それでも開幕前はトップ10に入ることを目標にしていました。あの時点では、賞金ランキングが低かったので、10位以内に入って来年の大会の出場権を確保したいと思っていたんです。
ただ、試合が始まってみると割とショットがよくて、ティショットもけっこうフェアウェイに行っていました。開催コースの「日光カンツリー倶楽部」は、フェアウェイが狭くてラフも深い、いかにも日本オープンらしいタフなセッティングでしたが、4年前の「日本プロ」でプレーしていたので、ある程度は知っていました。それで、初日はなんとか予選を通過できる位置にいられればいいなと思っていたら、上手いことイーブンで回れて、2日目も同じような感じでプレーができました。
3日目はかなり出入りが激しかったのですが(苦笑)、それでも1アンダー「69」で回れて、6位タイに上がることができて。最終日はトップと7打差もあったので、優勝は意識していませんでしたが、トップ10よりもう少し上に行けたらと思ってスタートしました。
最終日もアンダーパー(※2アンダー「68」)で回ることができましたが、プレーの中身はと言うと、本当によく堪えたなという感じで(笑)。見てくださった方は分かると思いますが、16番と18番では長めのパーパットを決めることができました。特に、「これを決めなければ終わり」という18番のパットは4mぐらいあったし、他のホールでもけっこう際どいパーパットが多かったです。
結果的には首位タイになりましたが、まさかそうなるとは全然思っていませんでした。というのも、大成(清水プロ)が勝つとずっと思っていたので。ただ、プレーオフになると決まった時には、「チャンスが来た」と思ったし、「勝ちたい」という気持ちになりましたね。
プレーオフでは(18番パー4の)第2打をグリーンの右手前に外してしまいました。ラフがかなり深かったので、その難しさはありましたが、グリーンエッジからピンまでそれほど近くなかったこともあって、上手く寄せることができました。
それと、晋呉さん(片山プロ)からのアドバイスも大きかったです。最初にも言いましたが、前の試合のプレーがひどかったので、翌週のオープンウィークに晋呉さんのところに行きました。これまでそんなに親しくしていたわけではないのですが、コーチが同じ谷将貴さんということもあって、僕から連絡して時間を取っていただいたんです。
アドバイスの中身は秘密なのですが(笑)、ショットの部分だけでなく、メンタル面でもすごく参考になったし、めちゃくちゃ助かりました。
ショートゲームは小さい頃から好きだったということもありますが、僕は中学2年になっても身長がまだ140センチ台で身体も細かったので、全然ボールが飛ばなかったんです。だから、アプローチとパットで勝負しなきゃと思っていつも練習していました。それがプロになった今でも強みになっているかなと思います。
ご存じの方も多いと思いますが、今回の優勝で、僕は国内ツアーの5年間のシード権のほかに、来年の「マスターズ」と「全英オープン」の出場権を獲得することができました。
マスターズには小さい頃から出たいとは思っていましたが、「日本オープンに勝ってマスターズに出るぞ!」という気持ちは、正直そこまで強くなかったです(苦笑)。でも、出るのが夢だったし、それが叶うのはやっぱりうれしいですね。一つ大きな目標ができたというか、マスターズに向けて頑張りたいという気持ちが強くなりました。
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