2022/03/01

D-Cafeレポート

《リラックス・トーク》スイングに試行錯誤する日々。でも、ツアーで戦う以上は賞金王を狙う ~片岡 尚之~

 みなさん、こんにちは。いつもご声援ありがとうございます。今年もどうぞ応援よろしくお願いいたします。今日はまず、僕の2020~21シーズンの話からしようと思います。
 優勝することができて、賞金ランキング19位になった昨シーズンを振り返ると、自分でも本当によくできたと思います。開幕前は優勝できるなんて思っていなかったし、そもそもレギュラーツアーにはあまり出られないだろうと思っていたんです。チャレンジで頑張って賞金ランキング上位に入って、ツアーには今年から出られればいいなと考えていたので。
 ツアー1年目で結果を残せた理由はいくつかありますが、一つは、高校時代からツアーに出していただいていたので、ツアーの勝手というか雰囲気がわかっていたのがけっこう大きかったなと思います。

 プレーの中身に関して言うと、本当にパットに助けられました(注:2020~21シーズンの平均パットがツアー第1位)。パットは元々得意ではあったのですが、大学4年の時に打ち方変えたんです。パターを吊るように持って、あんまり手を使わないイメージで打つようにしたら、2019 年に受けたQTで感触がよくて。それを続けていたら、いい結果につながりました。

 バンカーショットもよかったですね(注:サンドセーブ率はツアー第6位)。バンカーショットはジュニアの頃はあまり得意ではなかったんです。でも、東北福祉大に入って、大学の寮の近くにあるアプローチ練習場のバンカーでずっと練習していたらすごく得意になりました。だからツアーに出るようになって、バンカーに入れても焦ることはないし、なんなら「ヨッシャー!」ぐらいの気持ちで打てています(笑)。

 そんな感じでショートゲームはよかったのですが、ショットに関しては、人生でいちばんと言っていいほど苦しんだ一年でした。なので、全体の成績を見ればよかったものの、自分で納得のいくゴルフができないことの方が多かったですね。
 僕は元々ドローヒッターだったのですが、大学に入った頃からうまく打てなくなってしまって、去年もドローを打つイメージなのに、どうもスイングはフェード向きになっていたみたいで。優勝してずっと試合に出られることになったので、夏場は、頑張って試合でもドローを打とうとしたのですが、なかなか上手くいかず。それで、終盤戦はもうフェードで行こうと決めてやったら、成績がよかった。やっぱり試合になるとドローが怖くて打てず、〝置きにいく〟フェードになってしまうんですよね。

 アマチュアの頃は、ドライバーショットが悪くてもアイアンでカバーしていました。それが僕の武器だったのですが、去年はアイアンもダメでした(苦笑)。パーオン率も、トップ10には入れるかなと密かに思っていたのですが、終わってみたら55位。去年の成績を見ると、予選落ちや、40位台、50位台に終わった試合は、本当にショットがひどかったんです。

 逆に言うと、ショットがいいとほとんどの試合で優勝争いができていて、2位と4位に2回ずつ入ったり。毎試合安定した成績を残したいのですが、去年は本当にいい時と悪い時の差が激しかったですね。
 ただ、僕は元そういうプレースタイルというか、バーディは獲るけどボギーも打っちゃう感じなんです。スコアが悪くても、それなりにバーディは獲るので、バーディ率が高くなる(注:2020~21シーズンのバーディ率はツアー第8位)かもしれないですね。

 去年、2位になった試合の一つが、初めて出場した「ダンロップフェニックス」でした。フェニックスCC自体はプレーしたことがあったのですが、林に囲まれているので苦手なコースだったんです。初日もあまり調子がよくなかったのですが、ラウンドのあと、練習場で知り合いのキャディさんにアドバイスしてもらったら、急によくなって。それを次の日に実践したら、「65」の6アンダーというスコアが出たんです。
 初出場で2位になったので、よく頑張ったとは思うけれど(笑)、勝てなかったのはやっぱり悔しかったです。いいゴルフをして負けたので、「まあしょうがないかな」という気持ちもあるんですけどね。

 18番ホールのティショットは、フェードを打とうとしたのがつかまって左の林に行ってしまったのですが、あれは不思議な感覚でした。あの日は終始緊張していたものの、それがいいプレーにつながっていました。でも、優勝したチャンさん(キム選手)に17番でバーディを獲られたのと、18番で先にすごいティショットを打たれて、軽く戦意喪失してしまったというか。緊張して負けたのかと思いきや、緊張が切れてショットが曲がってしまった感じで。たぶん気持ちで負けてしまったのかもしれないですね。
 でも、苦手にしていたコースで優勝争いができたのは自信になるし、今年以降もチャンスがあるので、次こそは勝ちたいと思っています。

 僕の近況ですが、2月に入ってからラウンドを増やし始めて、最近はとにかくラウンドをして実戦感覚を取り戻そうとしています。去年12月の最終戦のあと、全然ラウンドができなくて、今年に入って久しぶりにラウンドをしたら、グリーンが全部平らに見えて(苦笑)。全然パットが入らなくて、これはヤバいと。あまりにラウンドしないと、ラインが読めなくなるんだということに気づきました。最近はだいぶ読めるようになってきたんですけどね。みなさん平均パット1位のことを言ってくださるので、プレッシャーとは違いますけど、今年も頑張らなきゃという気持ちは強いです。
 トレーニングは、ジャンプして台に乗ったりする瞬発系のものを多くやっています。重いものを上げたりするトレーニングはやっていません。大学時代にはめちゃめちゃやっていたのですが、全然飛距離が伸びなかったので(苦笑)。走ることもしていなくて、聞くところによると、持久走のような有酸素運動をすると筋肉が落ちてしまうと言うし、他のトレーニングで肺は使っているのでそれで十分かなと思っています。
 ショットに関しては、最近、生まれて初めてホールインワンをしました! 2歳からゴルフをやってきて、これまで一度もやったことがなかったので僕には縁がないと思っていたので、入ったと分かった時はうれしかったですね(笑)。
 でも、全体としては去年と変わっていません(苦笑)。スイングの動画を見ながらいろいろ試してはいるんですけどね。基本的にずっと自分ひとりで考えてやってきたのですが、やっぱりコーチをつけないと厳しいのかなとは感じています。

 今シーズンの目標ですが、去年の年末から取材で聞かれた時には「賞金王!」と言ってきました。このオフのあいだにショットを直せると思っていたので、そう答えたのですが、今はちょっと自信がなくなってきました(苦笑)。でも、まだ国内開幕戦まで時間があるし、ショットさえよくなってくればイケると思います。やはりツアーに出る以上、めざすところはそこだと思うので、賞金王になれるよう頑張りたいですね。

片岡 尚之(かたおか・なおゆき)
1997年北海道生まれ。2014年「北海道アマ」を16歳で初めて制すると、同年の「日本ジュニア」でも初優勝。東北福祉大4年だった2019年プロ転向。2021年、ツアー参戦4試合目の「JAPAN PLAYERS CHAMPIONSHIP by サトウ食品」で初優勝。2020~21シーズンは賞金ランキング19位、平均パット1位。身長171センチ、体重67キロ。血液型B。