2022/03/25

XXIOSRIXON製品情報

《 大きな〝たわみ〟が生む驚異の高初速 》飛ばしのキーテクノロジー、「REBOUND FRAME(リバウンドフレーム)」

 2020年8月下旬。
 PGAツアーの2019-2020年シーズンのプレーオフシリーズ第2戦「BMW選手権」で、松山 英樹プロは初日から終始上位でプレーし、3位タイでフィニッシュした。
 この試合での松山プロの4日間のドライバーの平均飛距離は325.5ヤード。それは、そのシーズンの自身の平均をおよそ22ヤードも上回るものだった。特に、第3ラウンドの15番パー5では、
「あんなに飛んでいるとは思わなかった」
 と本人も驚く383ヤードのビッグドライブを放った。
 そんな驚異の飛距離を叩き出したのが、松山プロがこの試合から投入した『スリクソン ZXドライバー』(プロトタイプ)。この試合の開幕前、ドライビングレンジで、トラックマン(弾道測定器)を使いながらドローやフェード、高い球、低い球など、さまざまなショットを打ってみた結果、当時使用していたドライバーにくらべ、ZXドライバーのほうがボール初速で5マイル/時程度上回るショットが何発もあったという。松山プロのドライバーショットの平均的な初速が175~180マイル/時であることを考えると、この差は決して小さくはない。
「(ZXドライバーのほうが)かなりボール初速が出ていますね」
 と、松山プロ自身がZXドライバーの初速の速さを実感したことが、実戦投入の決め手となった。その高レベルの初速を可能にした技術の中でも、カギとなったのが〝「REBOUND FRAME(リバウンドフレーム)」構造〟である。

 PGAツアーの選手がしっかり使えるドライバー。それが、「スリクソン ZXシリーズ」(以下、ZXシリーズ)の開発の最終的なゴールだった。松山プロをはじめ世界トップレベルのプレーヤーを満足させ、手に取ってもらうには、どうすればいいのか。決め手になるのは、やはり飛び、さらに突き詰めるとボール初速だった。
「もちろん反発係数を高めることは大事ですが、PGAツアーの選手がトラックマンを使って絶対にチェックするのがボール初速なんです。どんなに弾道がきれいで、飛んでいるように見えても、初速が速くなっていなければ新しいドライバーには替えません。そのため、ZXシリーズのドライバーでは〝ボール初速世界No.1〟を最大の目標にしたのです」
(住友ゴム工業株式会社 スポーツ事業部 商品開発部 クラブ技術グループ 平野智哉)
 世界No.1のボール初速を実現するには、当然ヘッドの反発性能を上げなければならない。開発陣は他社製品の技術や構造も参考にしつつ、自社の知見を結集して研究、テストを重ねた。
 フェース、クラウン、ソール。どこがどのように反発性能アップに作用するのか。デジタルシミュレーションを行なったほか、従来モデル以上に多くの金型を作った。
「最後の細かい部分は、やはり試作品を作って突き詰める必要がありますからね。そうして生まれたのが、新技術「REBOUND FRAME」でした」(平野)
“軟”(フェース)~“剛”(フェース周辺部)~“軟”(フェース折り返し部)~“剛”(ソール)。剛性の高いエリアと低いエリアを交互に配置した4層構造によって、ボールをとらえたフェースは大きくたわみ、反発性能を大幅にアップさせることに成功したのだ。
 また、軽比重のクラウンの採用による深重心化と投影面積の拡大によって左右の慣性モーメントが大きくなったことで高反発エリアが拡大。それが、松山プロを満足させる初速アップ、ひいては大きな飛びをもたらした。

 昨年12月に登場した『ゼクシオ エックス』『ゼクシオ 12』『ゼクシオ レディス』。クラウン上に設けられた〝ActivWing(アクティブウイング)〟という〝飛びの翼〟が、空中でのヘッドの姿勢の乱れを正し、より正確なインパクトに導く同シリーズにも、「REBOUND FRAME」が搭載されている。これは、ZXシリーズの「REBOUND FRAME」の基本思想はそのままに、アベレージゴルファー向けにカスタマイズした、いわばゼクシオバージョンだ。
 ZXシリーズのヘッドは、「フェース開口型」といわれるシンプルな構造を取り入れた。これには、フェース表面がすっきりしていて形状にバラつきがなく、世界のトッププロたちが目標に合わせて構えやすいというメリットがある。
 ただし、その名の通り、ボディとフェースとの溶接面がフェース面上にあるフェース開口型では、より広いスイートエリアを確保するのが難しい。そのため、打点がバラつきやすいアベレージゴルファーをメインターゲットとする「ゼクシオ」シリーズでは、改良を加える必要があった。また、ZXシリーズはフェースがややディープだが、アベレージゴルファーには、シャローフェースにして重心を低く設計し、ボールを上げやすくしてあげる必要がある。
 そこで「ゼクシオ」シリーズでは、シャローでも広いスイートエリアを確保するために、前作の「カップフェース」構造を踏襲した。
「ただ、従来のカップフェースは、〝軟・軟・剛・剛〟という構造になっていて、溶接部は一つ目の剛の位置にありました。溶接部が硬くなるのはやむを得ないのですが、本来なら〝軟〟にしたいところが〝硬〟になっていたため、反発性能をロスしていました。そこで新しい『ゼクシオ』シリーズでは、スイートエリアの広さというカップフェースのメリットを最大限に生かしながら、〝軟・剛・軟・剛〟という構造にするために、溶接部をフェース近くに移すことで剛の部分をより硬くしました。その結果、「REBOUND FRAME」としての性能アップとスイートエリアの広さを両立できたのです」
(住友ゴム工業株式会社 スポーツ事業部 商品開発部 クラブ技術グループ 水谷成宏)
 オフセンターヒットに強いカップフェースが大きくたわむことで、「ゼクシオ エックス」の高反発エリアは前作にくらべ121%(ゼクシオ12では128%)に拡大。ActivWingとの相乗効果により、ヘッドスピードが変わらなくて初速を飛躍的に向上させることに成功した。

 さらに、「REBOUND FRAME」のテクノロジーは、昨年リニューアルしたゼクシオのボール『ゼクシオ リバウンド ドライブ』(以下、ゼクシオRD)の飛びにも貢献している。
 ゼクシオRDは、ゼクシオブランドのボールに求められる飛距離に加え、ソフトな打感と、コントロール系に迫るアプローチスピン性能を誇る、ディスタンス系としては画期的なボールだ。特筆すべきはカバーで、他社のディスタンス系にくらべ圧倒的にやわらかい。
 ただ、飛距離性能とソフトな打感、アプローチスピン性能という3つを高次元で実現するのは容易ではなかった。
「打感のことを考えたら、ボールの中心にあるコアはやわらかくする必要があります。また、アプローチスピン性能を高めるには、いちばん外側にあるカバーを非常にやわらかくしないといけません。ところが、それだと反発性能が落ちてしまい、遠くに飛ばすために欠かせない初速が足りなくなってしまいます。そこで、反発性能を担保するために検討を重ねた結果、硬度、反発ともに高い中間層を採用しました」
(住友ゴム工業株式会社 スポーツ事業本部 市島工場 製造課 田窪敏之)
 こうして〝軟(コア)~剛(中間層)~軟(カバー)〟という3層からなるボール版「REBOUND FRAME」が完成。中身が最適にたわみ、そのエネルギーを中間層が受け止めてチャージし、一気に解き放つことで、打感がソフトでも高い初速を生み出すことに成功したのだ。
 この構造により、ゼクシオRDは、ドライバーショットで、初速、飛距離ともに他社のディスタンス系ボールを大きく上回るだけでなく、アイアンショットの飛距離でも、大きなアドバンテージを手に入れることができたのである。

 そして「REBOUND FRAME」は、まもなく発売される飛距離特化型ボール『スリクソン X3』にも搭載され、前作を上回る飛距離を実現している。
 このように、プロ・上級者向けモデルからアベレージゴルファー向けまで、ダンロップのクラブやボールの飛距離性能のカギとなる「REBOUND FRAME」は、さらなる飛距離アップを生み出す限りない可能性を秘めているのだ。

SRIXON ZX

XXIO X-eks-、XXIO 12

XXIO REBOUND DRIVE

SRIXON X3