7月上旬に開催された「ミネベアミツミ レディス 北海道新聞カップ」で念願のツアー初優勝を飾った内田 ことこプロ。地元・北海道での勝利に加え、4日間首位を守り通しての完全優勝、さらに6打という大差をつけての圧勝でした。
「他の選手のスコアは見ていませんでした。どちらかというと自分との闘いという感じでしたけど、やっぱりプレッシャーはありました。あの試合もそうですが、北海道で開催される試合では、いつも優勝したい気持ちが強いんです。特にあの試合は、いつも応援してくださるみなさんのほかに、家族や友だちも応援に来てくれていたので、その前で初優勝できてよかったです。ただ、涙は思っていたほど出なかったです(笑)」
と、記念すべき1勝を笑顔で振り返ります。
ちなみに、開催コースの「真駒内カントリークラブ 空沼コース」は、高校時代に練習場を利用していて、球拾いもしていたそうです。
そんな内田プロですが、プロ入りからツアー初優勝までについてかかった5年という歳月について、どう感じているのでしょう。
「そうですね。5年かかりましたけど、私としては、長かったとは全然思っていなくて、むしろ早かったなという感覚です。5年間で、ちょっとずつステップアップしてきた感じですね」。
昨シーズンは、2年連続となるシード権をキープしたものの、序盤から中盤まではショットの不調に苦しんだという内田プロ。今シーズンのショットの感触について尋ねると、
「去年とくらべると、今年は悪くないです。優勝した『ミネベアミツミ~』でも、ショットは4日間ずっと安定していました」
と明るい表情で話します。
また、今年の開幕前に課題にしていたというパーオン率のアップについても、
「意識はしているのですが、今のところ去年とほとんど変わっていないです(苦笑)。ただ、同じグリーンを外すにしても、今年は次のショットで寄せやすいところに外しているので、その分だけボギーは減っていると思います」
ツアー初優勝の後も、優勝争いを演じている内田プロ。7月下旬の「大東建託・いい部屋ネットレディス」では、3日目を終えて首位タイに浮上しました。
「ただ、あの試合は、気がついたら、あの位置にいたという感じで……。だから、トップに立ってもそれほど優勝は意識していなかったです。最終日も悪いゴルフではなかったのですが(※最終順位は3位タイ)、他の選手がすごく伸ばしていたので、途中から〝優勝はないな〟と思っていました(苦笑)」
と淡々と話す内田プロ。「優勝して何か変化したことは?」という問いにも、
「今のところ、特にないんです(笑)。自信がついたかというと、それもなくて、優勝する前と変わることなくやっています」
とマイペースを強調します。
ただ、優勝したことでツアー最終戦(JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ)の出場権を初めて手にしたことについては、
「今までは“出られたらいいなぁ”というくらいの気持ちでいました。でも、限られた人しか出られない試合だし、そこに自分がいられるのはやっぱりうれしいです」
と喜びを感じています。
今年のルーキーとしてツアー初優勝一番乗りを果たし、現在、メルセデスランキングで20位につけている入谷 響プロ。
「優勝するまでは、上位に入って少しでもポイントを稼がないと、と思っていました。リランキングはそれほど意識していなかったのですが、シード権争いとか、最終戦に出るためにポイントが欲しかったから。でも、今はポイントを意識せずに済むので少し余裕があります」
と、優勝の前後の気持ちの違いを話します。
ただ、最近の調子を聞いてみると「上位に入れていないし、あまりよくないですね」と苦笑いし、続けて、
入谷プロと聞いて思い浮かべるのは、やはり豪快なドライバーショット。ツアーのドライビングディスタンスは258.64ヤードで4位にランクインしています。ただ、常に思い切り振っているのかと思いきや、
「そんなに強くは振っていないですよ。力加減でいえば、7~8割ぐらい。ただ、コントロール重視というわけでもなくて、試合では“普通に”振っています」
とのこと。また、ドライビングディスタンスの順位についても、
「できればトップになりたいですけど、飛距離を気にしすぎるとブレが大きくなっちゃうので、あまり意識しすぎないようにしています。普通にプレーしていく中で、1位になれたらいいなと思います」
と話し、自然体でティーインググラウンドに上がっているようです。
そんな入谷プロは、最近、ドライバーのシャフトを替えたのだとか。きっかけになったのは、9月中旬の「ソニー 日本女子プロゴルフ選手権大会」の練習日に、師匠の中嶋 常幸プロから受けたアドバイス。
「第1ラウンドをプレー後の練習場で、中嶋プロに“トップの位置でヘッドが(飛球線方向に)入りすぎてる”と言われたので、“7月に軽くて硬めのシャフトに替えたんです”と話したら、“スイングは悪くないんだから、それが原因だ”と。たしかに、そのシャフトは、最初はよかったのですが、だんだんショットが右に出るようになっていたんです。それに、中嶋プロからは“できればシャフトは重いほうがいい”と言われたので、3日目からは優勝した時に使っていた重いシャフトに戻しました。そうしたら、右に出るショットがなくなったんです」。
順風満帆のルーキーイヤーを送っているように思える入谷プロですが、本人には気になっていることがあるそうです。それは、最終日のプレー。
「『北海道 meiji カップ』(8月第2週)も『CAT Ladies』(8月第4週)も2日目まではよかった(※ともに3位タイ)のに、最終日が悪くて。アマチュアの頃からずっとそうなんです。逆に、最終日に伸ばせた試合は本当に少なくて……」。
たとえば、〝このホールはティショットを曲げたくない〟というホールで曲げてしまったり、前日まで好調だったパットが最終日になると決まらなくなったり。
そうなる原因について聞いてみると、
と話す入谷プロ。このことについても中嶋プロからアドバイスをもらったそうで、
「“自分の順位に関係なく、思い切ってプレーしなきゃダメだよ”と言われました。それと、“自分でどうこうできることじゃない。運もあるから”と。運については実際に試合で思い知らされたので(苦笑)、次にそういう状況になったら思い切って行こうと思っています」。
そんな入谷プロにも、ツアー終盤戦の目標を聞いてみました。
「9月に同期の荒木優奈ちゃんが優勝したことがモチベーションになっていて、“私ももっと頑張らないと”と思いました。今年中に、1勝だけじゃなく2勝目もしたい気持ちはあるのですが、目の前のことにとらわれすぎてもよくないかなと。だから、焦らずに2勝目を狙いたいと思っています」。
9月に入って行われた今季2度目のリランキングで8位になり、ツアー終盤戦の多くの試合の出場権を確保したルーキーの都 玲華プロ。QTランキング53位からスタートして、ここまで4度のトップ10入りを果たし、最高位は4位タイ。まずは、ここまでの自身のゴルフを振り返ってもらいました。
「本格参戦1年目にしてはいい成績を残せているかなと思う反面、悔しい気持ちもあります。もうちょっと上に行けたなという試合がいつくかあったので……」
と、結果にはある程度満足しながらも、悔しさも感じているようです。そんな中でも、ベストプレーはどの試合だったのでしょうか。
と笑顔で語る一方で、課題に挙げたのが……。
「やっぱりパターですね。だいぶ足を引っ張ってしまっているので(苦笑)。それでも、キャディさんやコーチ、それに先輩とか、いろいろな方にアドバイスをもらいながら、試合を重ねるごとによくなってきています。ただ、ツアーで勝っている選手とくらべるとまだまだなので、もっとレベルアップしないといけないなと思います」。
メルセデスランキング51位の都プロですが、平均ストロークはそれを大きく上回る27位。さらにスタッツで目を引くのが、ツアーで5位にランクインしているサンドセーブ率です。
「いろいろな選手から“バンカーショットでは何を意識してる?”と聞かれて、自分のサンドセーブ率がいいことに気づきました(笑)。序盤は1位だったこともあって、そこからはだんだん落ちてしまっているんですけどね(苦笑)。私は元々バンカーショットが苦手だったので、去年の冬に、コーチに習いながらたくさん練習したらよくなりました」。
と、ソールの形状には昔からこだわりがあるようです。また、このウエッジのお気に入りポイントについては次のように話してくれました、
「“顔”がすごく構えやすいのと、ボールがムギュっとフェースに張り付く感じの打感が好きです。スピンも、打ちたいショットに合わせてちょうどよくかかるし、自分の思い通りにコントロールできるので、全部がいいと思います」。
もっと上をめざすためにも、ぜひ実現させたいのが、まだ経験していないツアーでの優勝争い。
「最終的な結果として、トップと2打差とか3打差だった試合はあるのですが、競り合って惜しかったという展開はまだないんですよね。だから早く本当の意味での優勝争いをしてみたいです」
と意欲を燃やします。そして、それを実現するために必要だと考えているのが、先ほども触れたパッティングなのだとか。
「ここぞというところでパットを決めきれないから、波に乗れないし、上位に入った試合でも、あと一歩で優勝争いに加われなかった印象があります。ツアー参戦1年目なので、最初からそう上手くいくとは思っていないのですが、いつかそうなりたいです」
とコメント。そして、最後には、
「やっぱり優勝争いがしたいし、本当に勝ちたいです(笑)。勝てたらシード権の心配もなくなるし、最終戦にも出られます。だから、やっぱり優勝をめざして頑張ります!」
と力強く語る都プロ。ぜひ、その実現に期待しましょう。