2025/05/20

D-Cafeレポート

《 リラックス・トーク 》ツアー初優勝をめざし、本格参戦中! ~山脇 健斗・発多 ヤマト・大嶋 港~

 僕は今年がプロ3年目。21歳だった2023年にPGAツアーカナダでデビューして、同じ年の日本ツアーのファイナルQTで27位に入ることができて、去年、初めてツアーに本格参戦しました。今年がツアー参戦2年目になります。

 ただ、僕にとって去年はタフなシーズンでした。ツアーには前半戦の7試合に出たのですが、予選通過は1試合だけで獲得賞金が10万円ちょっと(苦笑)。下部ツアーも最初の4試合は全部予選落ちでした。言い訳になってしまいますが、原因不明の熱が出たり、何度も体調を崩してしまって、年明けから5月までに体重が8キロも減ってしまいました(今は戻っています)。僕は生まれも育ちもアメリカで、日本の環境に慣れていなかったこともあるのでしょうが、去年苦しんだ原因は準備不足でした。開幕までの3カ月間、練習はたくさんしたのですが、試合の準備になるような練習はできていなかったなと思います。それにメンタル面の準備も……。

 ツアーで結果が出なかったので、後半は下部ツアーにしか出られなかったのですが、5試合目でようやく4位タイに入って、そこからは全部予選を通過して2位タイが2回。平均スコアを調べたら、最初の4試合は75ぐらいだったのが、その後の7試合は67.9台だったんです。それで賞金ランキング12位に入って、今年のツアー前半戦の出場権が獲れました。今振り返ると、下部ツアーで4位タイに入ったことで自信がついて、そこからは自分らしいゴルフができるようになりました。それに体調がよくなって、体重が戻ったのも大きかったと思います。

 そんな去年とくらべると、今年のオフはすごく上手に時間を使えた気がします。オフは、メキシコで1週間合宿した以外は、3カ月間、自宅のあるアメリカでずっと練習しました。ホームコースでは、空いていればティーイングエリアから何十発も打てたし、実践的な練習ができました。それにトレーナーさんについて週に3~4回トレーニングもしました。トレーニングはウエイトを使ったハードなものではなくて、英語で言う〝アブダクター〟(外転筋)を鍛えてスイングを安定させるイメージのもの。独特の呼吸法でやる、すごく地味なトレーニングなんですけどね(笑)。そういう練習やトレーニングのおかげで、去年とくらべると、今年は身体の状態もメンタルもスイングもだいぶ整って、下部ツアーの開幕戦で8位タイに入れたし、ツアーの開幕戦でもトップ20フィニッシュできたので、流れとしては去年よりいい感じだと思います。

 シーズンオフは、ショートゲームの練習にもかなり力を入れました。距離でいうと70ヤード以内で、グリーン周りだけを練習しにコースに行くこともあったし、すごく中身の濃い練習ができました。このオフに僕が使い始めたのが『クリーブランドゴルフ RTZ ウエッジ』の52°、56°、60°の3本。これは本当にいいウエッジです。僕はグリーン周りではほぼ60°しか使わないのですが、抜けがよくて、自分が理想とする感触です。それに、スピンもすごくかかります。ちゃんとフェースに乗ってくれるので、60°のフェースを開いて打っても、低い、スピンの入ったショットが打てます。そこが、これまでのウエッジとの一番の違いかもしれません。それと素材を変えたからでしょうが、今までのモデルより長持ちします。僕は錆びたヘッドがあまり好きではないのですが、RTZはノーメッキでも錆びにくい。拭いたタオルがあまり汚れずに済むのもうれしいですね(笑)。

 去年は、「どんなゴルフをめざすのか」と聞かれて、「ドライバーの飛距離を生かしたアグレッシブなゴルフ」と答えていました。でも、日本の狭い林間コースではそれができませんでした。それで、いろいろな人とコースマネジメントについて話したり、教わったりしたところ、「アイアンが得意なのだから、それを生かしたゴルフをすればいいのでは?」という話になりました。ティショットは、3Wや3Iで打ってなるべくいいところに置いて、そこからアグレッシブにいけばいいんじゃないかと。たしかに、僕はアイアンも飛距離が出るほうで、たとえば他の選手がティショットをドライバーで打って、僕が3Wで打っても、セカンドショットで持つ番手は変わらないと思うんです。去年の下部ツアーの後半戦はそういうゴルフができていたので、今年も、ティショットで無理に攻めなくてもいいと思っています。

 最後に今年の目標ですが、まずはツアーのシード権を獲ること。そして、ツアーでも下部ツアーでもいいので、プロ1勝目を挙げたいですね。僕は試合に出るのが大好きなので、ツアーの試合がない週は下部ツアーに出ます。それともうひとつの目標として、安定した成績を残したいですね。去年の後半戦のように、自分のコンディションが悪くてもマネジメントで工夫して、どんな形であろうがスコアをまとめて、アップダウンの少ない、ステディなゴルフがしたいと思っています。

山脇 健斗プロのプロフィール、戦績はこちら。

 僕は今年初めてツアーに本格参戦しています。昨年初めてQTのファイナルまで進み、そこで4位に入って今年のツアー前半戦の出場権を獲得することができました。
 それ以前は、2年続けてサードQTで上位に入れずにファイナルまで進めませんでした。それが、去年、春先にサードQTの開催コースが発表されて、その一つが僕の地元・三重のCOCOPA RESORTCLUB白山ヴィレッジGCだったので、「もう今年しかチャンスがない」と気合いを入れました。そして本番で6位になってファイナルに行くことができたんです。その2か月前に、「バンテリン東海クラシック」と「日本オープン」で、予選会を突破して本選に出て、両方とも決勝ラウンドに進んで4日間プレーできたことがすごく自信になりました。「これならQTもイケるんじゃないか!?」と。

 ファイナルでは調子がよかったので、上位を狙おうという気持ちではなく、1位を獲ることしか考えていなかったですね。結果的に1位は獲れませんでしたが、トップをめざしていたから上位に入れたし、今年ツアーに出られるチャンスをつかめたのかなと思います。ファイナルQTが終わった直後は、1位が獲れなくて悔しいなという気持ちと、やっとツアーに出られるという喜びが半々でした。でも、今年の春のツアー開幕が近づいてくると、もう喜びしかなかったですね(笑)。

 ちなみに、ご存じの方がいるかもしれませんが「発多(はった)ヤマト」というのは登録名で、本名は同じ発音で「八田大和」と書きます。登録名は、僕がジュニアの頃から指導を受けているティーチングプロの摩季れい子先生が、知り合いの音楽プロデューサーである長戸大幸さんにお願いしてつけてもらったものです。

 僕は小さい頃からプロをめざしていたのですが、東北福祉大では、同級生に米澤蓮や杉原大河など、実力のある今のツアーメンバーが何人もいて、リーグ戦には出たことがありませんでした。だから、プロでやっていけるかどうか自信がなかったのですが、大学卒業後に摩季先生の下で練習を続けて成長できて、プロテストにも合格することができました。本名から登録名に変えたのはプロ転向翌年の2023年で、長戸さんからは「スターの条件はビジュアルと名前」「パワーがもらえる名前になったよ」と言われました。実際、その年の「岐阜オープン」ですぐに優勝できたし、QTの順位も上がりました。名前がリーダーボードに乗ると目立つのですぐに見つかるし(笑)、自分でも気に入っています。

 初めてツアーに本格参戦するということで、やっぱり体力勝負だと考えて、シーズンオフは体力強化を意識しました。トレーニングでは、砂浜を走ったり、下半身を鍛えるメニューに取り組んだり。ゴルフに関しては、練習内容は例年と変わらず一緒でしたが、僕はコースに出て練習するスタイルをもうずっと続けていて、このオフもたくさんラウンドをしました。練習場とコースとではやっぱり距離感が違うからで、実戦に近い練習ができました。

 それと、このオフから新しい『スリクソン Z-STAR』を使い始めたので、いろいろな状況でテストをしました。僕は小学校高学年からずっと『Z-STAR』を使っているのですが、いちばん気に入っているのはパターのフィーリング。打感がやわらかいおかげで、距離感が合うのでカップに流し込める感じがあるし、常に一定の距離を打つことができます。新しい『Z-STAR』もめちゃくちゃよくて、ドライバーでは前のモデルよりキャリーが出て、その分飛ぶようになりました。自分にすごく合っているなと思います。

 ちなみにボールやキャディバッグのポケットには〝大和魂〟というネームを入れています。その理由ですが、大和が本名であることと、この言葉に、「いろいろな国の文化を取り入れて、日本独自の文化を築いていく」というような意味があると聞いたので、僕も「ゴルファーとして他の選手のいいところを取り入れて、自分のものにしていけるように」という願いも込めています。

 僕はあまり距離が出るほうではないので、ツアーでは、ショットの正確性とパッティングで勝負できればと思っています。ロングアイアンも苦手ではないですけど、8番から下のショートアイアンとウエッジのショットには自信があります。パッティングは、オフにもかなり練習しましたが、シーズン中も時間をかけて練習しているので自信はあります。ギャラリーのみなさんには、勝負どころで決めるところを見てほしいですね。
 ツアー参戦1年目ではありますが、絶対に最終戦(ゴルフ日本シリーズJTカップ)に出たいと思っています。これは本当に目標の最低ラインで、とにかく最終戦に出られるように。そしてツアー優勝も狙って、1勝、2勝とできるように頑張るつもりです。

発多 ヤマトプロのプロフィール、戦績はこちら。

 去年は僕にとってのルーキーイヤーでした。高校を卒業して1年目だったので、いきなりプロの世界で活躍するのはやっぱり厳しいのかなと思っていました。それが、4月下旬に出た下部ツアー2戦目の「i Golf Shaper Challenge in 筑紫ヶ丘」ですぐに勝てたことでホッとしたし、「俺でもやれるんだ」という気持ちになれました。

 ただ、メインでプレーしたツアーでは思うような結果を残せませんでした。高校3年生で受けた2023年のQTでファイナルまで行って、そこで7位に入って24年のツアー出場権が獲れたのですが、14試合に出場して予選を通過できたのは半分の7試合。序盤の「関西オープン」での25位というのが最高順位でした。下部ツアーも、優勝後はトップ10に入ったのは1試合だけ。賞金ランキング4位で今年のツアー出場権(前半戦)は獲れましたが、振り返ると、あまりいい年ではなかったなと思います(苦笑)。もちろん優勝できたことはよかったのですが、課題ばかりが見つかって、全体として見ると不満が残るシーズンでしたね。

 課題はいろいろあって、ゴルフの技術はもちろんなのですが、やっぱり飛距離ももっと必要だなと感じました(※ドライビングディスタンス:280.52ヤードで65位)。それにフィジカル面も、4日間プレーする体力もそうですし、連戦になった時の持久力も足りないなと感じました。とにかく全部が課題と言ってもいいくらいでした。

 その反省から、シーズンオフには、まずウエイトトレーニングをしました。ウエイトトレーニングはそれまでもやっていたのですが、それでは足りなかったということで、さらに力を入れました。ほかに、体力をつけるために走ったし、スイングのキレを出すために瞬発系のトレーニングもこれまでよりたくさんしました。ゴルフの練習に関しては、ドライバーからパットまで全部、いろいろ新しいことも試しながらやりましたが、その中でいちばん力を入れたのはパッティングです。これも去年の反省からで、ショートパットと、ロングパットの距離感を磨く練習をしました。全体的には、一昨年から昨年のオフよりはいい準備ができたと思います。

 僕は中学3年生の時からスリクソンのボールを使っています。現在のボールは『スリクソン Z-STAR ♦︎ DIAMOND』で、去年11月の「カシオワールドオープン」で初めて試合で使いました。「気分転換に替えてみようかな」という軽い気持ちで試してみたら、ロングアイアンですごくスピンが入って、打感もやわらかくて。一方で、パターのフィーリングは、それまで使っていた「Z-STAR XV」とほとんど変わらなかったのですぐに替えました。長いショットも、弾道とかスピンの入る感じが僕のイメージにピッタリで、今年はこの『Z-STAR ♦︎ DIAMOND』でプレーします。

 ところで僕の「港」という名前について、時々由来を聞かれるのですが、これといってないんです(苦笑)。ただ、僕は4人兄弟の四男で、兄たちの名前が長男から順に「炎(ほのお)」「命(いのち)」「宝(たから)」と言って、画数が八画・漢字で一文字・平がなで三文字というのが3人の共通点なんです(ちなみに長男と三男もプロゴルファーです)。僕も漢字で一文字、平がなで三文字なのは一緒なのですが、僕だけ画数が違って十二画。それは、八画の漢字がほかに思いつかなかったからのようで、「画数が違うけど、まあいいか」と決めたみたいです(笑)。

 自分のゴルフの特長を挙げるなら、やっぱりドライバーショットだと思います。ドライバーは昔から得意で、フェアウェイが狭くても、ティショットでしっかりフェアウェイをキープできるのが武器だと思うので、ギャラリーのみなさんにはそこを見てほしいですね。ただ、さっきも言ったように、去年は飛距離不足を痛感したので、飛距離も欲しいです。もっと飛ばしたいし、自分ではこれからまだ伸びると思っているので、そのためのトレーニングも続けていこうと思っています。

 今年の目標ですが、ツアー参戦2年目なので、今年こそシード権獲得をめざします。序盤は正直あまり調子がよくないのですが、だんだん納得できるスイングができるようになってきたし、ショートゲームはオフの練習の成果が出ていると思うので、ここから少しずつ調子を上げていけたらなと思います。優勝に関しては、まだレギュラーツアーでは優勝争いもしたことがないので何とも言えませんが、もちろんチャンスが来たら狙っていきたいと思います。
 それと、僕は小さい頃から海外で活躍する選手に憧れていて、アマチュア時代にはナショナルチームのメンバーとして海外でプレーしました。プロになった今も、海外で活躍したいという気持ちは変わらないので、まずは国内で活躍して実績を残して、将来は海外に飛び出したいと思っています。

大嶋 港プロのプロフィール、戦績はこちら。