2023/03/31

D-Cafeレポート

《ダンロップ契約プロたちのJLPGAツアー奮闘レポート①》 開幕からの1か月を振り返り。今シーズン愛用するギアもピックアップ

今季のベストフィニッシュ:Tポイント×ENEOS ゴルフトーナメント 3位タイ

 沖縄での開幕戦は残念ながら予選通過はならなかったものの、その後、2戦連続で3位タイ入賞と好調なスタートを切った小祝 さくらプロ。ここまでのプレーを振り返り、「開幕戦はアプローチとパターで苦戦したのですが、ショットはよかったんです。パットは2戦目以降もいまひとつなのですが(苦笑)、ショットはずっと調子がよくて。いいゴルフができているんじゃないかと思います」と明るい表情で話します。その要因について尋ねると「私は元々ショットメーカーだと思っていたのですが、去年はショットが乱れていたので、このオフはショット練習に重点を置きました。それと、去年はあれもこれもといろいろ試してみたのですが、あまりよくないなと感じたので、今年はオフにやるべきことを決めて、シーズンに入ってからもそれを1年間やり続けて調整しようと思っているんです。去年とくらべて今年の方が感触はずっといいのは、それが理由だと思います」と、オフの練習と課題への取り組み方の工夫を挙げていました。

 ショットが好調という言葉を裏付けるように、今季の4試合を終えた時点での小祝プロのパーオン率は80%を超え1位。その正確なアイアンショットを生み出しているのが、昨シーズン途中から愛用している『スリクソン ZX7 Mk II アイアン』です。ただ、去年からはセッティングを一部変更したそうで、「去年、使い始めた時には、8番からPWは『ZX7 Mk II』にして、5番から7番はポケットキャビティの『ZX5 Mk II』でした。でも、オフの間にZX7の5番~7番を打ってみたら、打感がいいし、しっかり強い球が出てくれて。5番アイアンでも全然難しくないし、すごく打ちやすいんです。それに、同じモデルにしたほうが見え方とかのつながりがいいと思ったので、全番手ZX7で統一しました」。また、オフのショット練習の成果で、状況に応じてドローやフェードを打ち分けられるようになったそうで、「コースマネジメントがすごく楽になって、攻めやすくなりました。試合でもそれができています」と小祝プロ。球筋の打ち分けがしやすくなったのには、ZX7の操作性の高さも貢献しているかもしれません。

 小祝プロと言えば、黄金世代の一人として知られていますが、同じ黄金世代で仲良しの勝 みなみプロは米ツアーが主戦場、淺井 咲希プロはJLPGAツアーの制度を使って産休中と、今シーズンは一緒にプレーする機会が少なくなりそう。それについて尋ねると、「たしかにさびしいですよね。でも、おめでたいことでもあるし、またツアーで会えるとは思うので、〝それまで元気で、お互い頑張ろう!〟という感じです」と笑顔でコメント。そんな小祝プロに今シーズンの目標を聞いてみました。「今年は、開幕前にはあまり明確な目標は立てませんでした。メジャーで優勝したいという気持ちは以前からあるのですが、それにあまりこだわらずに、とにかくベストを尽くして頑張るしかないかな、と。シーズンは長いし、何が起こるか分からないんですけど、1年間ケガなくプレーすることも目標の一つです」。とはいえ、今季もハイレベルなプレーを続ける小祝プロだけに、メジャー初制覇の知らせが楽しみです。

今季のベストフィニッシュ:アクサレディスin MIYAZAKI  25位タイ

 菅沼 菜々プロは、自身にとって今季の初戦となった高知での試合は「久しぶりの試合で試合勘がなかったし、すごく緊張してしまってダメでした(苦笑)」と予選通過ならず。ただ、翌週の鹿児島の試合では、最終日に5アンダー「67」をマークし、相変わらず最終ラウンドに強いところを見せ、「あの試合からはすごく楽しく、いつも通りプレーできました。これから流れをつかんでいきたいです」と笑顔で話します。去年は年間ランキングをはじめ各スタッツでキャリアハイを記録し、「優勝できなかったこと以外はほぼ満足な年でした」と振り返る一方、「フェアウェイキープ率とパーオン率が低かった」と反省。そのため、このオフはスイングの修正に取り組んだそうで、「トップでシャフトが飛球線とクロスしてしまうのを直したくて、12月に入ってすぐに取り組んだのですが、やはり1年間でついたクセはなかなか直らなくて大変でした(苦笑)。直すのに1か月半くらいかかったけれど、フェアウェイキープ率は去年より高いですよ。まだ試合数が少ないですけど(笑)」。さらにパーオン率向上のために、100ヤード以内のショットの精度アップに取り組み、「バーディも獲れているし、だいぶいい感じです」と、こちらも手ごたえを感じているようです。

 菅沼プロの昨年の活躍を支えたのが『ゼクシオ エックス』。ドライバーからアイアンまで、すべて「ゼクシオ エックス」というセッティングは今シーズンも同じです。その中でも、オフに最も練習したというドライバーについて、どんなところに魅力を感じているのか、あらためて聞いてみました。「まず、ヘッドの座りがメチャいいところです。私はフェードヒッターなので、構えた時にフェースが開いてほしくないんです。その点、このドライバーは、トンと置けば、フェースがまっすぐターゲットに向いてくれるので構えやすいんです。それに、ヘッドが大きすぎなくて、薄めなのでボールが上がりやすそうなところもいいです」とまずはヘッドの構えやすさを説明。また、「スイートエリアを外しても、あまり飛距離が落ちないし、曲りも少ないんです。打球音も、高い音がゴルフコースでよく響くし、いかにも飛んでいる感じがして好きです」とコメント。エースドライバーへの厚い信頼は今シーズンも変わらないようです。

「去年はメルセデスランキングが8位だったので、今年は5位以内をめざして頑張りたいと思っています。5位以内に入るために、やっぱり優勝したいのですが、あまりガツガツせずに、ふだん通りプレーして優勝できたらいいなと思います」と今季の目標を語る菅沼プロ。昨年、15回のトップ10フィニッシュを果たし、そのうち2位が2回、3位が3回とコンスタントに上位入賞を果たした菅沼プロだけに、年間ランキング5位以内とツアー初優勝に期待が膨らみます。そして、菅沼プロが掲げるユニークな目標がもうひとつ。「去年、私は、3パット率(※3パットかそれ以上のパットをしない確率)で1位だったので、今年も1位になりたいし、記録を更新したいんです。1位とは言っても、3パットを35回したので、それをひとケタにしたかったのですが、もうすでに2回してしまっているので無理かな(笑)。でも、せめて半分くらいにはしたい。私は元々ロングパットが得意で、距離感が合えば3パットは減ります。だから、今年は私のパットにも注目していただきたいです」。

今季のベストフィニッシュ:アクサレディスin MIYAZAKI  8位タイ

「ショットもパットも調子自体は悪くないので、ここから徐々にコンディションを上げていけるようにしたいです」と、今季の3戦目を終えた感想を語っていた山下 美夢有プロ。成績は、沖縄での開幕戦から24位、18位、12位とまさに尻上がりで、鹿児島での3戦目の最終日には10バーディを奪い、18ホールのトーナメントレコードを1打更新する9アンダー「63」をマークするなど、持ち前の爆発力を見せました。

 昨シーズンはメジャー2勝を含む5勝を挙げ、史上最年少の21歳で年間ランキング1位を獲得。また、日本人選手初の年間平均ストローク60台など数多くの記録を達成した山下プロに、このオフのトレーニングについて聞いてみると、「特に新しいことはやっていません。トレーニングにしても特別なことはやっていなくて、基本的には地元(大阪)で、ショット練習とかラウンドをしていました」とのこと。その中でも力を入れたのは、昨年と同様ショートゲームで、去年よりもバリエーションを増やすために、さまざまなアプローチショットを練習したのだとか。山下プロと言えば、去年パーオン率1位に輝いたアイアンショットの正確さが武器ですが、今年は小技にも注目です。

 昨年9月、ホステスプロとして「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」を制した山下プロ。初日に12バーディを量産してJLPGAツアー新記録の「60」をマークし、最後まで首位の座を守り通す〝完全優勝〟を果たした試合で、初めて実戦投入したのが『スリクソン ZX5 Mk II』ドライバーと『同ZX Mk II』フェアウェイウッドの#3と#5でした。今季はそれに加え、アイアンも『同ZX5 Mk II』でツアーに参戦しています。さらに、このオフの間に調整して開幕戦から使用しているのがNEW『スリクソン Z-STAR XV』。「XVにした決め手は、飛距離が出ることもそうですが、アイアンやアプローチでスピンコントロールがメチャしやすいから。ツアーでは、毎週コースが変わるし、コンディションも違うと思うのですが、そんな中でもいつも変わらずにプレーができるのは、ボールのおかげかなと思います」と、「XV」のスピンコントロール性能の高さに厚い信頼を寄せている山下プロ。また、「XV」のしっかりした打感が、パットの距離感を合わせやすいのだそうです。

 昨年、プロ2シーズン目にして頂点を極めた山下プロ。今年も2年連続の年間女王など、さまざまなタイトルの獲得に期待がかかるものの、「今年は、毎試合〝挑戦〟という気持ちでプレーしていて、毎試合上位で戦えるようにするにはどうすればいいかを考えています。そのために、どうやってコンディションを上げていくかということしか頭にない感じですね。あまり大きな目標は考えずに、目の前のことに集中して」と話すように、プロ本人の視線はもっと近くを見つめている様子。さらに「1年間、体重を落とさないようにすることもそうですが、やはり栄養のバランスを考えて食べることも、身体づくりには必要だと思います。そういう体調管理が、毎試合上位で戦うためにはいちばん大事なのかなと思います」と、食生活を含めたコンディショニングの大切さを強調していました。そんな山下プロは、「アクサレディスin MIYAZAKI」(3月第4週)で3日間すべてアンダーパーでプレーし、今季の自己ベストを更新する8位タイに入賞。今季初のトップ10フィニッシュを果たした今、やはり早い時期での今季初優勝を期待せずにはいられません。