2024年3月13日、アマチュアの香川 友が国内男子で史上最年少となる15歳7カ月でプロ転向を表明。同時にダンロップの契約プロとなった。
香川が初めてゴルフコースをラウンドしたのは、なんと歩けるようになってまもない1歳数か月の時。父・正宏氏が千葉県野田市で経営するゴルフ練習場「関宿ゴルフセンター」を訪れたあるゴルフコース関係者から、「私たちのコースでラウンドしてみませんか」と提案されて実現した。1ホールのみのプレーだったが、クラブは軽いプラスチック製ではなく、ジュニア用クラブのシャフトを短くした金属製だったという。
その後、関宿ゴルフセンターで練習し、千葉各地の名門コースでラウンドするという恵まれた環境で腕を磨いた。
香川が今でも鮮明に覚えているというのが、4歳の時にフィル・ミケルソンのプレーを生で見たこと。DVDでミケルソンのプレーを見た香川が「ロブショットを見たい」と正宏氏に懇願し、米国PGAツアー「BMWチャンピオンシップ」を現地観戦したのだ。
「ラフからフルショットでロブを打つのを見て、失敗を恐れない思いきったプレーに憧れるようになりました」(香川)
それをきっかけに自身もアメリカでプレーしたいと思うようになり、図工の授業では、アメリカに行きたいという気持ちから飛行機を作ったそうだ。
5歳頃から競技に出場するようになると、6歳の時、全国規模の大会で優勝。小学6年時には、プロや研修生が出場するミニツアーで、プロの優勝スコアと同じ5アンダー「67」をマークした。開催コースの「ザ・ロイヤルゴルフクラブ」は全長7585ヤード・パー72というタフな設定だったが、当時すでにドライバーの平均飛距離が260ヤードを超えていた香川は苦にならなかったという。
そして香川を一躍有名にしたのが、13歳で出場した2022年4月の国内男子ツアー「関西オープンゴルフ選手権」。前月に126人が参加したアマチュア予選会を見事トップで通過し本選出場を果たすと、初日に一時5アンダーまでスコアを伸ばし首位に並んだ。
「プロのみなさんが上手いので、一緒にプレーしていて楽しかったです。コースはめちゃめちゃ難しかったけど、それも楽しめました。小さい頃からアメリカでもプレーしていたので、グリーンも速い方が好き」
最終的には予選落ちに終わったものの、スケールと可能性の大きさを感じさせた。
そして昨年、中学生としては異例の国内男子ツアーの予選会(QT)に挑戦し、セカンドQTを通過。サードQTで81位となり、特例により義務教育が終了する今春の中学卒業をもってQTランクが付与され、プロになる資格を得たのだ。
今ではヘッドスピードが50m/sを超え、ドライバーショットのキャリーは300ヤード前後。その飛距離は最近になってまた伸びたという。
ダンロップとの出合いは、小学校低学年の頃。スリクソンのボールとクラブを使い始め、8歳でモニターとなった。ボールはずっと『スリクソン Z-STAR XV』を愛用しているそうで、
「僕は打感がしっかりしているボールが好き。Z-STAR XVは、飛んで止まるボールだと思います」
そんな香川に、改めてプロとしての目標を聞いてみると、
「本当のことを言うと、僕は、プロになりたいと意識したことはなくて、ゴルフを始めた時から、ずっと〝世界一になりたい〟と思ってきました。世界ランキング1位は、日本人ではまだ誰も達成していないですから。それとマスターズで優勝したいです」
と頼もしい答えが返ってきた。
そのために、まずはプロ1年目の今年、多くの試合に出場できるABEMAツアーで優勝をめざすものの、
「それができたらレギュラーツアーでも勝って、アメリカに行きたいです」
と、その目ははるか彼方を見つめている。まだ伸び続けているという身長と同様に、ゴルファーとしてどこまで伸びしろがあるのか、期待は大きくふくらむ。
香川 友(かがわ・とも)
2008年7月31日千葉県生まれ。1歳の時にクラブを握り、父・正宏氏が経営する関宿ゴルフセンターで腕を磨く。6歳の時、「全国小学校ゴルフ選手権横尾要カップ」のスーパージュニアの部で優勝。小学6年時にはオープン競技「フィリピンアマチュア選手権」に出場し史上最年少で予選通過。中学2年で出場した2022年「関西オープンゴルフ選手権」では、アマチュア予選をトップ通過し本選に出場。今春中学校を卒業し、4月より通信制の代々木高等学校に進学。身長175センチ、体重103キロ。