2023/01/25

D-Cafeレポート

《リラックス・トーク》アメリカでも飛距離は私の強み。まずは1勝をめざして頑張りたい ~ 勝 みなみ ~

 みなさん、こんにちは。勝 みなみです。いつも温かいご声援をありがとうございます。2023年もどうぞよろしくお願いいたします。
 ご存じの方もいると思いますが、私は去年の12月中旬に、アメリカ女子ツアーの最終予選会「Qシリーズ」に挑戦してきました。まず72ホールをプレーし、上位70位までに入った選手が、翌週、別のコースでさらに72ホールをプレー。その上位選手に2023年のツアー出場権が与えられるという、本当に長い戦いでした(苦笑)。

 Qシリーズについては、一昨年に受けたシブコ(渋野日向子プロ)から、「8日間トータルでの勝負だから、1日ぐらい悪くても全然気にしなくて大丈夫だよ」と聞いていました。だから私は、普通のトーナメントより気楽に臨んだのですが、第1週の初日、2日目とあまりスコアがよくなくて(苦笑)。その時点で、第2週に進めるギリギリの順位だったので、「大丈夫かな……」と心配になりました。でも、3日目に「66」が出て安心したというか、次のステージには進めるなと思ったら、最終日は落ち着いてラウンドできて、17位という位置で2週目に進むことができました。
 第2週のコースは、1週目のコースと同じアラバマ州にあって、同じような林間コースでした。ただ、グリーンは、目がきつかったのと、左右から小さな傾斜がたくさんかかっていてラインがなかなか読めずに、初日、2日目と苦労しました。
 でも、3日目になると、グリーンの感触がかなりつかめてきました。目に負けないよう、上りはかなり強めに打って、下りは逆にかなり弱く、というメリハリをつけられるようになったんです。ラインも合ってきて、パットが決まるようになりました。

 ショットの調子は、日本にいる時はいまひとつだったのですが、アメリカに行ってからはよかったです。特に2週目の4日間はずっと好調で、アイアンショットがピンに絡んでくれました。
 最終日は、ショットとパットが噛み合って、ボギーなしの「66」という、自分でも満足のいくプレーができました。何度かバーディパットを外してしまったけれど、コースにきちんと対応できていると感じたし、5位といううれしい結果を残せたので、すごく充実した8日間だったなと思います。私自身、「まだまだ強くなれる!」「もっと強くなりたい!」と思えた8日間でもありました。

 アメリカでは、母がキャディをしてくれました。セルフバッグでしたが、8日間・144ホール担いでくれたのは、スゴいと思います(笑)。食事も基本的に自炊で、母がお米と炊飯器持参で作ってくれました。クルマも長時間運転してくれたし、母には感謝しかないですね。
 母には今年のツアーにも帯同してもらいます。食事も作ってもらいますが、私も一緒に作ろうと思っています。日本にいると、全然そんな気にならないのですが(笑)、アメリカでは、自分から進んで手伝いました。それはたぶん向こうのキッチンが広いのが理由で、2人で一緒に料理をしても苦にならないし、「料理しよう」という気になるのだと思います。

 去年は、メルセデスランキングでも、平均ストロークでも自己ベストの結果を残すことができたので、私自身、全体的にレベルアップができたと感じています。試合に臨む姿勢や自分の目標がしっかり定まっていたのが、一昨年までとの一番の違いかなと思います。それは、経験を積んで戦い方が分かってきたのに加えて、トレーニングで身体もしっかりしてきたからなんじゃないかと。

去年の試合でいちばん印象に残っているのは、やはり連覇ができた「日本女子オープン」ですね。あの大会を連覇したのは私で史上3人目とのことでしたが、そもそも連覇自体が難しくて、私は他の大会でも連覇をしたことがありませんでした。だから、初めて連覇できたのが日本女子オープンというのはすごいなと。

 あの試合は、最終日にラウンドしていて、自分が優勝すると決められているかのような感じがしていました。すごいラッキーがあったし、プレーしていて楽しかったんです。それに、あのコースのタフなセッティングをアンダーパー(注:通算3アンダー)で回りきったのは、我ながら頑張ったなと思えます。それは、優勝したことよりも自分を評価してあげていいかなと思いますね。

 あの試合では、新しいドライバー『スリクソン ZX7 Mk II(マークツー)』も活躍してくれました。前週の「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」から使い始めたのですが、「それまでのモデルより飛ぶ」というのが第一印象でした。

 飛ぶ上に、球が強いので風に負けないんです。それに、操作性もよくなりましたね。私は持ち球がドローボールなのですが、「ZX7 Mk II」を使い始めてから、ドローが打ちやすくなったと感じます。構えた時の〝顔〟は、以前のモデルから大きくは変わっていないのですが、マット仕上げになって私はすごく好きです。いかにも飛びそうな気がするので(笑)。

 ただ、あの試合を含め2勝できたのはよかったのですが、去年全体を振り返ると、悔しい1年だったなと感じています。というのも、シーズン前に掲げていた「年間3勝以上」という目標を達成できなかったから。やはり自分が立てた目標を達成するのって、すごく大事だと思うんです。それはスポーツをする上でもそうですし、他のお仕事でも同じだと思うのですが、自分自身に課したノルマを達成できないと悔しいですよね。私の場合、大きな試合に勝てたし、もう1試合(楽天スーパーレディース)も4日間ノーボギーでの優勝だったので、周りのみなさんは「よかった」と思われるかもしれません。でも、それでは満足できない自分がいて、目標を立てたからには、それを達成したいなと思います。

 アメリカツアーの試合はアマチュアの頃にテレビで観ていました。ただ、それは男子の試合で、女子の試合はあまり放送されないので、観る機会がほとんどありませんでした。だから、自分でプレーしてみたいという気持ちもあまりなかったのですが、2020年に「全英女子オープン」や「全米女子オープン」でプレーしたら、「私のゴルフなら、のびのびプレーできるんじゃないか」「こっちでも戦っていけるんじゃないか」という意識が強くなったんです。それに、シブコから「アメリカツアーはいいよ」という話も聞いて、自分も行ってみたい、チャレンジしたいという気持ちがだんだん強くなっていきました。さらに、2021年にも海外メジャーに出てみて「戦っていける」と感じたので、挑戦することを決めました。

 アメリカでプレーしたいと思うようになったのは、私の飛距離が伸びたからだと思います。もっと飛ばそうとトレーニングに力を入れた結果、そのための身体ができてきました。
 それにアメリカのコースは、日本にくらべて距離があるので、ドライバーが飛べば、その分有利になります。アメリカのコースはグリーンが硬いので、近くから打ったほうがピンに寄る確率が高いですよね。私の飛距離なら、飛ばない選手に対してアドバンテージになると思えるし、今回の予選会でもそれは感じました。一緒にプレーした選手の中には、今年のツアーで活躍する人が何人もいると思うし、その中で上位に入れたのはすごく自信になったので、ツアーでも自信を持ってプレーできる気がしています。

 ただ、飛距離に関しては、今のままでも十分戦っていけるとは思いますが、もう少し精度を高めて飛ばせるようなスイングや身体をつくっていきたいなとも感じました。だから、トレーニングも、方法を見直してやっていきたいなと思っています。
 今の時点では、私のような予選会から参戦する選手が、ツアーでどの程度試合に出られるのか分かりません。自分にとっての初戦がいつになるかも未定なので、もしかしたら、春先は日本のツアーにも何試合か出るかもしれません

 とはいえ、今年の主戦場はアメリカだと思っていて、まず5月中旬に、日本と同じようにリランキングがあります。だから、それまでに出られる試合でしっかり結果を出さないといけません。もちろんアメリカでも活躍したいですし、まずは1勝をめざして頑張ります。そして、1勝できたなら、どんどん勢いに乗っていきたい。日本のみなさんには、私のプレーを見てもらう機会は少なくなるかもしれませんが、アメリカに行っても応援してもらえるとうれしいです。

勝 みなみ(かつ・みなみ)
1998年鹿児島県生まれ。8歳でゴルフを始め、「日本女子アマ」「日本女子オープン ローアマ」など数々のアマチュアタイトルを獲得。また、高校1年時の2014年には国内女子ツアー史上最年少優勝を達成。17年プロテスト合格。翌年プロとしてツアー初優勝を飾ると、2021年、2022年の「日本女子オープン」を連覇。2022年メルセデスランキング4位、平均パット数(パーオンホール)1位。身長157センチ、血液型AB。