高校2年生から『スリクソン Z-STARシリーズ』を愛用している生源寺だが、使うボールはその時々の自身の好みに合わせて変遷してきた。
最初は飛距離を求めて「Z-STAR XV」を使い、大学時代にはアプローチショットでのスピン性能を重視して『Z-STAR』をチョイス。プロ転向後もしばらく愛用していた。
そして昨年1月、生源寺はアジアンツアーの最終予選会に挑戦。2位の好成績を収め、2月から同ツアーに初参戦した。アジアではグリーンの硬いコースが多いことから、アイアンショットのスピン量を増やそうと「Z-STAR ♦︎ DIAMOND」にスイッチ。国内ツアーでも使い、自身初のシード権を獲得した。
そんな生源寺は、今年6月末の「JAPAN PLAYERS CHAMPIONSHIP by サトウ食品」(以下、JPC)から再び『Z-STAR』でプレー。その試合でさっそくツアー2勝目を飾った。
このボールのスイッチの理由について、生源寺は次のように話す。
久しぶりに『Z-STAR』を試合で使ってみて感じたことは他にもある。それは風の中でアイアンショットを放った時だと言う。
「たとえば、アゲンストに対してアイアンで低く抑えた球を打とうとした時に、スピンの入り方が僕の感覚にマッチしています。そういう微妙なスピンコントロールが『Z-STAR』はしやすいなと感じます。アゲンストに対して、打ち出し角を下げて〝重たい球〟で飛ばすなら『Z-STAR』がいちばんしっくりきますね」。
『Z-STAR』のコントロール性能の高さは、ドライバーショットでも感じているという。
「球離れが早いか遅いかの違いだと思いますが、シリーズの中では『Z-STAR』がいちばんつかまる感覚があって、それがコントロールのしやすさにつながっています。正直に言うと、『Z-STAR』に替えてドライバーの飛距離は少し落ちたのですが、コントロールが効く分、ティショットが打ちやすくなりました」。
そして、ドライバーショットでの『Z-STAR』のコントロール性能は、風の中でこそ際立つようだ。
生源寺がこの夏に『Z-STAR』にスイッチした理由として挙げた、自身の好みにマッチするソフトなフィーリング。それもまた、コントロール性能の高さにつながっている。
「僕の場合、インパクトで手に〝モチッ〟と来るほうが、ショットのコントロールがしやすいんです。特にショートゲームはそうで、ウエッジのフィーリングは大事です。(今季2勝目を飾った)JPCでも、グリーンの傾斜に対して、上手くスピンをコントロールして止めることができました」。
昨年の国内男子ツアーでのパーオン率が2位で、今季も現在3位と、ツアー屈指のショットメーカーである生源寺。ピンに絡むショットが多いせいか、今季はパッティングも好調で、平均パットでも3位につけている。
そのパッティングにも、『Z-STAR』のソフトな打感が好影響を与えているという。
さて、ここからは今季の生源寺自身にスポットを当ててみよう。
一昨年に国内男子下部ツアーの賞金王に輝き、昨年はレギュラーツアーで賞金ランキング29位となり初のシード権獲得と、着実にステップアップしてきた。今季の開幕を前に活躍できそうな予感はあったのだろうか。
「去年は、優勝争いをしながら、なかなか上位でフィニッシュできない試合もありました。ただ、今、自分がやっていることがツアーでも通用するんだなという手応えは感じていました」。
そしてご存じのように、今季開幕戦「東建ホームメイトカップ」では、悪天候のため54ホールに短縮されたもののツアー初優勝を達成。5月下旬の「日本プロゴルフ選手権大会」ではプレーオフ4ホール目で惜敗したが、その1か月後のJPCではバーディ合戦を制しツアー2勝目を挙げた。そのプレーは自信に満ち溢れているように見える。
「淡々とプレーできる感じにはなってきたなと自分では思います。そこが去年までとの違いで、いろいろ経験を積んで来たし、〝自分のゴルフができれば勝てる〟みたいな感覚もあります」。
さらに自身がゴルファーとして成長できた理由として、先述したアジアンツアー参戦を挙げる。
そんな生源寺は今年に入り、アメリカPGAツアーへの挑戦を公言しているが、その挑戦もまた、自身が成長するためのチャンスととらえている。
「行ける時に行きたいし、自分がどこまで行けるのか知りたいんです。もちろんDPワールド(欧州)ツアーにも行きたいのですが、ヨーロッパ経由でアメリカに行くのではなく、最初からアメリカに行けるチャンスがあるなら、そこに挑戦したいです」。
そして、後半戦に入った国内ツアーについて、
「もっと優勝したいですね。そして、ぶっちぎりで賞金ランキング1位になって、アメリカに行きたいですね」
と言葉に力をこめる生源寺。今季のここまでのプレーを見る限り、それを成し遂げる可能性は十分にある。
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