2023/09/08

XXIO製品情報

《飛びとソフトな打感、スピン性能に磨きをかけたディスタンス系ボールの最先端》『ゼクシオ リバウンド ドライブ II』デビュー!

児島 大二郎(こじま・だいじろう)
住友ゴム工業㈱ スポーツ事業本部 商品開発部 ゴルフボール技術グループ

2020年入社。1年目よりディスタンス系ゴルフボール開発に携わる。大学・大学院時代に培った化学知識をゴルフボール各部材の設計に活かし、「ゼクシオ リバウンド ドライブ(初代)」「ゼクシオ リバウンド ドライブ II」のほか、「スリクソン X3」の開発も担当。

尾野 恵美奈(おの・えみな)
住友ゴム工業㈱スポーツ事業本部 ゴルフビジネス部 ゴルフボールビジネスグループ

2013年入社。海外物流部を経て、20年にゴルフビジネス部に異動。21年よりゴルフボールの商品企画の担当となり、現在、ディスタンス系ボールの国内外モデルの商品企画を手掛ける。

Q:まず、『ゼクシオ リバウンド ドライブ II』(以下、ゼクシオ RD II)の商品コンセプトについて教えてください。
尾野:初代モデルの広告コピーは、「飛ばせる! 狙える! 入る! 全ての一打がうまくいく。ALL OK!」というものでした。〝一人でも多くのゴルファーに、楽しいゴルフをもっと体験していただきたい〟という私たちの思いを伝えるには、「ALL OK」というコピーはシンプルで分かりやすいものでした。性能についても、ユーザーのみなさんに満足していただけたと考え、『ゼクシオ RD II』も、飛ばせて、狙えて、入る〝ALL OK〟であり、それぞれの性能を進化させたボールになっています。

Q:そのコンセプトを実現した『ゼクシオ RD II』の特長を挙げていただけますか?
尾野:初代では、剛性の異なる層を組み合わせることで、各ショットで最適なたわみを生み出す「リバウンドフレーム構造」(以下、RF構造)を採用しましたが、「ゼクシオ RD II」では、コア、ミッド(中間層)、カバーの3層すべてを進化させています。いわばゼクシオ専用のRF構造になっていて、カバーがやわらかくなったので、打感はさらにソフトになってアプローチスピン性能も向上していますし、飛びのパワーを高めるコアとさらに反発を高めたミッドで、圧倒的な飛びも実現できました。また、初代で好評だったアライメントマークのデザインを改良し、「ナビゲートライン 2.1」として進化させたのもポイントです。
児島:尾野が言うように、初代の性能が市場に受け入れてもらえたのは、開発陣の一人としてとてもうれしいことでした。そのフィードバックを受けて、開発陣として次期モデルをどうするのかという話になった時に、やはりRF構造の進化が欠かせないなと。具体的には、RF構造のやわらかい層はさらにやわらかく、硬い層はさらに硬くして剛性にメリハリをつけたのが「ゼクシオ RD II」の新しいRF構造です。

Q:ということは、カバーはさらにやわらかくしようとしたわけですね。
児島:はい。企画チームからは、「さらに飛距離を伸ばしつつ、アプローチでは、より多くスピンがかかるようにしてほしい」という要望がありました。アプローチでのスピン性能を上げるには、表面のカバーの層をソフトにすることが欠かせないのですが、飛距離性能を考えると、やわらかいカバーはネガティブ要素しかありません。というのも、弾き、すなわち反発性能が落ちてしまうからです。それに、カバーをやわらかくすると、アプローチだけでなくドライバーでのスピンも増えてしまい、飛距離をロスすることになります。

Q:たしかに、ソフトにしつつ飛ばすというのは相反するテーマのように思えます。
児島:そうなんです。ウレタンカバーを採用しているプロ・上級者向けのスピン系ボールは、そうしたネガティブな要素を、ミッドやボール全体を硬くするなど構造を工夫することで反発性能を補い、飛んでスピンもかかるようにしています。ただ、それだと、どうしても打感はハードになってしまう。ゼクシオのボールは、アベレージゴルファーをターゲットにしているので、ソフトな打感というのはとても大事になってきます。ボール全体としてやわらかく、かつ反発もよく、カバーもソフトにする、という課題をどう解決するか。そこで、開発陣として検討した結果、初代モデルをはじめ多くのディスタンス系ボールが採用しているアイオノマーカバーをやわらかくすることに着手しました。

Q:そうして完成したカバーの説明には、「ウレタンカバーとアイオノマーカバーの〝イイとこどり〟」とありますね。
児島:はい、その通りだと思います(笑)。私としては、スピン系とディスタンス系を融合させたカバーだと思っています。アイオノマーはウレタンよりも反発性能にすぐれているのですが、今回、反発との兼ね合いを見ながらやわらかくしていって、硬度としては、当社の初期のウレタンカバーボールである「スリクソン Z-UR」(注:2005年発売)と同程度までやわらかくすることに成功しました。およそ15年越しで、ウレタンのやわらかさにアイオノマーで追いついたのです。

Q:それは画期的ですね。それが可能になったのはなぜですか?
児島:まず、スピン性能向上のためにカバーをやわらかくすること自体は、初代から取り組んでいたので、そのノウハウから新しい材料を配合することで、よりやわらかくすることができました。それと、新しいRF構造では各層が互いに意味のある関係になっていることも要因です。先ほど、カバーのソフト化は反発との兼合いを見ながら、とお話ししましたが、ミッドをより高反発化することで、カバーは、反発を多少犠牲にしても、よりソフトにすることができたのです。

「ゼクシオ リバウンド ドライブII」(ゼクシオ RD II)の断面と、新旧モデルの硬度分布比較。初代にくらべコアの中心とカバーはよりソフトに、ミッドは反発を確保するために剛性を高めた「リバウンドフレーム」構造により、飛び、打感、アプローチスピン性能のすべてが向上。

Q:かぎりなくウレタンのやわらかさに近づいたという「ゼクシオ RD II」のカバーですが、硬度はどうやって比較したのですか?
尾野:カバー硬度は、コンプレッション以上に測定が難しいので「指数」で比較しています。当社の計測データでは、一般的なアイオノマーカバーボールを〝100〟とすると、初代が〝79〟だったのに対し、「ゼクシオ RD II」は〝75〟になっています(注:数値が小さいほどやわらかい)。そもそも初代のカバーもやわらかかったので、「ゼクシオ RD II」がソフトであることが伝わりにくいのですが(苦笑)、他社のアイオノマーをみると、いちばんやわらかいモデルでも〝93~94〟なので、「ゼクシオ RD II」のカバーがいかにやわらかいかが分かると思います。
児島:他社のディスタンス系ボールの多くは、飛距離に特化しているので硬いカバーを採用しています。そのため、アプローチではスピンがかかりにくいのですが、カバーをさらにやわらかくした「ゼクシオ RD II」はそれとは違い、しっかりスピンがかかるのです。

Q:「ゼクシオ RD II」のカバーについて、実打テストではどんな反応があったのでしょう?
児島:はい。ゴルファーによるテストではボールのロゴを隠すのですが、アプローチやパットの際に、「これはウレタンカバーですか?」と聞いたり、「ウレタンカバーにすごく近い」と感じる方がとても多かったです。アプローチの打感に関しても、「フェースに乗る感じが、スピン系ボールにすごく似ている」という声がとても多く聞かれました。そう言ってもらいたくて開発していたのでうれしかったですね。

Q:カバーをやわらかくする一方、ミッドはウレタンカバーボールのように硬くして反発を高めたそうですね。技術的な難しさはなかったのでしょうか?
児島:ありました。それは、製造する難しさに加えて、ミッドを硬くすることで、アプローチやパターの打感が悪くなるんじゃないかという懸念がありました。そのため、テスターの方に何十回も実打をお願いしました。アマチュアの場合、ドライバーやアイアンでは打点がバラつくので、「打感は分からない」という方もいるのですが、アプローチやパターになると、バラつきが減ってきます。その分、打感にも敏感になるので、実は今回いちばんテストしたのはショートゲームでした。結果は、カバーをやわらかくした効果で、「やわらかい」というコメントがほとんどを占めたので安心しました。

Q:そして、コアについても中心がソフトになっていて、先ほどお話のあったように、RF構造にメリハリがきいています。
児島:はい。ミッドを硬くすることで、弾きがよくなりますし、ドライバーの余分なスピンも抑えられます。ただ、それだけではまだ、カバーをソフトにすることによるスピンの増加をカバーできません。そこで今回、コアの配合をもう一度見直して、〝外剛内柔〟の度合いをさらに強め、中心を非常にやわらかくしました。それにより、コアの変形量が大きくなるので、余分なスピンを減らすことができ、ドライバーやアイアンで初代よりも低スピンになり飛距離アップにつなげました。先ほども言ったように、「ゼクシオ RD II」のRF構造は、互いの長所を生かすためにそれぞれの短所を補い合うという、素晴らしい構造になっていると思います。

Q:「ゼクシオ RD II」の適応ヘッドスピードを見ると、30~45m/sと非常に幅広いですね。
児島:その点は初代から変わりません。というのも、やはりゼクシオはアベレージゴルファー向けブランドですし、「ゼクシオ RD II」も女性やシニアの方にも使っていただきたいので、ヘッドスピードが遅めの30m/s付近のテストも繰り返し行いました。そこでも他のディスタンス系ボールとくらべ、ドライバー、アイアンともに飛距離性能が高いことを証明できました。
尾野:「ゼクシオ RD II」のように、30m/s付近までしっかりカバーしているとメーカーが発信しているボールは多くないと思います。最初にお話ししたように、「ゼクシオ RD II」は、飛び、打感、スピンのすべてで初代より進化しているので、ヘッドスピードが遅めの女性やシニアの方でも、高打ち出し低スピンで、やさしく大きく飛ばせるボールになっています。

Q:商品企画に関連して、ほかに女性を意識した点はあるのでしょうか?
尾野:カラーバリエーションは初代と同じで、その日のファッションや気分に合わせて選べるので、そこは女性にはうれしいポイントなんじゃないかと思っています。社内では「こんなに必要なのか?」という声もあったのですが(笑)、女性はいろいろなカラーを選べたほうが楽しいという意見もあるので、選択肢を多くしたいという思いがありました。また、女性向けでは、初代で採用した「プレミアムピンク」が好評でした。ホワイトをベースにキラキラしたピンクをペイントしたもので、それまでの真ピンクよりセールスは増えました。それと、各種の市場調査では、やはり女性は性能だけでなくデザインも同じくらい重視するという声を聞くので、パッケージデザインは女性でも手に取りやすいものにしました。

Q:レディスゴルファーの中には、男性ほどボールにこだわらない方もいるように思いますが……。
尾野:たしかに、「ボールは安いほうがいい」とか、「どんなボールを使っても一緒じゃないか」と考える女性は多いかもしれません。当社の他のボールを使ってくださっていたら、それはそれでうれしいのですが(笑)、やはりボールによって性能はこんなに違うんだというところを、ぜひ「ゼクシオ RD II」を使って感じてほしいですね。同時に、これは男性に対しても同じですが、「ボール選びは大事なんだ」ということを、メーカーとして丁寧に伝えていきたいと考えています。

Q:最初にお話に出たアライメントマークの進化も、他のボールとの違いだと思いますが、具体的にどう変わったのでしょう?
尾野:はい。今回の「ナビゲートライン 2.1」では、4つあるマークのうち、「コンセントレーションマーク」(注:センターの丸のマーク)をさらに大きくして、より見やすくし、「フェースタッチライン」(注:センターの縦方向のライン)を長くして、より構えやすくしました。私自身、ゴルフ初心者なのですが、パットだけでなく、ドライバーで打つ時もアライメントマークを使っています。他社のディスタンス系ボールを見ると、シンプルなアライメントマークもあるものの、初代のアライメントマーク「ナビゲートライン 2.0」は好評でしたので「ゼクシオ RD II」では進化させました。

Q:初代もディスタンス系ボールとしては画期的だと感じましたが、長所を伸ばしている点で、「ゼクシオ RD II」はさらに画期的だと思います。最後に、購入を検討されている方へメッセージをお願いします。
児島:開発として今回最も苦心したのがカバーで、最初に「アイオノマーカバーをさらにやわらかくしたい」と言った時には、工場のみなさんに「本当にやるのか?」という顔をされました(苦笑)。それは成型が本当に難しいからなのですが、コンセプトを実現するにはどうしてもそれが必要だということを納得してもらい、多くの方々の協力によって、難しい工程をクリアできました。そうして完成した「ゼクシオ RD II」は、私たちの工場でも一二を争う高品質のボールで、打ってもらえば、絶対に他のディスタンス系ボールとの違いが体感できますし、よさを分かっていただけると思います。
尾野:「ゼクシオ RD II」はゴルフを楽しむすべてのゴルファーの方に自信をもっておすすめします。
また、ゼクシオというブランドが好きでゼクシオクラブを使ってくださるゴルファーの中には、まだゼクシオボールは使ったことがない方もいると思います。特に女性にはゼクシオクラブのファンが多いので、そんな方にはぜひ、「ゼクシオ RD II」のALL OK性能を体感していただきたいです。とにかく欠点がないボールなので(笑)。ゼクシオボールの性能評価はずっとゼクシオクラブで行っているので、やはり相性がいいですし、間違いなく合うので、ゼクシオクラブのユーザーのみなさんにはぜひトライしていただきたいですね。

カラーバリエーションは初代と同じ「ホワイト」「プレミアムホワイト」「ライムイエロー」「プレミアムピンク」「X Mark Edition」の5色。「X Mark Edition」のメインロゴの〝X〟は黒一色に変更し、「ゼクシオ エックス」のクラブとの連動性を強調。


『ゼクシオ リバウンド ドライブ II』の詳細はこちらをご覧ください。