2025/12/24

D-Cafeレポート

《リラックス・トーク》“世界一になる”という目標は変わらない。来年こそアメリカで勝ちたい ~ 勝 みなみ ~

 みなさん、ご無沙汰しています、勝 みなみです。いつも温かいご声援や応援をありがとうございます。私にとってアメリカツアー本格参戦3年目のシーズンが終わりました。今日は今年を振り返っていろいろお話ししようと思います。
 今年は、アメリカで自己ベストの2位に入ることができたし、全体の成績としてはキャリアハイの年にはなったのですが、目標にしていた初優勝ができなかったのはやはり残念でした。いい年ではあったものの、納得がいかない年……という感じです。

 そう感じる原因は、やっぱり10月の上海での試合(ビュイック LPGA 上海)で勝てなかったことだと思います。あの試合で、私は単独トップで最終日を迎えて、ノーボギーの7アンダー「65」という、本当に納得できるゴルフができたんです。だけど優勝した選手は9アンダーで回って、しかも終盤の4ホールで3連続バーディの後にイーグルという「え? どういうこと?」というスゴいプレーで(苦笑)。それで首位に並ばれて(5ホールに及んだ)プレーオフで負けてしまって……。自分が悪いプレーをしたわけでも、自滅したわけでもないので、すごく不思議な試合だったし、悔しさをどこに持っていけばいいのか分からなかったですね。

 一緒に戦ってくれたキャディさんも「みなみは全然悪くない。相手がスゴかっただけだから、気を落とすことはないし、このまま続けていけば絶対優勝できるから大丈夫、自信を持って」と言って励ましてくれました。
 ただ、私が思ったのは、負けたということは、やっぱり何か自分に足りないもの、弱いところがあって、それを克服すればいい形で優勝できるんじゃないかということ。いい意味での“お知らせ”だと考えて、自分に足りないものを見つけて、それを満たすためにしっかり積み重ねていくことで優勝が手に入ると思うし、大きな試合でもいい結果を残せるんじゃないかと。そう考えて、自分を信じてやっていきたいなと思っています。

 今シーズンは序盤からすごく調子がよかったわけではありません。試合でも試行錯誤しながらプレーしていたのですが、夏頃から自信がつき始めて、だんだん結果を残せるようになりました。
 きっかけは2位タイに入った「AIG女子オープン」です。3日目の朝に練習していたら、すごくいいスイングというか、いい感覚が見つかったんです。それで、『もう予選を通ったし、コースも難しいから、この感覚でやってみよう』とプレーしたら、7アンダーで回れたんです。「AIG~」のコースはそんなにいいスコアが出ないので、ちょっとでも伸ばせばグーンと上位に行けます。だから、プレーしながら、「もっと上に行けるし、たぶんトップ5を狙える」と思って、そのスイングを最終日も続けたら、その日も3アンダーでプレーすることができて。それがヒントになって、スイングについていろいろ試していたら、ショットがよくなっていきました。すごく感覚的な部分で、ひらめきのようなものなんですけど。

 アメリカでの1年目、2年目と比べると、今年はショットがだいぶ安定するようになりました。最初の2年間は、「曲がるんじゃないか」とか「ミスするんじゃないか」という気持ちがどこかにあったんです。それは日本でもあったのですが、それがあるとやっぱり上手くいかないことが多かったように思います。それが今年は、ドライバーでもアイアンでも、構えた時の不安というのがだんだん薄れてきて、曲がったとしても許容できる範囲に収まるようになりました。特に「AIG~」でいい結果が出てからは自信がついたし、そのいい感覚がシーズン終盤まで続いて、調子の波は多少あったものの、ショットは安定していたかなと思います。

 ティショットに関しては、今は飛距離よりも方向性を重視しています。そこはアメリカでプレーするようになって変わったところですね。日本からスポット参戦していた頃は本当によく飛んでいて、ドライビングディスタンスで上位に入ったこともあります。当時の飛距離があればもちろんいいのでしょうが、どんなに飛んでも、曲げてしまうとかんたんにOBになるし、池にも入ってしまうので武器になりません。それより、たとえ20ヤード落ちても曲がらないほうがいい。それに、飛距離が落ちたといっても飛ばないほうではないので、方向性を重視しながら、どうやったら飛ぶのかとか、ミート率を上げるにはどうすればいいのかとか考えています。

 変わったということで言えば、アメリカでプレーするようになって、ボールを「スリクソン Z-STAR XV」から『Z-STAR ♦︎ DIAMOND』に替えました。その理由ですが、今の自分が理想とする飛距離が出るというのがひとつ。それはすべてのショットについて言えることで、タテ距離が自分のイメージに合うのがすごく魅力的だなと思います。
 スピン量も自分の理想に合っているというのも替えた理由です。私はもともとウエッジでスピンをかけるのがあまり得意ではないのですが、『Z-STAR ♦︎ DIAMOND』は100ヤード以内の距離でイメージ通りのスピンがかかってくれます。今の自分のゴルフにトータルで合っているのが、『Z-STAR ♦︎ DIAMOND』なんです。

 ちなみにグリーン上では、アメリカでも日本にいる時と同じいい感覚でパットができています(※LPGAツアーでの平均パット数のランキングは、2023年:3位、2024年:13位、2025年:2位)。パットはもともと嫌いではないし、アメリカでもライン読みには自信があります。もちろん距離と方向性を合わせることが重要なのですが、自分の思ったところに打てればほぼ入るという感じ。コースごとの芝の種類の違いも、私は気にならないです。それを気にしていたらゴルフはできないなと思うので(笑)。距離が合わないのは致命的ですけど、ラインさえ読めれば何とかなる、という感じでパットしています。

 アメリカのツアー会場には、日本とはまた違うよさがあって、たとえばコースに行くと、選手には朝と昼にバイキングの食事が用意されています(メジャーは夕食も出ます)。そういう選手に対するホスピタリティは充実しているなと思います。
 英語も、話すのはまだ難しくて勉強中ですが、だいぶ聞き取れるようになりました。先ほど話したキャディさんはスコットランド人なのですが、長くアメリカに住んでいるので話す英語が聞き取りやすいし、コミュニケーションはよく取れていると思います。ただ、そのキャディさんはミスをすれば自分が悪かったと素直に謝るし、私も自分が悪いと思ったら謝ります。そういう関係はすごくいいと思っていて、お互いに信頼関係を築く上でも大事なことだと思っています。
 来年のアメリカツアーの開幕は2月中旬で、それまでは日本国内でトレーニングや調整をするつもりです。トレーニングでは主にコアを鍛えたいなと思っています。私はコアの筋肉はあるけれど、スイングする際に上手く使えていないんです。それをトレーニングによって使えるようにしておきたいのと、スイングでは基本を見直したいと思っています。ボールを見るとか、本当に基本的なことなのですが、私は忘れがちなので(苦笑)、オフは身体に基本を染み込ませることから始めたいと思います。
 プロゴルファーとして最終的にめざすのは、やっぱり世界一なので、その目標から逆算して、どうすればいいかということを考えています。世界一になるには、優勝して勢いをつけることが最優先なので、来シーズンのできるだけ早い時期に優勝できるように、オフにできることをしっかりやって、タイでの初戦に臨めたらいいなと思っています。

 最後になりましたが、今年も1年間応援していただいて本当にありがとうございました。ファンのみなさんはアメリカでの初優勝を期待してくださっていると思うので、来年こそ初優勝して、みなさんにいい報告ができるように頑張ります。みなさんには、健康に気をつけて年末年始を過ごしていただいて、来年がよい1年になることを願っています。


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