2024/08/02

SRIXONツアー情報レポート

《 アマチュアゴルファー日本一に独占インタビュー① 鳥居 さくらさん 》ついに手にした日本タイトル。プロになったらアメリカでもプレーしてみたい

DGW: まずは「日本女子アマチュアゴルフ選手権競技」(以下、日本女子アマ)での初優勝、おめでとうございました!
鳥居 さくらさん(以下、鳥居):ありがとうございます!
DGW: あの試合では、初日が3アンダー「69」の15位タイで、2日目が「68」で4位タイ、さらに3日目も「68」で2位と、日毎に順位を上げていきました。初日から調子はよかったのでしょうか?
鳥居:悪くはなかった、という感じですね。手ごたえもあったので、あとは平常心でプレーできたらいいなと思っていました。

DGW: 最終日は首位に2打差からのスタートでしたが、やはり優勝への意識は強かったのですか?
鳥居:あまり意識はしていなくて、〝楽しむゴルフ〟を初日からずっと心がけていたので、最終日もそれだけを徹底してプレーしようと思っていました。楽しんでいたら、おのずとスコアもついてきて、その結果優勝できた感じですね。
DGW: 最終日も「69」で、4日間すべて60台をマークして、終わってみれば2位に5打差をつけての優勝でした。最終日には緊張する場面はなかったのですか?
鳥居:そうですね。しいて言うなら1番ホールのパットぐらいですかね(笑)。ちょっと微妙なパーパットが残っちゃったんですけど、入ってくれてよかったです。
DGW: 試合が終わってから1カ月以上経っていますが、優勝が決まった瞬間の気持ちは覚えていますか?
鳥居:本当に勝った実感が湧かなくて、「優勝?」みたいな(笑)。「キャー!」みたいな感じでもなくて、ビックリしたというのが正直な感想ですね。

DGW: あの試合では友人の鈴木 姫琉(ひめる)さんがキャディをしてくれたそうですが、彼女の存在はかなり大きかったのでしょうか?
鳥居:はい。優勝できたのは、ほぼ姫琉のおかげと言ってもいいくらい、アシストが心強かったです。(開催コースの)我孫子GCは姫琉のホームコースなんです。なので、ホールの攻め方もほとんど姫琉が教えてくれたし、パットのラインもカップの反対側から読んでくれたのを参考にしました。事前に「どういう攻め方するタイプなの?」と聞かれたので、それも伝えて、ホールごとに攻め方を変えたりもできました。

DGW: 鈴木さんからは、プレー中も何か声をかけられたのですか?
鳥居:そうですね。後半の14番と16番でボギーを打ってしまったのですが、私が落ち込んでいると思ったのか、姫琉が「ナイスボギーやで!」とすごくサポートしてくれて(笑)。おかげで、気持ちを下げることなく回れたし、目標にしていた〝ずっと笑顔でプレーする〟ということもできたと思います。
DGW: 日本女子アマには昨年が初出場で14位タイでした。そこから今年は一気に頂点に上り詰めたわけですが、この1年で成長したのはどんなところだと思いますか?
鳥居:去年の大会では、もったいないプレーが多かったのと、天候に恵まれなかったので、集中力が途中で欠けてしまって、プレーが雑になってスコアを落としたこともありました。でも、今年はそういう雑なプレーがなかったし、ずっと集中力をキープしたままプレーできました。技術的に上手くなったというのもあるかもしれないけど、精神面の方が大きく成長できたかなと思います。

DGW: ゴルフは7歳で始めたそうですが、どんなきっかけがあったのでしょう?
鳥居:両親がゴルフ好きで、週末になると練習場に行っていたので、「私も練習に連れて行って」と言いました。それで実際にやってみたら、「え? 難しい!」と思ったのですが(笑)、「でも、始めようかな」と。それで、ゴルフを始めてすぐにスクールに通い始めたんです。

DGW: スクールには自分で行きたいと思ったのですか?
鳥居:いえ、全然(笑)。両親が共働きで、私は一人っ子なのですが、家で留守番をしているのがすごく嫌でした。だから両親の職場によく行っていたのですが、行ってもすることが何もなくて。それで両親が、「だったらゴルフのレッスンに行きなさい」と言うので、行くようになりました。それが、たまたまダンロップの神戸のショップの中にあるスクールだったんです。
DGW: なるほど、ダンロップとの出合いはそこだったんですね。ダンロップのスクールにはいつまで通っていたのですか?
鳥居:小学校を卒業するまで通っていて、その後も時々遊びに行って、お客さんがいない時にはレッスン用の打席で打たせてもらっていました。
DGW: それはいい環境でしたね。
鳥居:そうですね(笑)。

DGW: ダンロップのクラブやボールを使い始めたのはいつですか?
鳥居:小学5年生の時に、ゼクシオのドライバーを買ったのが最初です。その後すぐにモニターにしていただいて、ボールや他のクラブも使い始めました。

DGW: 過去の成績を見ると、地元の兵庫県や関西の試合では優勝したものの、全国大会のタイトルと縁がなかったのですね。
鳥居:はい。小6で出場した「全国小学生ゴルフ大会」で2位タイに入って、中3の時の「日本ジュニア」でも2位タイ。その時はプレーオフで負けました(苦笑)。それで、去年の「日本ジュニア」が3位で……。
DGW: そうでしたか。今回は念願が叶ったわけですね。
鳥居:そうですね。今までいいところまで行っても勝てなかったので、「やっと獲れた!」という感じです(笑)。
DGW: 日本一になったことで、やはり自信はついたのでしょうか?
鳥居:うーん、そこは、これまでとそんなに変わらないです(苦笑)。

DGW: ご自身のゴルフについてお聞きしますが、ドライバーショットの平均飛距離が250~260ヤードとかなり飛びますよね。スイングも力強い印象を受けます。
鳥居:はい、振るタイプです(笑)。今年の春ごろからトレーニングを始めて、また距離が伸びたと思います。
DGW: どんなトレーニングをしているのですか?
鳥居:チューブを使ったり、ダンベルを持ってスクワットしたり。下半身とか体幹を鍛えるトレーニングが基本ですね。
DGW: ドライバーの飛距離も武器だと思いますが、それ以上にアイアンショットに自信があるそうですね。
鳥居:はい。状況にもよりますが、試合でドローやフェードを打ち分けるようにしています。自分がイメージしていた球が打てると、球を操っている感じがしてすごく楽しいです。
DGW: 今使っている『スリクソン ZX5 Mk II アイアン』はどんなところが気に入っていますか?
鳥居:顔がシュッとしているところですね。私はグースネックが好きじゃないので。ヘッドも大き過ぎず、小さ過ぎずで構えやすいです。打感は、弾くのではなく、しっかり手ごたえがあるのですが、今使っている『スリクソン Z-STAR ♦️(ダイヤモンド)』を打つと、フェースにくっつく感があって好きです。

DGW: 一方で、ご自身の課題はどんなところだと思いますか?
鳥居:ひとつはアプローチショットのバリエーションを増やすことですね。それと、バンカーショットも、飛ばしてスピンで止める、転がして寄せる、距離を出さずに止める……。そういうショットをもっと勉強したいです。あとはパットの自信をつけることですかね(苦笑)。
DGW: パットにはあまり自信がない?
鳥居:いえ、調子がいい時はすごくあるんですけど、調子が悪いとなくなるというか……。なので、調子が悪くても、自信を持って打てるようにしたいと思います。

DGW: 実は、数カ月前からコーチをお願いしているという星野 英正プロに、鳥居さんの長所を聞いたところ、「メンタルが強い」と。
鳥居:へぇー、そうなんですか?
DGW: 意外そうですね(笑)。それと星野プロは、「彼女は〝イケイケゴルフ〟だ」とも。
鳥居:あ、それは当たってます。イチかバチかというか、当たって砕けろ、みたいな(笑)。砕け散ったら終わりなんですけど、「日本女子アマ」では砕けなかったということですね。

DGW: 高校のゴルフ部での活動は、この夏の「日本ジュニア」が最後になるそうですね。あの試合はやはり気合が入りますか?
鳥居:そうですね。日本女子アマは、アマチュアの日本一を決める試合ですけど、日本ジュニアは学生の日本一を決める試合ですよね? それに、夏の一番を決める試合になるので、なんだか燃えるというか(笑)。日本女子アマ以上に〝スイッチが入る〟ところはありますね。
DGW: やはり目標は初優勝ですよね。
鳥居:もちろん優勝したいですけど、そんなに甘くはないと思います。やっぱり日本女子アマと同じぐらいに難しい試合になると思います。

DGW: そして、10月末からの最終プロテストを受けることを表明していますね。そもそもプロゴルファーになりたいと思ったのはいつ頃からですか?
鳥居:小学生の頃は全然考えていなくて、プロを意識するようになったのは中学2年ぐらいですかね。ゴルフをしたい気持ちにやっと火がついて、全国大会にもたくさん出るようになって、「もっと頑張るか」みたいな感じで、だんだんプロをめざすようになりました。

DGW: 少し気が早いですが、プロになった後の目標は考えていますか?
鳥居:まずは国内ツアーで優勝して、プロになってから3年から5年の間にアメリカでプレーできたらいいなと思います。
DGW: なぜ、アメリカでプレーしたいのでしょう?
鳥居:自宅ではゴルフの専門チャンネルの放送をよく観るのですが、向こうのコースを見ていると、「プレーしてみたいな」と思います。つい最近も、アメリカのコースでないけど、男子の「全英オープン」を観たのですが、「何、このコース?」みたいな、ゴルフコースかどうかも分からないところでプレーしてますよね。でも、それがめっちゃ楽しそうで、「回ってみたいな」と。そんな、日本とは全然違うコースでもプレーしてみたいんです。

鳥居 さくら(とりい・さくら)
2007年兵庫県生まれ。7歳でゴルフを始め、9歳から競技会に出場。「関西高等学校・中学校ゴルフ選手権」(2019年)、「朝日新聞社杯関西高等学校ゴルフマッチプレー」(2022年)など関西のアマチュアタイトルを獲得。また、「全国小学生ゴルフ大会 女子の部」2位タイ(2018年)、「日本ジュニアゴルフ選手権競技 女子12歳~14歳の部」2位タイ(2021年)、「日本ジュニアゴルフ選手権競技 女子15歳~17歳の部」3位(2023年)など、全国大会で上位入賞を果たす。そして、昨年に続き2度目の大会出場となった今年の「日本女子アマチュアゴルフ選手権競技」で初の日本一に輝いた。身長162㎝、血液型A。滝川第二高等学校在学中。