住友ゴムグループの(株)ダンロップスポーツマーケティングは、テニスを中心としたラケットスポーツを展開し、ダンロップをご愛用くださるテニスプレーヤーのために、「ご満足いただける製品を届けたい!」「快適なテニス環境を整えるお手伝いをしたい」という心で、あらゆる製品を開発しています。ダンロップが提供するテニスアパレルにも、そのスピリットが息づいています。
2022年、ダンロップは「自らの限界を押し広げ、さらに成長したいと願う人々をサポートすることができるブランド目指す」という心を込めて、【BEYOND YOURSELF】をテーマに掲げ、テニス総合アパレル開発に向き合ってきました。今回、その集大成として「2022年秋冬コレクション」を発表します。
春に発表した2022年春夏コレクションは「Awakened BEAST」=目覚めた野獣……ということで、自分の中の野性を発見するというキャッチフレーズでデザインを展開してきましたが、今回の「秋冬バージョン」は【TO BE BEAST FANG OUT】=獣になれ! 牙を剥け! と、より激しさを増しています。
原始・太古において、人類は生命がけで獣たちと相対してきました。獲物を仕留める瞬間、人間もまた「獣の心」をもって、矢を放ち、槍を投げます。人類は進化とともに、生きるために不可欠であった「野性」を忘れて……いや、忘れたのではなく「奥底にしまい込み」「気付かなくなった」のです。
しかし我々は、絶体絶命のとき初めて、自分が持っている「牙」に気付くのです。失ったのではない。心の奥底に、眠らせているだけ。でも戦いの場では、必要になるときがあります。隠し持った「牙」の記憶を呼び起こせ!と、ダンロップはアパレルデザインに昇華させました。
過去4シーズン、ダンロップアパレルの基本モチーフは『フライングD』、あの矢じりのマークです。最初は「ダンロップアパレル」の認知度を高めるため、ズバリそれとわかるデザインでしたが、シーズンごとに抽象的にすることで、スピリチュアルな表現へと進化してきました。『フライングD』のモディファイは、「どこにDが隠れているの?」と探す楽しみでもありましたが、今回は、まさに『牙』。『フライングD』の上端を「牙」に見立てて、さまざまな表現に使用しました。この秋冬も、進化する『フライングD モディファイ』を、どうぞお楽しみください。
さて、そうしたデザイン的個性の他にも、今シーズンは「機能」で注目されるアイテムが多数あります。たとえば、ウォームアップパンツ全般に取り入れられた「脚裾ロングファスナー」です。プレーヤーならばわかることですが、試合前に着用していて、さあコートに出ようというとき、いちいちシューズを脱いで・履いて・紐を締めてという作業は、とても面倒なものです。
とくに今シーズン発表のウォームアップパンツは、裾が足首にキュッとフィットするタイプなので、シューズ脱着の作業がどうしても必要です。しかしそんな面倒さを解消すべく、脚裾のファスナーを大胆に長くしました。こうしたファスナーは、ほとんどのウォームアップパンツに付いていますが、「シューズを履いたまま脱着する」には十分ではないものが多いですね。
ですから「大胆に」長くしました。個人差もありますが、およそ「膝下あたりまで」ファスナーが開くことで、ストレスなくシューズを履いたまま脱着できるようになっているのです。ぜひ、多くのプレーヤーに利用していただきたいメリットです。
また素材も「ジャージ素材」を採用したモデルがあります。ジャージ素材というと、どうしても小中学校の体操着というイメージがあり、厚手で伸縮性に欠ける感じがしますが、ダンロップは、薄手で軽量、テニスの動きに適切な伸縮性を備えたジャージ素材を採用することで、軽快な動きを妨げない、「自在に動いてBEAST化できる」ウォームアップパンツに仕上げました。
「いやいや、ウォームアップの生地はサラサラしてなくちゃ!」というプレーヤーのために、サラッサラのポリエステル素材中心のモデルもラインナップ。こちらも「脚裾ロングファスナー」&「自在に動ける屈伸性」の基本機能は共通です。そのために「ポリエステル88% + ポリウレタン12%」の生地を採用しました。軽量で丈夫なポリエステルに、伸縮性を与えるポリウレタンを混紡することで、テニスのあらゆる動きに対する違和感のなさを、軽量に仕上げるというのが設計コンセプトです。
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なんでそうなるのか……って?
だって、そうなるように作られているんだから、しかたないだろ。
まぁアフロになっちゃうのは特別な状況で、おれとしてはそんな状況で使ってほしくないんだよ。そうすれば、おれのモジャモジャは、特別に手入れをしなくても「いつも同じくらいの状態」を保てるようにできているんだ。
みんなには「安定した性格だよね」って言われる。他のスポーツのボールたちは、たいがい「ツルツル」だろ。多少のデコボコはあっても、おれみたいにモジャモジャの毛で覆われているやつはいない。おれが生きているテニスという世界は、いろんな意味で特別な感じなんだよ。
プロの公式戦が、いろんな種類の地面の上で行なわれるのも特殊。土の上だったり、芝草の上だったり、舗装された地面の上だったり……さまざまな環境で、おれはぶっ叩かれる。でもさ、じつはそういったプレー環境の違いも、おれがモジャモジャであることで助かっているらしいよ!
……さぁて、いつもと違った雰囲気で始まりましたが、今回は先月号の続きということで『ボールがモジャモジャに覆われているワケ』をお話しします。モジャモジャが言っていたとおり、あらゆるボールスポーツの中で、フェルトに覆われたボールを使うのはテニスだけ(ラケットボールやビーチテニスは親戚だからいいの)。それにはちゃんとした理由……いや、メリットがあるんです。
まず、ボールを打っているうちに、モジャモジャの毛が少しずつちぎれていくことのメリットについて説明しましょう。もしあれがちぎれないと、どんどんアフロ状態が過激になり、ボールが「肥大化」します。アフロになって肥大化すると、打球速度が遅くなり、回転もしにくくなるから、スピンもかかりにくなるし、空気抵抗が大きくなって、弾道が安定しない。インパクトごとに、あの毛羽立ちが「自動的にちぎれ飛んで」くれるからこそ、ボールの大きさは一定を保ちやすくなり、速度もスピンも安定した状態で使うことができるんです。弾道は安定し、真っ直ぐ飛ぶし、スピンもかかる。「自動形状安定機能」って、スゴいでしょ!
そしてモジャモジャは、テニスラケットとの相性抜群。ストリングの網目にモジャモジャが食い込むことで、打球感はマイルドになり、ボールにスピンをかけることもできます。もしボールが卓球の球のようにツルツルだったら、スピンなどまるでかかりませんね。ツルツル卓球ボールには、ラケットに貼られた「ラバー」の摩擦が回転をかけてくれるし、モジャモジャには網目が引っかかってくれるという、たがいに「特別な関係」であるのです。
さらにモジャモジャには、イレギュラーバウンドを抑えてくれるという機能があります。ボールの表面が硬いと、サーフェスのちょっとした凸凹で簡単にイレギュラーしちゃいますが、モジャモジャの柔らかさのおかげで、テニスボールは小さな凸凹を拾ってしまうことなく、予想どおりにバウンドしやすくなるんです。
でも、そんな魔法のモジャモジャにも限界があります。擦り減ってきたよな……と感じたら、ボールの反発性能もかなり落ちてきている「印」と思って、新しいモジャモジャに世代交代してもらいましょう。「テニスボールは消耗品」ってことは、どうしようもない運命ですから、あなたがテニスを始めた瞬間から、それは受け容れてもらうしかないですね。
球技の面白さって「ボールの違い」にも表われます。野球、サッカー、バスケットボール、卓球、バドミントン、ラグビー、アイスホッケー ……みんな違う球を使って、それぞれにルールができて、ボール自体が進化することで、ルールも変化していくんです。
だからね、モジャモジャ……ありがとうな!
松尾高司氏
おそらく世界で唯一のテニス道具専門のライター&プランナー。
「厚ラケ」「黄金スペック」の命名者でもある。
テニスアイテムを評価し記事などを書くとともに、
商品開発やさまざまな企画に携わられています。
また「ダンロップメンバーズメルマガ」のサポーターも務めてもらっています。