2022/02/28

ダンロップメンバーズテニスメルマガ 2022 2月号

住友ゴムグループは、ダンロップブランドを世界的にアピールするため。「全豪オープン」と深いつながりを持っています。1月17日〜30日で開催された「全豪オープン」……、今年も「Dunlop Australian Open」が大会公式球として使用され、会場内でもさまざまなイベントが催されました。

やはり、まずご注目いただきたいのは大会公式球「Dunlop Australian Open」です。期間中、84,500球(約7,041打)が使われました。非常に多くのボールが、わずか2週間で消費されますが、今年から大会使用球納入に際し、これまで容器に付属されていたプラスチックの蓋装着を廃止し、プラスチック使用量削減に取り組みました。これにより、プラスチック使用量を「約0.34トン」の削減が実現しました。(全豪オープンおよび前哨戦※1の大会使用球合計)

※1「全豪オープン」とその前哨戦を総称して「全豪オープンシリーズ」と呼び、ITF(国際テニス連盟)車いすテニス・ジュニア大会、ATP(男子プロテニス協会)ツアー・ATPカップ、WTA(女子テニス連盟)ツアーを含みます。大会名など詳細は以下のリンクをご確認ください。
https://www.tennis.com.au/news/2021/11/25/australian-summer-of-tennis-calendar-set-for-january

会場では、さまざまなダンロップイベントが開催されました。毎年設置している「インスタ映えスペースが、公式使用球【AO】の洞窟に入ったような『ダンロップボールケーブ』。
会場のあちこちに現われる『ダンロップ ジャンボボールのマスコット』と、一緒に写真を撮ってインスタにアップする来場者も多数見られたのも、楽しいワンシーンです。

ダンロップボールケーブ

毎年設置している位インスタ映えスペース(写真は次の項目で紹介する木下晴結選手)。

ジャンボボールのマスコット

会場内にたびたび陽気なマスコットたちが登場。楽しい雰囲気にさせてくれました。

さて、ダンロップでは日本のジュニアが世界へアプローチするのをバックアップするため活動も行なっています。昨年の11月に四日市で開催された「2021 DUNLOP ROAD TO THE AUSTRALIAN OPEN JUNIOR SERIES in Yokkaichi」で優勝した2名のジュニアが全豪前哨戦の「トララルゴン国際」予選に挑戦。両選手とも見事に予選を2回勝いて本戦へ出場し、国際舞台への第一歩を記しました。

そして、住友ゴム工業(株)とテニスオーストラリアの交渉の結果、「全豪オープンジュニア」の予選出場権利も獲得。格上選手を相手に両選手とも、憧れの舞台である「グランドスラムジュニア」への出場を果たしました。本戦ではシード選手との対戦となり厳しい戦いとなりましたが、世界トップ選手相手に堂々としたプレーで大健闘。ダンロップは今後も、ジュニアが世界へ挑戦する機会を積極的に生み出し、日本ジュニアたちの活躍・発展のためにサポートしていきます。

両選手のホスピタリティ体験として「チャンピオンズプラクティス」をセッティング。 オーストラリア出身で現役時代ダブルスでグランドスラム優勝経験をもつアリシア・モリク氏がスペシャルゲストとして練習に参加。2人にアドバイスをしていただき、貴重な時間となりました。

原﨑朝陽選手 全豪オープンジュニア1回戦 × A.Vallejo [3] 4-6,7-5,3-6
木下晴結選手 全豪オープンジュニア1回戦 × Y.Bartashevich [10] 5-7,4-6


そして多くの来場者の注目を集めたイベントが、オーストラリアの、いや世界のテニスレジェンドである「ロッド・レーバー氏」を囲ってのファンイベントが開催されたことです。
ロッド・レーバー氏は、1960年代に「オーストラリア全盛時代」を築いた中心選手で、グランドスラム大会で10年間で11勝を飾り、そのうち1962年と1969年に『年間グランドスラム』を達成した、まさに「レジェンド」です。年間グランドスラムとは、同一年に4つのグランドスラム大会すべてに優勝する快挙で、「キャリアグランドスラム」とは格が違います。その年間グランドスラムを2度も達成したプレーヤーは、男女すべてのテニス選手の中で「ロッド・レーバー ただ一人」です! 全豪オープン会場のメインアリーナができたとき、まっさきに挙がった名称が『ロッドレーバーアリーナ』でした。

そんなレジェンドを招いた「ダンロップのイベント」では、彼の貴重な体験を語ってもらい、ファンとのQ&Aも行なわれました。大会期間中、このイベントは注目を集め、多くのメディアとファンが駆けつけ、レーバー氏からサインボールがプレゼントされるなど、とても楽しいひとときとなりました。

レーバー氏は、左利きからの攻撃的サーブ&ボレーのスタイルで有名。その姿から『ロケット』の異名を持ち、彼が使っていたダンロップ【マックスプライ】を手にして現役時代を語る。ファンにサインボールをプレゼント!

ときどき訊かれることがあります。
「昔のラケットって、今でも使えますか?」
えっ……どうしてそんなこと訊くの? 使いたいの? なぜに???

ベテランになってくると、つい昔を懐かしく思ったりするもので、若い頃に使っていたレギュラーウッドを押し入れから引っ張り出し、それをニヤニヤしながら眺めていると、「そんなもの引っ張り出してどうするつもり! 邪魔だからやめてっ!」とカミさんに叱られたりするわけです。

そうそう、「レギュラーウッド」といっても、昔のラケットを知らない世代の方には、何を言っているのかチンプンカンプンかもしれませんが、昔のラケットは「木でできていた」んです。まぁ信じられない方もいらっしゃるでしょうけど、マジな話です。現在60歳を越えるみなさまにとっては、その姿・形・使用感について十分なご記憶があるでしょう。

そこで、一般的なレギュラーウッドのスッペックについて並べてみましょう。

● 素 材   木製
● 重 さ   競技者向け:400g以上 女性向け:350g前後 
● 面の大きさ 70平方インチ
● 打 球 感   低振動 マイルド
● 反発性能  真ん中に当たらないと飛ばない
● グリップの太さ
  男性ならば41/2(4/8)、太くて45/8 なんてのも
  女性用でも43/8くらいが標準 「2」なんてなかった

まずは「フェイス面積」ですが、「70平方インチ」で、それを「レギュラーサイズ」でした。そもそも1980年以前には「レギュラー」なんて考え方はありません。だって、みんな同じ大きさで、それが当たり前だったから……。プリンスの「ラージサイズ」が日本で話題になってから、それと区別するために「レギュラー」という観念が生まれたんです。

現代ラケットのコアラインが「100平方インチ」ですから、約2/3ですね。重ねてみるとわかりますが、ビックリするほど小さいです。バドミントンのラケットのほうに近い感じです。当時は、すべてのラケットがほぼ同じ大きさで「フェイスサイズ」の差もなく、デカラケが出てきてから「測ってみたら70平方インチでした」ってこと。

次に「フレーム重量」ですが、男子学生が使うのは、だいたい400g程度でした。今は、300gでも「重〜い」なんて言われちゃうんですから、驚愕の重さですよ。振ってみると「よくこんなもの振り回していたよなぁ……」と感心してしまいます。

現代のラケットは、各モデルごとに「重量:平均◯◯g」と記されている「1スペック」方式。シリーズごとに「重量違いは別モデル」としてラインナップされていますが(例外もあり)、当時は◯◯シリーズなんてのはなくて、同じデザインならばすべて「同じラケット」と扱われていて、重量の差は、自分で測って……というものでした。だからテニス専門店では、お客さんの希望の重さを探すのに、吊るされているラケットを全部下ろして、1本ずつ測りに乗せていました。そりゃ今も1モデル:15gほどの重量幅はあるので、2本〜3本をちゃんと揃えたい方は、しっかり計測しますけど……。

そうやって重量の説明をしていると「どうしてそんなに重かったの?」と訊かれます。
「だって、木で作ってたんだから、丈夫に作るにはどうしたって重くなるでしょ!」
天然素材をほぼ手作業で作られるウッドラケットの材料は、厚さ1.5mm×幅2cm×長さ150cmの細長〜い短冊を5〜7枚も重ねて接着剤で貼り合わせつつ、グイッと曲げてラケットの形にしたまま、完全に接着するまで数日間。そうやって天然素材で作られているんですから、重さを厳密に揃えることなど無理なんですよ。

それに、そのくらいの重さがなくては、テニスボールはネットを越えて相手コートへ返っていかなかったんです。まず「木製合板」という素材には、そんなに高い反発性がなかったから。現代のカーボン繊維強化プラスティック製とは「月とスッポン」「天と地」ほど違います。それに「70平方インチ」という面の小ささ。面が大きいほうが飛ぶということはみなさんもご存知でしょうが、昔はそんな非常識なものはありませんでした。

とにかく飛ばないんです! ですから昔のテニスを覚えるのは、今のように楽しいものじゃなく、まるで修行みたいでした(苦笑)。小さな面のど真ん中に当てないと、気持ちよく打球は飛ばない。スウィートスポットから3cmもズレたら、ネットを越えないんです。ところが今のダンロップ【SX300】シリーズって、ちょっとくらいのズレはラケット側が自動修正してくれて、快適打球ゾーンを広げてくれるってんですからブッたまげです。

あぁもう、話は尽きないので、続きは次号に持ち越しです。「グリップサイズの話」「打球感の話」「もし使うなら、やってはいけないこと」など……乞うご期待です。

松尾高司氏

松尾高司氏

おそらく世界で唯一のテニス道具専門のライター&プランナー。
「厚ラケ」「黄金スペック」の命名者でもある。
テニスアイテムを評価し記事などを書くとともに、
商品開発やさまざまな企画に携わられています。
また「ダンロップメンバーズメルマガ」のサポーターも務めてもらっています。