2023/09/04

D-Cafeレポート

《リラックス・トーク》初優勝したことで、勝ちたい気持ちがさらに強くなった。次はメジャーに勝ちたい ~ 櫻井 心那 ~

※このインタビューは2023年8月下旬に実施しました。

 こんにちは、櫻井 心那です。今年の夏はすごく暑い日が続いていますが、みなさん、お元気ですか? 私の場合、この夏は本当にいろいろなことがありました。
 まずは、「資生堂レディスオープン」でのツアー初優勝。応援してくださったギャラリーのみなさん、どうもありがとうございました。覚えている方もいると思いますが、あの試合は、プレーオフ2ホール目でバーディを獲って勝つことができました。

 プレーオフでは、手が震えるくらいメチャ緊張していました(笑)。でも、相手選手もけっこう緊張しているのが伝わってきたので、「じゃあ私は冷静になろう」と思って、あまり喜怒哀楽を表に出さずに、平常心でプレーすることを心がけました。
 優勝を決めたバーディパットは下りでしたが、正規のラウンドで18番をプレーした時に同じ組の人が同じようなラインから打っているの見て、あまり速くないと思ったし、曲がり幅もわかっていたので、「しっかりめで大丈夫だな」と思って打ちました。優勝が決まって、一瞬泣くかなと自分では思ったのですが、うれしさが勝ってしまってニコニコが止まりませんでした(笑)。
 結局、最終日は18番ホールを3回プレーしたのですが、ドライバーのティショットは打つたびに飛距離が伸びました(笑)。ただ、3回とも飛ばそうというつもりは全然なくて、スイングが緩まないように、とにかく思い切り振るようにしたら飛んだ、という感じでした。
 ちなみにドライバーは『スリクソン ZX5 Mk II LS』を使っていて、これに替えてから高さが抑えられて飛距離が伸びたし、方向性も、試合に出るうちにちょっとずつよくなってきました。

 そしてボールは『スリクソン Z-STAR ♦︎(ダイヤモンド)』。最初にドライバーで打った時に「なんだか飛びそうな音だな」と思ったので替えました(笑)。その後、5番アイアンで打った時に、しっかりスピンがかかって、グリーンに乗った後にピタッと止まってくれたので、これはいいなと。アプローチでもスピンが入るし、「Z-STAR ♦︎」はスリクソンの他の2つのモデルの〝いいとこどり〟をしたボールという気がします。

 初優勝の1カ月後、「楽天スーパーレディース」で2勝目を挙げることができました。実は「資生堂~」では全然調子がよくなかったのに優勝してしまった感じだったので、勝った実感が湧かなかったんです。もちろん最終日は優勝を狙ってプレーしたんですけど、初日から狙っていたわけではなかったので、次は初日から優勝を狙って勝ちたいなと思っていました。
「楽天~」では、練習ラウンドから調子がよくて、初日からバーディをしっかり獲れて「67」で回ることができました。スコアの伸ばし合いになることは開幕前から何となく感じていて、「1日5アンダーを4日間続けたら勝てそう」という感触もあったので、毎日それを目標に頑張りました。

 初優勝した時と違って、あの試合では緊張はしませんでした。ほどよい緊張感はありましたが、最後までバーディを狙っていかないと勝てない状況だったので、緊張している暇はなくて、とにかく攻めなきゃという感じでした。
 結局、最終日もバーディを6つ獲れて(ノーボギー)、逆転で勝つことができました。初優勝から1カ月で2勝目ができたのは、自分でも早いなと思います(笑)。ただ、もちろん優勝は毎試合ずっと狙ってはいたので、なんだか不思議な感じなんですよね。

 勝因はいくつかありますが、ひとつは、苦手だった100ヤード以内のショットがよくなったことです。まあ今も得意ではないんですけど(苦笑)、初優勝した後からかなり練習するようにしたら、「楽天~」ではだいぶよくなってきていました。試合では、4日間通して100ヤード以内のショットで何度もチャンスにつけることができて、バーディパットも「お先に」と打てていたので、そこは初優勝の時からは上手くなっているなと感じました。
 それと、初優勝も2勝目もキャディの古賀雄二さんが助けてくれました。古賀さんは、私とは年はだいぶ違うのですが、高校(長崎日大高校)の先輩なんです。去年のシーズンが終わった後に連絡をくださって、「来年担がせてほしい」と。古賀さんはこれまですごい選手のキャディをしてきて、ツアーで何勝もしているので、私にすれば、すごいキャディさんという認識がありました。だから、お話があった時には「私なんかがいいの?」と思いました。それは今でも思っているのですが(笑)、私が高校の後輩で、やっぱり地元の子を応援したいと言ってくださったので、お願いすることにしたんです。

 古賀さんは、初優勝した試合で、私がボギーを打って凹んだ時に、「大丈夫だよ」と励ましてくれたし、プレーオフの第2打で、私が「100ヤード以内は自信ないです」みたいなことを言ったら、「練習と思ってやればいいよ」と。まあ、あまり期待していないからそう言ったのかもしれないけれど(笑)、とにかく私の気持ちを軽くしてくれました。なので、初優勝も2勝目も、古賀さんがいなかったらできなかったと思います……と言ったら古賀さんが喜ぶかな(笑)。でも、古賀さんのおかげで勝てたのは本当です。

 そして、8月中旬には「全英女子オープン」に出場してきました。私にとっては初めての海外メジャーでしたが、正直、コースでプレーしても、メジャーという雰囲気はあまりなくて、全然緊張もしませんでした(笑)。ただ、出場選手の顔ぶれがすごくて、クラブハウスの中で、私が大好きなキム・ヒョージュ選手を見かけた時には、「うわっ、ヤバ!」と、いちいちテンションが上がっていました(笑)。

 試合が始まって、初日を終えて7位タイにつけた時点では、自分にちょっと期待していたというか、「意外といけるんじゃない?」みたいな感じになっていました。でも、決勝ラウンドの2日間は風がかなり強くなって、スコアを崩してしまって……。スコアを落としたのは、疲れもあったと思います。疲れが原因でスイングもガタガタになってしまって、それで上手くいかなかったように思います。
 一緒に回った選手は、やっぱりメッチャ上手かったです。それはそうだろという話なんですけど(笑)、みんな球に直進性があるというか、球が強いんです。それに、みんなスイングがブレない。体幹が太い感じがして、とにかくブレないなと感じました。アプローチも、「そこからは難しいでしょ」というところからでも寄せてくるので、「スゴっ!」と思いましたね。
 私はもともと海外ツアーで戦いたいと思っていたのですが、今回、初めて海外のメジャーでプレーしてみて、今まで以上に世界でプレーしてみたいという思いが強くなりました。
 さて、いよいよ私の地元・長崎で「日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯」が開催されます。私にとって、この大会に出ることが今年いちばん大きな目標でした。会場の「パサージュ琴海アイランドゴルフクラブ」は高校の頃からラウンドしていて、今も練習させてもらっているので、コースのことはよく知っています。ただ、最近はなかなかプレーする時間がないし、大会用にセッティングされている今は、私が知っているのとは全然違うコースになっていると思います(苦笑)。でも、家から通えるし、知り合いも応援に来てくれるはずだし、キャディも古賀さんにお願いしているので、ぜひ地元で優勝したいと思っています。

 この大会を含め、メジャーで優勝することがツアー後半戦の私の目標です。まだメジャーが3つあるので、できれば全部勝ちたいです(笑)。出るからには優勝したいという気持ちはずっとありましたが、初優勝してから、「私にも勝てる力がある」と自信になったし、1勝してからの方が、優勝したいという気持ちは強くなったかもしれないません。
 それに、メジャーで勝てれば、実力は本物だと思います。メジャーのセッティングはすごく難しいので、そこで優勝するのは本当に難しいことですよね。それができるのが本当に強い選手というイメージがあるので、私もそうなれるよう、優勝をめざして頑張りたいと思っています。

櫻井 心那(さくらい・ここな)
2004年長崎県生まれ。5歳でゴルフを始め、「九州女子選手権」や「全国高等学校ゴルフ選手権」で優勝。高校3年でプロテストに合格し、ルーキーイヤーの2022年、ステップ・アップ・ツアー新記録となる5勝を挙げ賞金女王に。ツアーに初めて本格参戦した今年「資生堂レディスオープン」でツアー初優勝を飾ると「楽天スーパーレディース」で、ツアー史上4番目の若さ(19歳167日)でツアー2勝目を達成。身長166センチ、血液型0。

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