2022/03/30

D-Cafeレポート

《 淺井 咲希、勝 みなみ、小祝 さくら Angels on the Fairway 》 開幕戦からの1か月を振り返り。オフシーズンの練習の成果は!?

「順位はよくないけど、そんなに暗い感じではないですよ。去年とくらべたら〝兆し〟が見えかけている感じです」。開幕からここまでのプレーを振り返り、明るい表情の淺井 咲希プロ。その理由は、去年悩みの種だったティショットが改善されつつあるからなのだとか。さらに今年は、開幕戦「ダイキンオーキッドレディス」で自身初の予選通過を果たしたことも自信になっているようで、「昨シーズンは成績もスタッツも悪かったので、〝私、下手になったんかな?〟と不安でした。でも、コースに苦手意識があって、今まで予選落ちしていた試合で通過できたということは、自分なりに進化し続けているのかなと思えました」。そして、自身が気づいた変化がもうひとつ。「パー5でのバーディ数がメチャ増えたんです! 今年はシード権がメルセデス・ランキングで決まり、ポイントは4日間競技の方が高いのですが、私は4日間競技がどうも苦手で(笑)。4日間競技は、どちらかと言うとあまりスコアが伸びないと思うのですが、パー5でバーディが獲れれば有利なので、いろんな意味で今までとは違うスタートが切れています」と、昨シーズンとの違いを感じているようです。

 今年のオフは、宮崎や宮古島など、温暖な場所で練習やトレーニングを積んだという淺井プロ。これまでのオフは「〝私、クラブ握りません〟と、ゴルフから離れていた(笑)」そうですが、今年はそこまで休みは増やさず、できるだけ多くラウンドをこなしたのだとか。そして、ショット練習では、ゴルフ人生で初めてフェードボールにトライ。「私はずっとドロー一辺倒でやってきたのですが、ちょっとコーチから離れて、自分ひとりで球筋を変える練習をしてみたんです。フェードに変えてスコアもまとまるようになったのですが、開幕戦の練習ラウンドと初日をプレーしてみて、やっぱりフェードでも曲がるなと(苦笑)。それで、またコーチに見てもらいながら、ドローに戻しました。でも、ドローでは攻めにくいホールでフェードが打てるようになったし、去年、調子を落として以降、引き出しが増えている感じはメチャあります」と、オフの練習の成果を強調していました。

 開幕前には、シード復帰とツアー2勝目を目標に掲げていた淺井プロ。ただ、今は目標を作る難しさを感じているそうで、「細かい目標で言えば、ポイントの高い4日間競技で頑張りたいし、その意味でも開幕戦で予選通過できたのは大きかったのですが、去年はメチャ細かく目標を作った結果、上手くいきませんでした。自分の調子の悪さを受け入れられずに、ずっと同じ目標に向かっていたというか……。そうではなくて、今の自分の調子でどう戦えばいいかを考えたほうがいいのかなと思って。だから今年は調子によってコースマネジメントを変えて、大胆な攻め方もしています」。そして、今年24歳になる年女としての目標も。「黄金世代がそうだからなのか、いろんな取材で『年女ですね』とメチャ言われるんですよね(笑)。私自身は、〝年女=飛躍〟というイメージがあるので、身が引き締まるし、今までとは違う一年にしたいですね」。

 沖縄での開幕戦で4位タイという好調なスタートを切った勝 みなみプロ。「ショットがすごくよかったわけではなくて、パットに助けられた感じでした」と、自身のプレーを笑顔で振り返ります。ただ、続く2試合に関しては、「2戦目(明治安田生命レディス ヨコハマタイヤゴルフトーナメント)は、私にとって所属先の試合で、3戦目(Tポイント×ENEOS ゴルフトーナメント)は地元開催で、なおかつホームコースの鹿児島高牧カントリークラブが会場ということで、どちらも大事な試合でした。どちらかだけでも上位に行ければと思っていたのですが、それができず悔しい結果になってしまいました」とちょっぴり残念な様子。とはいえ、どちらの試合も最終日に60台をマークし、順位を大きくアップさせた勝プロ。「スイングに関して自分がやろうとしていること、オフに取り組んだことが、朝の練習場ではできても、試合が始まってみたら、やっぱりまだできないということがあるんです。そんな中でも、上位に入れた試合があったので、序盤戦としてはまずまずというか、60~70点はあげられるかなと思っています」と、満足気な様子でした。

「去年は、ドライバーからアプローチまで、インパクトで手元が浮いてしまうのが原因で、タイミングが狂ったり、ボールが右に出たりしました。なので、手元を低くしてインサイドから振ったり、いろいろやりました」と、オフシーズンに取り組んだ練習について話す勝プロ。前述したように、その練習はシーズン中も継続しているそうで、「〝これだ!〟という感覚がなかなか見つからなくて、見つかったと思ったら、やっぱりちょっと違うとか。なので、まだまだ模索中です」。そんな練習と並んで、かなり力を入れたのがフィジカル面の強化。トレーナーと話し合い、強さだけでなく、しなやかさもある身体づくりをめざしたそうです。気になる効果について聞いてみると、「以前は朝起きると身体がガチガチだったのですが、今はそれが減ったと感じていて、ウォーミングアップが短く、ラクになりました。その意味ではストレスを感じずに試合に臨めるし、練習していても『あ、ここが動くようになった』とか感じるので、ゴルフにもいい影響があります」と、手ごたえを感じているようです。

 淺井プロ、小祝プロと同じ1998年生まれで、今年7月には24歳になる勝プロ。「さくらちゃんや私は、アマチュアの頃からツアーに出ていたので、プロ1年目の時に周りの先輩プロから『中堅ぐらいの感じが出てるよ』と言われました(笑)。でも、心は今も新人のままです(笑)」と、フレッシュな気持ちでプロ6年目のシーズンを迎えたようです。そんな勝プロに、序盤戦の目標について聞いてみると、「成績としては、やっぱり1勝できたらいいなと思っているんですけど、自分のめざすスイングというか、〝これだ!〟というものをできるだけ早く見つけたいと思っています」。そう考えるのは、それがより大きな成果につながるからのようで、「それが見つかれば、気持ちが全然ラクになるし、ゴルフの内容もよくなっていくと思います。というのも、スイングにフォーカスしなくてもよくなるので、アプローチとかパットとか細かい部分に集中できます。だから、まずはやっぱりスイングをよくすることですね」。勝プロの成績とともに、そのスイングにも注目しましょう。

「ショットはすごくいい感じなんですけど、パットがなかなか決まってくれなくて。バーディチャンスにつけても全然入らないということが多かったですね。パットさえ調子がよければ、最終日にいい位置をキープして優勝争いができていたんじゃないか、と思うくらい、とにかくパットにやられました(苦笑)」と、開幕から3試合の自身のプレーを振り返る小祝 さくらプロ。ディフェンディングチャンピオンとして臨んだ3戦目の「Tポイント×ENEOS ゴルフトーナメント」で今季初めてトップ10に入ったものの、不満の残る内容だったようです。では、パッティングの改善策は? 「ラインの読みというより、狙ったところにしっかり、まっすぐ打ち出すことですね。その確率を上げないといけないので、今はそこを重視して練習しています」と語っていた小祝プロ。それを実行した成果か、4戦目の「アクサレディス in MIYAZAKI」では2週連続のトップ10フィニッシュ(5位タイ)を果たし、パット数でも5位タイを記録しました。

 昨シーズン、賞金ランキングで自己最高の3位に入った小祝プロ。ただ、優勝は2021年8月が最後で、その後はショットの不調に苦しんだそうで、「去年の中盤から終盤にかけて、本当によくアイアンが曲がりました(苦笑)。つかまり過ぎる球が多くて、それを嫌がって逆に右に行ったり。なので、このオフはその課題の修正に取り組みました」。スイングの相談に乗ってくれるという人との共同作業で、スイングの修正に着手。その結果、「今まで球筋がドローだったのを、ストレートのイメージで打つようにしたのが上手くいっています。左に大きく曲がる球が出なくなったし、ドライバーも去年よりは安心して打てています」と小祝プロ。また、オフのあいだに、アイアンの8番からPWまでの3本を『スリクソン ZX5』から『スリクソン ZX7』に変更。「ZX7のほうが顔が小さめなので構えやすいのと、距離感もこちらの方がしっくり来たから」というのが理由だそうで、それも好調なショットにつながっているようです。

 昨年は3月だけで2勝を挙げ、その勢いのまま9月半ばまで賞金女王争いをリードした小祝プロ。ただ、本人いわく「もともと、春は調子がいいというイメージはないですね(苦笑)。たしかに去年は調子がよかったのですが、一昨年までは全然よくなかったですし……」と、特別春が得意だという意識はない様子。そう言いながらも、すでにトップ10に2度入っているのは、春が苦手ではない証拠。そんな小祝プロが目標として掲げているのは、今年こそ賞金女王になること。「その目標を達成するためにも、まずは1勝を、前半戦のうちにしたいです」と話します。ポイントになるのはパットだと考えているようで、「最後はやっぱりグリーン上の勝負になるし、パットが入らないと優勝争いはできないので」と小祝プロ。注目すべきはスタッツで、小祝プロの平均パットのランキングは年を追うごとに上昇中。好調なショットと噛み合えば、早い時期での今季初優勝が見えてくるはずです。