2021/09/30

ダンロップメンバーズテニスメルマガ 2021 9月号

住友ゴムグループの(株)ダンロップスポーツマーケティングは、日本発のアパレルブランド【DUNLOP】を世界へ向けて発信しており、「21 Fall & Winter」ラインナップを発表・発売しました。ラインナップは大きく「UNISEX」と「WOMEN」で構築され、それぞれに超真剣モードの「GAME」シリーズと、リラックスしてプレーするための「PRACTICE」シリーズが展開されます。今回のテーマは『ブレイキング・スルー』……壁を打ち破れ!

住友ゴム工業は2017年に、海外のダンロップ商標権、ダンロップブランドのスポーツ用品事業、ライセンス事業を手にして、ダンロップブランドの世界的な価値向上を目指す体勢が整いました。

それまでは日本で開発したアイテムがどんなに優れていても、日本とアジア圏でしか販売することができなかったものが、堂々と世界へ向けてアピールすることになったのです。これを機に、ダンロップのテニスアパレルも世界発信となり、国際舞台で活躍するトッププレーヤーたちも「日本発ダンロップウェア」を纏って戦うことになりました。

ダンロップというブランドが、一貫して背負ってきたのは「本気」というひと言でした。テニスと真っ直ぐに向き合い、真剣モードで打ち合う姿。リラックスできる楽しいラインナップにも、本気を感じさせる開発姿勢が「ダンロップの売り」でしたし、そのスピリットは今もまったく変わることがありません。

ですからダンロップテニスウェアも、絶対使命として「高いプレーパフォーマンス」を背負って登場するのです。先日のUSオープンでケビン・アンダーソン選手やマックス・パーセル選手が着用してプレーしたゲームシャツは、あらゆる動きに対してストレスを感じさせることなく挙動し、ゲームを通じて「いかに快適さを提供するか?」をテーマとしています。

その良い例が「後身頃の全面メッシュ」という設えです。強い太陽を浴びながらプレーする背中を、全面メッシュ仕様とすることで通気性を確保し、激しい戦いを展開するプレイヤーのパフォーマンスをバックアップします。

胸には、大胆に表現された「シーズンテーマ」。この中には、伝統的なダンロップロゴとして君臨する【フライングD】が隠されていることに、みなさんはお気付きでしょうか?
ダンロップウェアのインターナショナルモデル登場以来、デザインテーマとされてきたのが「フライングDのデフォルメ」で、いろんなスタイルで「フライングD」をモチーフとしたアレンジがなされています。

そのテーマは、2020 Spring & Summerから『PRECISION=正確』→『INSTINCTIVE=本能』→『CHAOS & RULE=混沌と規律』と進み、最新テーマが『BREAKING THROGH=突き破れ』。あたかもガラスの「フライングD」を後ろから突き破るようなイメージで描かれます。また他のラインナップにも、さまざまな形で「フライングD」が隠されていますので、WEBカタログを眺め、隠されている「フライングD」を探してみてください!

機能的に洗練させたモデルの一つの例として挙げられるのが【DAW-4140 HOODED WIND JACKET】【DAW-4190 WIND PANTS】です。一般的なウィンドジャケットは、カシャカシャした素材感で伸縮性をあまり感じられませんが、この上下モデルは、袖を通した瞬間に「あっ、違う……」と実感していただけるくらいの「軽やかで、高度な伸縮性」が特徴です。

全体のフォルムはスマートにボディフィット、シャープな印象がありながら、実際に動いてみると、ジャケットを着ているストレスをほとんど感じず、まるで「着ていないかのよう」です。さらに徹底しているのは、裏地にメッシュ素材を使い、表地と肌との間に生じる、ほんのわずかな引きつれ感をも解消していること。練習シーン、試合前のウォームアップシーン、あらゆる面での快適性を追求したのが【DAW-4140】&【DAW-4190】なのです。

ダンロップアパレルの個性は「あくまで本気モード」。2021年秋冬発表のアイテムは、もちろん本気……、でも「そのうえ楽しんじゃおう」というマインドで、「本気にオシャレ」を感じさせる女性らしいラインナップの登場です。

カッティングの面白さでは【DAL-8161W T-SHIRT】が注目を集めています。近年、女性の着姿スタイルでは「ユルフワ」オーバーサイズがトレンドとして挙げられることが多く、襟をグッと落して着る「抜き襟」スタイルも流行りました。普通よりもちょっとだけどこかをユルくする……そんなイメージでしょうか。

今シーズンのダンロップが取り上げたのは、「横幅ルーズ」です。広げてみると丈と身幅がほぼ同じという「ビッグシルエット」。わざと大きすぎるものを着ることのギャップが逆に、中のスマートさを強調する効果ですね。おすすめカラーは「ブラック」で、可愛いらしさに高級感が加わります。この機会にぜひ、新しいテニスウェアスタイルにチャレンジしてみてください。

ラケット、ストリング、シューズなどに対して、「使用した感想」などをSNSにアップされるのを多く目にします。かつて「活字」は、出版物というツールでのみ触れることができる「特別なもの」で、そこには「情報としての価値」がありました。書き手には、自分が書いたものが「公の目に触れる」という「責任」が存在したからです。

ところが今は、みんなが勝手に・自由気ままに書いたものを、とくに責任感を感じることもなく公にする時代となりました。それを悲しんでみても、溜め息をついても、どうなるものでもありません。そうなってしまったんだし……。

でも「それでよかったこと」もあります。みんなが、いろんな人の思いや意見を目にすることができたことです。「ふぅ〜ん、そんなふうに思う人がいるんだぁ」と、知ることができ、一つの情報にも、いろんな見方があるということを感じられることです。

問題は「選ぶ目」です。

溢れかえる情報の中から、「自分にとって有益な情報はどれか?」を判断し、それをどのように活用するかという力を、個人個人が持たなければならない時代になったのです。あまたの情報には、価値のある情報もあれば、必要のない情報や、まともな判断を邪魔してしまう情報もあります。

責任を求める時代ではなくなったことは承知していますが、目に触れるもの、何でもかんでもを真に受けていては、惑わされることが多すぎて、自分のために活用することができません。いかに取捨選択を効率的に行なうか……それが、情報をうまく利用するための必須能力となります。

たとえば「ラケット選び」のためにSNS情報を探る場合、どんな情報を拾い、どういった情報を捨てていくかを、効率よく判断することができると、自分の理想に近いラケットを見つけ出すための助けとなります。

その際によく知っておいていただきたいのが
「道具は、使う人や使われ方によって、その感じ方はまるで違う」
ということです。

ラケットの選び方を例にとって説明しましょう。
よく見かけるカキコミは……
「○月×日、【△△△△】を試打した。ものすごく硬く感じて、ボールがぜんぜん飛んでいかない。自分にはまるで使えないし、その後で肘が痛くなった」
こんな感じですが、これを書いた方は正直に感じたままを表現したのでしょうけど、普段、この方がどういうプレースタイルで、どんな道具を、どのように使っているかを知った方が「この人がそう言うのなら、自分にとっても参考になる」となりますが、まるで違う体格・体力・プレースタイルの方にとっては、参考にもならず、むしろマイナスイメージを押し付けられるだけですね。

とくにテニスラケットは、フレームの性能、ストリングのタイプ、ストリングの張られ方などで、まるで総合性能が驚くほど違ってきます。同じ人が打っても、感じ方がまったく違う……
それを、自分がいつもはどんなフレームに、どのストリングを何ポンドで、誰に張ってもらっているか? という前提なしに「ただの感想」を言われても、そこから拾える情報など皆無です。

ましてやまったく同じセッティングのラケットでも、本人のフィジカル要素や、打球スタイルによって感じ方が正反対になることなど、よくあることです。

極端な例ですが、バリバリに競技テニスをやっているテニス歴10年の壮年男子が、非力な方向けの高反発系モデルを試打して「ボールがどこへ飛んでいくかわからなくて、コントロール性が激低。軽過ぎて、こんなラケット使えない」というコメントを「試打リポート」と称したカキコミ……、あなたには合わないだろうけど、ベストマッチの人だっているんです。

自分がいつもどんな道具を使っているか? どんなプレースタイルか? どんなラケットが好きか? などを伝えず、ただ単に「硬い」「飛ばない」「痛い」「滑る」「スピンがかからない」などの、マイナス評価ばかり並べているのを見ると、悲しくなります。匿名って、本当に怖いです。

道具と使い手には「相性」というものがあります。自分の選択が間違っているのに、それを道具のせいにするのはいかがなものでしょう。否定的な書き込みなどよりも、「これはどんな人に合うか」を伝えるプラス指向のリポートが好ましいですね。

客観性を欠いた情報価値の低いカキコミを見抜いてスルーし、自分に当てはまるかもしれないという数少ないカキコミを拾い上げることが、SNSを利用した道具探しには必要なことのように感じる昨今です。

松尾高司氏

松尾高司氏

おそらく世界で唯一のテニス道具専門のライター&プランナー。
「厚ラケ」「黄金スペック」の命名者でもある。
テニスアイテムを評価し記事などを書くとともに、
商品開発やさまざまな企画に携わられています。
また「ダンロップメンバーズメルマガ」のサポーターも務めてもらっています。