス系というカテゴリーにおいて、ゼクシオを他社品とくらべて大きく差別化できるスペックにしたいという思いはずっと持っていました。ゼクシオボールに求められるのは、第一に飛距離だとして、次は打感。私は〝やさしい打感〟という表現を使うのですが、そこに今回、アプローチスピン性能を加えたいという要望がありました。設計者目線で見ると、アプローチスピンがしっかりかかるディスタンス系ボールができたなら、たしかに特長的だなと思いました」
 そうしてゼクシオRDの開発はスタートした。ただ、飛距離性能とソフトな打感、アプローチスピン性能という3つを高次元で実現するのが簡単ではないことは容易に想像できる。
 ソフトな打感を実現するには、ボールの中心にあるコアをある程度やわらかくする必要がある上、アプローチスピン性能を上げるには、やはり一番外側のカバーもやわらかくなければならない。だが、それだと絶対反発が下がり、初速が足りなくなるために、ボールを遠くに飛ばすのは難しい。
 そこで、田窪ら開発陣は、硬度、反発ともに高い中間層を採用。それにより、〝軟(コア)~剛(中間層)~軟(カバー)〟という3層からなる「リバウンドフレーム構造」が完成し、打感がソフトでも高い初速を生み出すことに成功した。
「剛性の異なる層を組み合わせて飛びにつなげるリバウンドフレーム構造は、スリクソンをはじめダンロップの最新のゴルフクラブに搭載している先端技術ですが、ボールでも考え方は同じです。中身が最適にたわみ、そのエネルギーを、硬く設計した中間層が受け止めてチャージし、一気に解き放って飛びにつなげる。そんなイメージです」(小野)
 ダンロップ独自のこの構造により、ゼクシオRDは、ドライバーショットで、初速、飛距離ともに他社のディスタンス系ボールを大きく上回る。さらに特筆すべきは、アイアンショットでは飛距離の差が大きくなることだ。
「ドライバーの飛距離は前作同様、非常に高い性能を発揮するのですが、ミドルアイアンは、余分なスピン量を抑えたことでさらに飛距離が伸びました。そのため、セカンドショットはより短いクラブでグリーンを狙えます」(田窪)

商品名の由来でもあるリバウンドフレーム構造と並んで、ゼクシオRDに搭載された最新技術が、新開発の「スーパーソフトRBカバー」だ。それについて小野は、こう胸を張る。
「ひとことで言えば、ディスタンス系ボールとしては画期的なカバーです。カバーの硬度を見ると、ゼクシオRDのカバーは、他社のディスタンス系ボールとくらべて圧倒的にやわらかくなっています」
 その開発にあたっては、主にアベレージゴルファーを対象に、ドライバーからパターまでヒューマンテストを実施。スリクソンZ-STARシリーズ、他社のボールも一緒に、ロゴを隠してテストを行ったところ、すべての番手において、ゼクシオRDがいちばんやわらかいという評価を得たという。
「ゼクシオRDは、カバーを含めボール全体がやわらかいので、インパクトでグリップが利きます。特にアプローチショットではボールがフェースに乗って、前モデルや他社のディスタンス系ボールを圧倒するスピンがかかるようになりました。飛ぶだけでなく、しっかりスピンのかかる点が、他のディスタンス系ボールとの違いです」(田窪)
 とはいえ、高い反発力とソフトなカバーの両立には、やはり大きな困難が伴った。
「今回、カバーには、アイオノマーの中でも特にやわらかい材料を使っているのですが、ディスタンス系ボールのアイオノマーカバーは、やわらかくすると一般的にチャンキング(ショット時のささくれ)が発生しやすいという特性があります。ただ、それを改善しようとすると、反発が下がってしまう。そのため、チャンキングに関する品質基準を満たしつつ、反発の基準もクリアできるよう、材料の組成を工夫しました。そこは本当に難しかったですが、ギリギリのところで設計することができました」
 と田窪は言う。さらに、設計においてだけでなく、製造段階でも困難は続いた。
「これは中間層も同じなのですが、カバーに使う樹脂は流動性が非常に低い、つまり非常に流れにくいので、一瞬で射出成型するのが本当に難しいんです。そうかと言って、流動性を上げる材料にすると、今度はささくれが出やすくなります。生産が軌道に乗るまでにはトラブルもありましたが(苦笑)、試行錯誤の結果、流動性を上げずに、成型性も維持できる製造条件を見出すことができました」(田窪)
 そうした苦心の末に生まれたカバーは、アプローチスピン性能の向上だけでなく、すでに触れたアイアンショットの飛距離アップの一因にもなっている。
「カバーをやわらかくすることで、やわらかい打感を維持しながら中間層をしっかり〝剛〟とすることができ、もうひとつの〝軟〟であるコアとの相乗効果でアイアンショットのスピン量を抑制できるので、打ち出し角が高くなります。そのため、高く、大きく飛ばせるんです」(小野)
 小野と田窪が「ディスタンス系ボールとしては、本当にスゴいボールなんです」と口を揃えるのもうなずける。

ゼクシオRDのやわらかいカバーは、パッティングでもソフトな打感を生み出し、繊細なタッチを可能にする。それに加え、視覚の面でもパットの向上をサポートする機能を採用した。それが、ゼクシオボール初のアライメントマーク「ナビゲートライン2.0」である。
「従来ダンロップで採用していたナビゲートラインから、今回タテとヨコの線の組み合わせ方を進化させました。ゼクシオのイメージに合う高級感を出すには、やはりシンプルなものがいいと考えました。機能性と高級感のバランスをとって採用したのが今回のデザインです」(小野)
 ナビゲートライン2.0を構成するのは、(1)中心に位置し、パットの集中力を高める「コンセントレーションマーク」、(2)ターゲットに向かって方向を定めるための「ターゲットライン」、(3)ターゲットに対し、パターフェースを垂直に合わせるための「フェースタッチライン」、(4)正しくストロークするための「ストロークナビゲーター」の4つ。このうち、小野が特にこだわったというのがストロークナビゲーターだ。
「ただのラインではなくて、中に白い矢印が入っているのですが、実はこれはゼクシオロゴのアロー(金色の部分)を意識してデザインしました。テークバックでは右向きの矢印を、打ち出すときには左向きの矢印をそれぞれ見ることで、まっすぐ引いて、まっすぐ打ち出すことができます」
 実際、アマチュアゴルファーを対象にしたテストでは、「ターゲットに向けて置きやすい」「パターフェースをセットしやすい」という意見とともに、「スムーズにストロークできる」という声が聞かれたという。
 こうして、ティイングエリアからグリーン上まで、あらゆるシーンでゴルファーの期待に応えるゼクシオRD。作り手として、どんなゴルファーに使ってほしいのか、あらためて2人に聞いた。
「ゴルフを楽しみたいすべてのゴルファーですね。ゼクシオRDは、いろいろな点でギリギリまで〝攻めた〟ボールなんです。アマチュアゴルファーの皆さんの中には、どんなボールが自分に合うのか分からないという方も多いと思うのですが、ゼクシオRDを選んでもらえば間違いありません」(小野)
「ゼクシオならではの〝やさしさ〟〝やわらかさ〟を受け継ぎつつ、前作の2つのモデルのいいところを一つにできたのが、ゼクシオRDです。それと、このボールは数あるダンロップのボールの中でもいちばん製造が難しいのですが(苦笑)、作りにくいということは、それだけ高い技術がつめ込まれているということ。ぜひ一度使っていただきたいですね」(田窪)

■『ゼクシオ リバウンド ドライブ』の詳細はこちらをご覧ください。
https://sports.dunlop.co.jp/golf/xxio/rd_2021/