ただ、僕にとって去年はタフなシーズンでした。ツアーには前半戦の7試合に出たのですが、予選通過は1試合だけで獲得賞金が10万円ちょっと(苦笑)。下部ツアーも最初の4試合は全部予選落ちでした。言い訳になってしまいますが、原因不明の熱が出たり、何度も体調を崩してしまって、年明けから5月までに体重が8キロも減ってしまいました(今は戻っています)。僕は生まれも育ちもアメリカで、日本の環境に慣れていなかったこともあるのでしょうが、去年苦しんだ原因は準備不足でした。開幕までの3カ月間、練習はたくさんしたのですが、試合の準備になるような練習はできていなかったなと思います。それにメンタル面の準備も……。
そんな去年とくらべると、今年のオフはすごく上手に時間を使えた気がします。オフは、メキシコで1週間合宿した以外は、3カ月間、自宅のあるアメリカでずっと練習しました。ホームコースでは、空いていればティーイングエリアから何十発も打てたし、実践的な練習ができました。それにトレーナーさんについて週に3~4回トレーニングもしました。トレーニングはウエイトを使ったハードなものではなくて、英語で言う〝アブダクター〟(外転筋)を鍛えてスイングを安定させるイメージのもの。独特の呼吸法でやる、すごく地味なトレーニングなんですけどね(笑)。そういう練習やトレーニングのおかげで、去年とくらべると、今年は身体の状態もメンタルもスイングもだいぶ整って、下部ツアーの開幕戦で8位タイに入れたし、ツアーの開幕戦でもトップ20フィニッシュできたので、流れとしては去年よりいい感じだと思います。
シーズンオフは、ショートゲームの練習にもかなり力を入れました。距離でいうと70ヤード以内で、グリーン周りだけを練習しにコースに行くこともあったし、すごく中身の濃い練習ができました。このオフに僕が使い始めたのが『クリーブランドゴルフ RTZ ウエッジ』の52°、56°、60°の3本。これは本当にいいウエッジです。僕はグリーン周りではほぼ60°しか使わないのですが、抜けがよくて、自分が理想とする感触です。それに、スピンもすごくかかります。ちゃんとフェースに乗ってくれるので、60°のフェースを開いて打っても、低い、スピンの入ったショットが打てます。そこが、これまでのウエッジとの一番の違いかもしれません。それと素材を変えたからでしょうが、今までのモデルより長持ちします。僕は錆びたヘッドがあまり好きではないのですが、RTZはノーメッキでも錆びにくい。拭いたタオルがあまり汚れずに済むのもうれしいですね(笑)。
去年は、「どんなゴルフをめざすのか」と聞かれて、「ドライバーの飛距離を生かしたアグレッシブなゴルフ」と答えていました。でも、日本の狭い林間コースではそれができませんでした。それで、いろいろな人とコースマネジメントについて話したり、教わったりしたところ、「アイアンが得意なのだから、それを生かしたゴルフをすればいいのでは?」という話になりました。ティショットは、3Wや3Iで打ってなるべくいいところに置いて、そこからアグレッシブにいけばいいんじゃないかと。たしかに、僕はアイアンも飛距離が出るほうで、たとえば他の選手がティショットをドライバーで打って、僕が3Wで打っても、セカンドショットで持つ番手は変わらないと思うんです。去年の下部ツアーの後半戦はそういうゴルフができていたので、今年も、ティショットで無理に攻めなくてもいいと思っています。
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僕は今年初めてツアーに本格参戦しています。昨年初めてQTのファイナルまで進み、そこで4位に入って今年のツアー前半戦の出場権を獲得することができました。
それ以前は、2年続けてサードQTで上位に入れずにファイナルまで進めませんでした。それが、去年、春先にサードQTの開催コースが発表されて、その一つが僕の地元・三重のCOCOPA RESORTCLUB白山ヴィレッジGCだったので、「もう今年しかチャンスがない」と気合いを入れました。そして本番で6位になってファイナルに行くことができたんです。その2か月前に、「バンテリン東海クラシック」と「日本オープン」で、予選会を突破して本選に出て、両方とも決勝ラウンドに進んで4日間プレーできたことがすごく自信になりました。「これならQTもイケるんじゃないか!?」と。
僕は小さい頃からプロをめざしていたのですが、東北福祉大では、同級生に米澤蓮や杉原大河など、実力のある今のツアーメンバーが何人もいて、リーグ戦には出たことがありませんでした。だから、プロでやっていけるかどうか自信がなかったのですが、大学卒業後に摩季先生の下で練習を続けて成長できて、プロテストにも合格することができました。本名から登録名に変えたのはプロ転向翌年の2023年で、長戸さんからは「スターの条件はビジュアルと名前」「パワーがもらえる名前になったよ」と言われました。実際、その年の「岐阜オープン」ですぐに優勝できたし、QTの順位も上がりました。名前がリーダーボードに乗ると目立つのですぐに見つかるし(笑)、自分でも気に入っています。
初めてツアーに本格参戦するということで、やっぱり体力勝負だと考えて、シーズンオフは体力強化を意識しました。トレーニングでは、砂浜を走ったり、下半身を鍛えるメニューに取り組んだり。ゴルフに関しては、練習内容は例年と変わらず一緒でしたが、僕はコースに出て練習するスタイルをもうずっと続けていて、このオフもたくさんラウンドをしました。練習場とコースとではやっぱり距離感が違うからで、実戦に近い練習ができました。
ちなみにボールやキャディバッグのポケットには〝大和魂〟というネームを入れています。その理由ですが、大和が本名であることと、この言葉に、「いろいろな国の文化を取り入れて、日本独自の文化を築いていく」というような意味があると聞いたので、僕も「ゴルファーとして他の選手のいいところを取り入れて、自分のものにしていけるように」という願いも込めています。
僕はあまり距離が出るほうではないので、ツアーでは、ショットの正確性とパッティングで勝負できればと思っています。ロングアイアンも苦手ではないですけど、8番から下のショートアイアンとウエッジのショットには自信があります。パッティングは、オフにもかなり練習しましたが、シーズン中も時間をかけて練習しているので自信はあります。ギャラリーのみなさんには、勝負どころで決めるところを見てほしいですね。
ツアー参戦1年目ではありますが、絶対に最終戦(ゴルフ日本シリーズJTカップ)に出たいと思っています。これは本当に目標の最低ラインで、とにかく最終戦に出られるように。そしてツアー優勝も狙って、1勝、2勝とできるように頑張るつもりです。
発多 ヤマトプロのプロフィール、戦績はこちら。
ただ、メインでプレーしたツアーでは思うような結果を残せませんでした。高校3年生で受けた2023年のQTでファイナルまで行って、そこで7位に入って24年のツアー出場権が獲れたのですが、14試合に出場して予選を通過できたのは半分の7試合。序盤の「関西オープン」での25位というのが最高順位でした。下部ツアーも、優勝後はトップ10に入ったのは1試合だけ。賞金ランキング4位で今年のツアー出場権(前半戦)は獲れましたが、振り返ると、あまりいい年ではなかったなと思います(苦笑)。もちろん優勝できたことはよかったのですが、課題ばかりが見つかって、全体として見ると不満が残るシーズンでしたね。
その反省から、シーズンオフには、まずウエイトトレーニングをしました。ウエイトトレーニングはそれまでもやっていたのですが、それでは足りなかったということで、さらに力を入れました。ほかに、体力をつけるために走ったし、スイングのキレを出すために瞬発系のトレーニングもこれまでよりたくさんしました。ゴルフの練習に関しては、ドライバーからパットまで全部、いろいろ新しいことも試しながらやりましたが、その中でいちばん力を入れたのはパッティングです。これも去年の反省からで、ショートパットと、ロングパットの距離感を磨く練習をしました。全体的には、一昨年から昨年のオフよりはいい準備ができたと思います。
ところで僕の「港」という名前について、時々由来を聞かれるのですが、これといってないんです(苦笑)。ただ、僕は4人兄弟の四男で、兄たちの名前が長男から順に「炎(ほのお)」「命(いのち)」「宝(たから)」と言って、画数が八画・漢字で一文字・平がなで三文字というのが3人の共通点なんです(ちなみに長男と三男もプロゴルファーです)。僕も漢字で一文字、平がなで三文字なのは一緒なのですが、僕だけ画数が違って十二画。それは、八画の漢字がほかに思いつかなかったからのようで、「画数が違うけど、まあいいか」と決めたみたいです(笑)。
今年の目標ですが、ツアー参戦2年目なので、今年こそシード権獲得をめざします。序盤は正直あまり調子がよくないのですが、だんだん納得できるスイングができるようになってきたし、ショートゲームはオフの練習の成果が出ていると思うので、ここから少しずつ調子を上げていけたらなと思います。優勝に関しては、まだレギュラーツアーでは優勝争いもしたことがないので何とも言えませんが、もちろんチャンスが来たら狙っていきたいと思います。
それと、僕は小さい頃から海外で活躍する選手に憧れていて、アマチュア時代にはナショナルチームのメンバーとして海外でプレーしました。プロになった今も、海外で活躍したいという気持ちは変わらないので、まずは国内で活躍して実績を残して、将来は海外に飛び出したいと思っています。
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