※JGTO(日本ゴルフツアー機構)が運営する男子下部ツアー
レギュラーツアーでの活躍をめざし、若手をはじめとするプロたちがしのぎを削る下部ツアー「ACNツアー」。今年は全13試合が行われる同ツアーで、ダンロップの住友ゴム工業が主催し2022年から開催しているのが「ダンロップフェニックストーナメントチャレンジinふくしま」です。
その名の通り、優勝者とローアマチュアの2名には、ダンロップ主催(※フェニックス・シーガイア・リゾート、毎日放送との共催)で毎年11月にフェニックスカントリークラブ(宮崎県)で開催される世界基準の男子レギュラーツアー「ダンロップフェニックストーナメント(DPT)」の出場権が与えられます。
福島県南部の白河市にタイヤ工場を構えるダンロップが、福島の震災からの復興支援と同様に力を入れてきたのが、県内でのゴルフの普及や地域活性化。本大会を福島で開催するのも、その活動の一環です。
また、ジュニアを含むアマチュアゴルファーに、プロトーナメントの難度の高いセッティングでプレーすることで個々のレベルアップにつなげてもらうのも本大会の狙いの1つ。今年の大会にも、主催者推薦枠で多くのアマチュアプレーヤーが出場しました。今年30回目を迎えた「福島県オープン」のアマの部優勝者1名(注:プロの部優勝者1名も出場)をはじめ、福島県プロゴルフ会(FPGS)が企画・運営するジュニアのための競技会「FPGSジュニアサーキット」の上位入賞者、さらに大学生や全国大会優勝の経験を持つ中学生・高校生ゴルファーたちが夏休みの最後に行われるプロトーナメントに挑みました。
ゴルフの普及・活性化への取り組みはトーナメントウィークに入ってからも行いました。1つは、大会初の試みである出場プロによる小・中学生を対象にしたジュニアレッスン会。開幕2日前の26日(火)夕方に、コース内のドライビングレンジで実施しました。
レッスンを担当したのはダンロップ契約の呉 司聡プロと吉本 翔雄プロの2人。地元の「西の郷(にしのさと)スポーツクラブ」で日頃スナッグゴルフやゴルフを楽しむ小・中学生18人と一緒に、呉プロおすすめのストレッチを行った後、デモンストレーションのショットを披露。プロが放つ力強いショットに。子どもたちは歓声を上げていました。その後、2人のプロは一人ひとりにワンポイントレッスンを実施。最後は全員揃っての記念撮影を行いました。
また、大会最終日の8月30日には、上位5組のプレーヤーたちの協力を得て、恒例の「キッズエスコート」を実施しました。こちらも、西の郷スポーツクラブの幼稚園児から中学生までの計22人が参加。この企画は、大会に華やかさを加えるとともに、子どもたちに、トーナメントの雰囲気やゴルフの魅力を知ってほしいという思いから実施しています。
待機中には、選手からキャップにサインをしてもらったり、一緒に記念撮影をしたりした子どもたち。選手に手を引かれてティーイングエリアに登場し、選手たちのティオフを見守った後には、JGTOのスタッフの皆さんのガイドで、およそ1時間にわたってトーナメント観戦を楽しみました。
大会は、観戦エリアがクラブハウス近くのティとグリーン周辺に限定されたものの、今年も入場無料。真夏の暑さとなった最終日も、朝から熱心なギャラリーの皆さんが選手たちのプレーを見守りました。
DPTの出場権を賭けた争いは、例年以上に白熱し、最終組が最終18番ティに立った時点では、16アンダーで4人がトップに並ぶ大混戦となりました。そんな戦いを制して最後に笑ったのは、この日首位タイからスタートしたプロ6年目の若原 亮太プロ。18番でイーグルを奪って18アンダーでホールアウト。他の3人を2打差で振り切り、8月上旬の「住地ゴルフチャレンジトーナメント」でのACNツアー初優勝に続く2試合連続優勝を飾り、DPTへの切符を手にしました(ANAオープンの出場権も獲得)。
一方、ローアマチュアに輝いたのが、ダンロップモニターでもある吉行 アムロさん(広島国際学院高校1年)。初日に7アンダー「65」をマークし3位タイという好スタートを切ると、2日目には5アンダー「67」で回り4位タイと好位置をキープ。最終組の1組前でプレーした最終日もボギーなしの4アンダー「68」でラウンド。トップと2打差の2位タイと、これがACNツアー初出場とは思えない堂々したプレーぶりで、見事DPTの出場権を獲得しました。
さらに、今年の福島県オープン・プロの部優勝の資格で今大会への出場権を手にした赤羽 宏優プロが、最終日に6アンダー「66」の好スコアをマークし、ACNツアー初出場ながら6位タイに入る大健闘。ジュニアやツアー初出場者が上位に入賞するという、まさに本大会が理想とする展開を見せ、熱戦は幕を閉じました。
「ACNツアー初優勝から連勝することができて、さらに自信を深めることができました」と表彰式での優勝スピーチで語った若原プロ。最終日は、17番のバーディを獲った後に初めて自分の順位を知ったそうで、「トップにいるのが分かっていて最後に伸ばせたのは、成長したのかなと」と精神面での成長も勝因に挙げていました。DPTの舞台となるフェニックスCCは、高校時代に1度プレーした経験があるそうで、「どのホールも狭かった印象があります。僕はドライバーが好きなので、ティショットが上手くいけば、いい戦いができると思います」とティショットをポイントに上げます。さらに、「普通の選手は出られないので、出られるだけでもうれしいです。目標は4日間戦うことですが、楽しみたいと思います」と目標を語っていました。
見事ローアマチュアに輝き、全体でも2位タイという好成績について、「最高です。こんなことができるとは思っていなかったです」と笑顔を見せていた吉行さん。好成績の要因については「すごく緊張したんですけど、ハン・リーさんとか、初日、2日目と一緒に回ってくださったプロの方が優しくて、励ましてくれたのが大きかったです」「(最終日は)アイアンショットがよくて、ほとんどパーオンできました」と同組のプロの存在と好調だったアイアンショットを挙げていました。そして、史上最年少の15歳9カ月で初参戦するDPTについて、「(フェニックスCCに隣接する)トム・ワトソンGCは一度プレーしたことがあるんですけど、本当に難しくて(苦笑)。でも、DPTでは予選通過を目標に頑張ります」と健闘を誓っていました。