2025/11/10

D-Cafeレポート

《リラックス・トーク》長かったツアー2勝目までの道のり。終盤戦は賞金王をめざしてプレーします ~片岡 尚之~

 みなさん、こんにちは。片岡 尚之です。いつも温かいご声援や応援をありがとうございます。おかげさまで、先月の「日本オープン」でツアー2勝目を挙げることができました。今日はあの試合の話からしようと思います。
 正直に言うと、練習ラウンドでの調子はよくありませんでした。その前の試合(バンテリン東海クラシック)で、僕は予選こそ通ったものの、最終日に「81」も叩いてしまって最下位だったので(苦笑)。

 それでも開幕前はトップ10に入ることを目標にしていました。あの時点では、賞金ランキングが低かったので、10位以内に入って来年の大会の出場権を確保したいと思っていたんです。
 ただ、試合が始まってみると割とショットがよくて、ティショットもけっこうフェアウェイに行っていました。開催コースの「日光カンツリー倶楽部」は、フェアウェイが狭くてラフも深い、いかにも日本オープンらしいタフなセッティングでしたが、4年前の「日本プロ」でプレーしていたので、ある程度は知っていました。それで、初日はなんとか予選を通過できる位置にいられればいいなと思っていたら、上手いことイーブンで回れて、2日目も同じような感じでプレーができました。

 3日目はかなり出入りが激しかったのですが(苦笑)、それでも1アンダー「69」で回れて、6位タイに上がることができて。最終日はトップと7打差もあったので、優勝は意識していませんでしたが、トップ10よりもう少し上に行けたらと思ってスタートしました。
 最終日もアンダーパー(※2アンダー「68」)で回ることができましたが、プレーの中身はと言うと、本当によく堪えたなという感じで(笑)。見てくださった方は分かると思いますが、16番と18番では長めのパーパットを決めることができました。特に、「これを決めなければ終わり」という18番のパットは4mぐらいあったし、他のホールでもけっこう際どいパーパットが多かったです。

 結果的には首位タイになりましたが、まさかそうなるとは全然思っていませんでした。というのも、大成(清水プロ)が勝つとずっと思っていたので。ただ、プレーオフになると決まった時には、「チャンスが来た」と思ったし、「勝ちたい」という気持ちになりましたね。
 プレーオフでは(18番パー4の)第2打をグリーンの右手前に外してしまいました。ラフがかなり深かったので、その難しさはありましたが、グリーンエッジからピンまでそれほど近くなかったこともあって、上手く寄せることができました。

 最後のパーパットは、たしかに緊張はしましたが、50cmぐらいの距離だったので、「まあ、多分入るだろう」と思って打ちました。
 優勝が決まった後は、自然と涙が出ました。「やっと勝てた」という思いが強かったし、初優勝からの4年間は本当に長かったので……。とにかく勝ててよかったです。

 僕にとって日本オープンは、本当に欲しかったタイトルでした。だから、もちろんうれしかったのですが、ツアー2勝目がこの試合になったのには自分でもビックリした、というのが正直な気持ちです。
 今回の勝因はいくつかあると思いますが、1つはやっぱりパッティングで、4日間通して本当によく入ってくれました。

 それと、晋呉さん(片山プロ)からのアドバイスも大きかったです。最初にも言いましたが、前の試合のプレーがひどかったので、翌週のオープンウィークに晋呉さんのところに行きました。これまでそんなに親しくしていたわけではないのですが、コーチが同じ谷将貴さんということもあって、僕から連絡して時間を取っていただいたんです。
 アドバイスの中身は秘密なのですが(笑)、ショットの部分だけでなく、メンタル面でもすごく参考になったし、めちゃくちゃ助かりました。

 クラブに関していうと、『クリーブランドゴルフ RTZ ウエッジ』が活躍してくれたかなと思います。今年の夏場から使っているのですが、リーディングエッジがまっすぐで“顔”がシュッとしているのが好きで、構えやすいんです。
 それと、最初に打った時に感じたことですが、フェースへの乗りがいいし、スピンがすごく入ります。日本オープンでは、特に最終日には雨が降って、ラフは深い上に重くなったので距離感が難しかったのですが、あのウエッジのおかげもあって上手く対応できたかなと思います。

 ショートゲームは小さい頃から好きだったということもありますが、僕は中学2年になっても身長がまだ140センチ台で身体も細かったので、全然ボールが飛ばなかったんです。だから、アプローチとパットで勝負しなきゃと思っていつも練習していました。それがプロになった今でも強みになっているかなと思います。
 ご存じの方も多いと思いますが、今回の優勝で、僕は国内ツアーの5年間のシード権のほかに、来年の「マスターズ」と「全英オープン」の出場権を獲得することができました。
 マスターズには小さい頃から出たいとは思っていましたが、「日本オープンに勝ってマスターズに出るぞ!」という気持ちは、正直そこまで強くなかったです(苦笑)。でも、出るのが夢だったし、それが叶うのはやっぱりうれしいですね。一つ大きな目標ができたというか、マスターズに向けて頑張りたいという気持ちが強くなりました。

 全英オープンも、実はめちゃくちゃ出たかった試合なんです。来年の開催コースはまだ調べてないですけど(笑)、リンクスコースでプレーするのが本当に楽しみです。
 今年のツアーも大詰めですが、今回の優勝で賞金ランキングも大きく上がったので、自分の中では、一気に賞金王までめざしたい気持ちがあります。ツアーの終盤戦で初めて賞金王を狙える位置にいるので、来シーズンのためにも、残りの試合はそれを目標にプレーしたいと思っています。


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