住友ゴムグループの(株)ダンロップスポーツマーケティングは、1974年に名品と謳われる【MAXPLY FORT】の輸入販売から始まり、日本市場に向けたラケットの開発に携わり、現在ではダンロップブランドそのものとなって、全世界のテニスプレーヤーに高い技術力が生んだラケットを送り届けています。先日SNSを通じてダンロップラケットに対するみなさまのご意見を伺いました。
そこから読み取れたのは、我々の開発ターゲットが的確であったということでした。
これは当社ラケットの開発陣にとって、またダンロップラケット全体にとって、とても嬉しい事実です。ラケットブランドにとって大切なことの一つに『ラインナップの構築』が挙げられます。
すべてのプレーヤーにとって最高!という「万能の1本」はありません。さまざまなプレースタイルが存在し、いろいろな好みがあります。とくに現代では、そのバリエーションが多岐化して、それぞれのスタイルに適したスペックを持ったラケットの棲み分け配置「ラインナップ」が重要な意味を持ちます。
メーカーというものは「売ってしまえばそれで終わり」ではありません。それがきちんと狙いどおりに使われているか? それぞれのどこがどのように評価されているか? を把握することで、次の製品をどう開発し、いかにターゲットユーザーへ届けるかの指針を得ることができるのです。その意味で、今回の調査結果は、我々ダンロップの自信に繋がるものだったと言えます。
ニューモデルの発売時期から近かったということもあり、もっとも「好きです」評価が多かったのが【CX】シリーズでした。同シリーズで評価を受けたのは
◎「ボックス形状らしさ」
◎「コントロールモデル」
◎「しなりと、掴むような打球感」
というポイントでした。
まさにダンロップが守ろうとするものと、進化させようとしてきたことが、そのまま評価されていることを感じました。
そんななかで我々が注目したのが【CX400シリーズ】に対する評価です。以前の【200】と【400】は、同シリーズながらも「赤の200」「青の400」として差別化してきましたが、同コスメティックとしたことで、どのように評価されているかに着目したのですが、コスメティックについての批判はなく、その性能特性を強く支持してくださるメッセージに心打たれました。
「テニス人生のターニングポイントになったモデル」「予想以上の扱いやすさとパワーのバランス」「圧倒的に実戦的」など、【200】の個性に+アルファのパワーを乗せた【400シリーズ】という存在を「心強い相棒」にしてくださっているというメッセージには、ラケットメーカーとしての充実感が溢れました。
日本がダンロップラケットを世界へ向けて発信することになったとき、総合的に目指したのが「わかりやすいラインナップ構築」でした。とくに「ネーミング」は大切で、モデル名がそのラケットの個性をしっかりイメージさせるように、
【SX】シリーズは、今日のバトルテニスにおいて主流となっている攻撃的スタイルを支える「スピン性能」を顕著に表現したモデルで、スピン量の多さが高い弾道での安定したコントロールを助け、相手に迫るようなバウンドが精神的な圧力をも与えます。
また【FX】シリーズは、「スピードという圧力」で、相手よりも自分が優位に立つためのシリーズです。「パワーモデルなのにコートに収まってくれる」「打球感の優しさと、攻撃的なパワーとのバランスが絶妙」などの評価をいただきました。
そしてダンロップが「変えたくても変えられない」伝説のモデル、長年【10.0】の愛称で親しまれてきた『魔法のラケット』は、【DUNLOP】としてインターナショナル化されました。他のラインナップと同様に、数字を「100倍化」。この「日本のマジカルモデル」が世界でどう評価されるかも楽しみです。
ダンロップラケットは「使われること」で進化していきます。我々が磨き上げたものがどのように使われ、どう評価されているかを知ることこそが、これからの大きな糧となります。どうかこれからも多くのご意見をいただけますようお願い申し上げます。
今回は「モデルチェンジ」のお話。昨今のテニスラケットでは、「2年ごとのモデルチェンジ」が一般化しています。ひとくちに「モデルチェンジ」と言っても、おおまかに3つの段階があり、いちばん簡易なレベルが「カラーチェンジ」です。カタログに「ニューカラー」とか「新色追加」などの表記があるのがそれです。
次の段階が「マイナーチェンジ」で、全体の機能や印象をあまり変えずに、「細かな機能追加」や「セッテョングの変更」が施され、「ニューモデル」として扱われます。これがおもに「2年〜3年に1回」のスパンで行なわれるモデルチェンジです。
そしてもっとも大胆なモデルチェンジが「フルモデルチェンジ」。同じ名前なんだけれども、フレームの形状や厚さなどにまで変更が加えられ、もはや「完全ニューモデル」と言っていいほどの変更です。「これまで愛用してくれている感覚を崩さずに進化する」を大切にしているダンロップではあまりないことですが、けっこうドラスティックに行なうメーカーもあります。
ラケットの開発というのは、ユーザーのみなさんが思うほど簡単なことではありません。たとえば「一部分への新素材投入」というマイナーチェンジをするにも、ただそこの素材を換えればそれですむというわけにはいかず、以前と重さが違えばバランス調整のためにカーボン配置を再配分し、打球感や打球結果が極端に変わらないように、カーボンレイアップを新たに組み直したりもします。カタログではちょっとしか変わっていない感じでも、それを自然に表現するために、じつは中身がかなり変わっているなんてこともあるのです。
でもユーザーにとって刺激的なのは、やっぱり「フルモデルチェンジ」ですね。まるで新しいイメージにワクワクする面もありつつ、逆に、変わりすぎて使えなくなってしまうかもしれない……とドキドキもするわけです。
それだけに、まったく新しいものを生み出すというのは、メーカーにとって大冒険。とくにモデルチェンジではない「完全ニューモデル」開発には、時間と経費と知的労力などの投資が必要です。近年では、奇抜なニューモデルというのは、めったに登場していません。メーカーが冒険をしたがらないこともありますが、ラケットフレームの性能を煮詰めるほど、そのスペックは優れたものへと集約されていくという状況もあるのです。
ラケット進化の歴史を振り返ってみると、ウッド→メタル→カーボンという「素材革命」があり、加工しやすく強固な素材ができたことで、フェイスサイズや多彩な形が生まれた「形状革命」。そして厚ラケによって急激に進化した「高反発革命」がありましたが、それ以降は「長ラケ登場」もあったものの「革命」というほど画期的ではなく、「黄金スペック」ブームがあった頃から、それまでにない奇抜な発想のラケットは、とんとお目見えしてないですね。
新しいものが根付くには「時間」が必要です。とはいうものの、過去を見れば各メーカーとも、数多くの知的生産物を生み出してきたじゃないですか。生まれては消え、消えては生まれる……。ユーザーもショップも「新しいもの」を望んでいますが、ゼロからの新規開発が困難な状況であることもわかります。
打開策はないのでしょうか?
まったく新しいなにかって、そんなに簡単に出てきませんよ。ならば「過去にあったものを、現代の技術でどうにかする」ってことは、できるかもしれません。昔はダメだったものが、今はイケるかもしれない……できなかったことが(違う方法や素材で)できるようになっているかもしれません。
フレーム内側にリブを突き出させることで全体剛性を高めながら、ストリング面のたわみが引き込むようにフレーム自体も内側に捩れさせ、フレームの面内変形をさせずにコントロール性と反発性能を向上させるという狙いです。『わざと変形させ、意図的にコントロールする』ところが、現代のカチカチに硬いフレームとは真逆の考え方です。
見かけの特殊さのせいで定番化はしませんでしたが、発想の独自性は魅力的です。
「フレームを変形させない方向」ばかりへ動いている現代だけに、この発想センスをもう一度見直してみるのも、面白いだろうと感じるのですが、いかがでしょうか?
『温故知新』は、まさにタイムマシーンです。過去と現在を結ぶ高度な技術力……そこから学びえることが未来を拓くのです。
松尾高司氏
おそらく世界で唯一のテニス道具専門のライター&プランナー。
「厚ラケ」「黄金スペック」の命名者でもある。
テニスアイテムを評価し記事などを書くとともに、
商品開発やさまざまな企画に携わられています。
また「ダンロップメンバーズメルマガ」のサポーターも務めてもらっています。
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