2023/09/30

ダンロップメンバーズテニスメルマガ 2023 9月号

住友ゴムグループの(株)ダンロップスポーツマーケティングは、テニスを中心としたラケットスポーツを展開し、ダンロップをご愛用くださるテニスプレーヤーのために、「ご満足いただける製品を届けたい!」「快適なテニス環境を整えるお手伝いをしたい」という心で、あらゆる製品を取り扱っています。今回は人気のポリエステルストリング【エクスプロッシブ・ツアー】に「18ゲージ:1.20mm」が追加ラインナップされたお知らせです。

ダンロップでは、2020年からダンロップ・オリジナルのストリングを販売しています。素材的に大きく分けて「ポリエステル系」と「ナイロン(ポリアミド)系」の2タイプ。ポリエステル系【エクスプロッシブ】シリーズが4モデル。ナイロン系【アイコニック「マルチフィラメント」】シリーズが3タイプ。ナイロン系【シンセティック「モノフィラメント」】が1タイプというラインナップです。

今回、新しく細いタイプが追加されたのは【エクスプロッシブ・ツアー】で、これまで「16ゲージ:1.30mm」と「17ゲージ:1.25mm」の2種類の太さがありましたが、それに「18ゲージ:1.20mm」が追加されました。

【エクスプロッシブ・ツアー】は、ポリエステル系4タイプのなかで、もっともバランスの良いスペックを持ち、「丸形断面」「マイルドな打球感」「安定したコントロール性」を持つ、ポリエステル系ストリングです。他の3モデルはそれぞれに異なる個性を持ち、「マイルドな喰いつき」の【エクスプロッシブ・バイト】、「しっかりスピン」の【エクスプロッシブ・スピン】、そして「球速・球威」の【エクスプロッシブ・スピード】が特徴です。

今回、【エクスプロッシブ・ツアー】に細いタイプの「18ゲージ:1.20mm」を追加したのは、ポリエステル系ストリング全体が「細め」の方向に広がっており、ナイロン系ストリングに比べて「硬い・飛ばない」という印象をお持ちのポリエステルユーザーへ向けて、より快適なパフォーマンスを提供するためです。硬い物性を持つポリエステルという素材だからこそ可能になった、極細ストリングの世界です。

まず、多くの方がいまだに疑問をお持ちの「太さ表記」について説明しましょう。メーカーによって、わずかなズレはありますが、ダンロップでは
1.20mm: 18ゲージ
1.25〜1.27mm: 17ゲージ
1.30mm: 16ゲージ
としていて、「ミリ表記」が大きくなるほど、「ゲージ表記」は小さくなります。つまりミリ表記では「太いほど数字が大きく」なり、ゲージ表記では「細いほど数字が大きく」なるという、真逆の順列法です。そもそも「ゲージ表記法」とは、ワイヤーなどの太さを示すために作られたもので、米国ワイヤゲージ規格(American wire gauge、略して:AWG)に則って使われるもので、「0000ゲージ:11.68mm」〜「40ゲージ:0.0799mm」まで、44段階に分かれています。

ざっくりした考え方としては、細いワイヤーを束ねて、ある一定の太さのワイヤーを作るとき、それぞれの細いワイヤーの直径はどのくらいになるか? というものだと思います。たとえば、10本束ねるときのそれぞれの太さは、30本束ねる場合よりも太くなる……ということで「ゲージ数値の小さいほうが太い」ということになるのです。

昔のナチュラルガットなどを見ると、「ゲージ表記」のみというものが多かったですが、現代の日本では「ミリ表記」が主流で、欧米では「ゲージ表記」を使う場合もあります。インターナショナルブランドのダンロップは、どちらにも対応するために「ゲージ表記」「ミリ表記」を並べて記しています。

さて、ストリングの太さが細くなると何がどうなって、どのように違うのか? についてお話ししましょう。まったく同じ素材と構造の場合、ストリングの直径が細くなれば、太いものよりも小さな力で伸び縮みするようになります。つまり「伸縮性」が向上し、打球を飛ばす力が大きくなります。これが「軽快な打球感(飛び性能)」を生みます。

また、縮性が高いということは少ない荷重でストリングを伸ばすことができるのであり、これが「打感のマイルドさ」を感じさせます。「軽快さ」と「マイルドさ」は相反するように思われがちですが、それが細いストリングの特徴なのです。

そのかわり、直径が細いわけですから、大きな力が加わった場合には、ストリングの自体の応力が追い付かず、切れやすくなります。ですから、ものすごい強打をされるプレーヤーにとっては「切れやすく」、飛びすぎて「オーバーパワー」になるでしょう。

でも、それほどの強打はしないけどポリエステル系が好きというプレーヤーには、より軽快に、マイルドで、スピンもかかりやすい細いタイプが好まれるかと思います。ダンロップでは、その見極めを「1.25mmを使用していて、2カ月以上切れない場合」とし、そんな方のために【エクスプロッシブ・ツアー 18ゲージ:1.20mm】を発売しました。

詳しい商品情報は下記をチェック!

#私のベストゲージはこれだ ストリングのゲージの選び方提案!~細ゲージエクスプロッシブ・ツアー1.20mm新発売~

ラケットに張られる「網」「糸」のことを「ストリング」といいます。その中で「羊や牛の腸」を素材として作られたものだけを「ガット」、正確には「ナチュラルガット」と呼びます。世間では「ガット張り」などの言葉が通用化していますが、それは日本だけのことで、海外で「ガットを張ってください」と言ったら100%、「高価なナチュラルガットを張ってください」ってことです。

第二次大戦前は、ナチュラルガットしかなかったため(金属製のストリングも試されましたけど)、稀少な素材を使わなければならないテニスは「とても贅沢な遊び」と言われました。でも大戦後には「ポリアミド(通称ナイロン)製のストリングが誕生し、ストリングの素材はナイロン系を中心として、おもに構造のバリエーションで個性を与えられ発展してきました。

ところが、2000年代になって「ポリエステル」がストリング素材として注目を浴びるようになります。それは、ナチュラルガットを使っていたトッププロたちがポリエステル系ストリングに乗り換え始め、それを真似るファンがとても多かったんですね。

今日、「ポリ」と呼ばれているのは、このポリエステル系のことです。他のほとんどの素材が、ポリアミド、ポリエチレン、ポリオレフィン、ポリウレタン……みんな「ポリ」が付くのに、「ポリ」といえば「ポリエステル」になっちゃいました。当初は「切れない=耐久性が高い」と宣伝され、誤解を招きましたが、昨今では「切れない」と「耐久性」は別のものと理解され、「性能寿命」が重視されて、ポリ系愛用者は、頻繁に張り替えるようになっています。

世界のプロプレーヤーは、ほとんどがポリ系を使っていますが、試合で使うのは「ほぼ8ゲーム」で、それが終わると次々に新しいポリが張られたラケットに交換します。つまり、彼らにとってのポリは、1セットで役目を終えてしまうのです。そしてプロたちは、次の試合のため、使わなかったポリも、すべて新しく張り替えます。それが「世界トップの現実」なのです。

でも「切れない」ことに魅力を感じる一般パワーヒッターにとっては、ありがたい素材です。ポリエステルという素材は、数あるプラスティックの中でも、とても硬いのが特徴です。だから「切れにくい」わけですが、ナイロン系に比べて「伸縮性」が低く、どうしても「飛ばない」「打球感が硬い」と感じられますね。

そこで、この数年で注目を浴びているのが「細いポリ系」です。昨今、ストリングの太さは「1.25mm」がもっとも多く使われていて、これまでは、それで十分に細いとされてきたわけですが、最近ではもっと細いものが「飛ぶ」「打感が軽快」ということで「1.20mm以下」を使う方が増えています。

「飛ばない糸」を選んでおいて「もっと飛んでほしい」というのも妙な話ですが、世の中、いったんポリ系に動いてしまうと、なかなか原点に返ることができなくなるものです。そこで「細いポリ」が人気になり、「1.15mm」「1.10mm」「1.05mm」と、どんどん細くなるわけですが、この細さはナイロン系では実現できません。ナイロンの伸縮性が、耐えきれないんです。伸縮しにくく、強固なポリエステル素材だからこそ、細くても耐えきれるのですね。

ただ、そんなポリエステルだって「細いほど切れやすく」なるし、反発性能を保てる期間も短くなるわけです。いいことばかりじゃない……メリットの裏側にはリスクもあるんだってことを理解して、自分にとってのベストストリングを目指してトライしましょう。「これまでより早めに張り替えなきゃならなくなるけど、飛びは魅力!」という方は、一度、試してみてもいいですね。

また、この10年間で「ハイブリッド」で張る方が増えています。これもトッププロの影響でしょうが、自分なりのアレンジをする楽しみもあり、ベストの組み合わせを見つけることができたときの喜びといったら、もー!
当初は、ポリエステル系×ナチュラルガット、ポリエステル系×ナイロン系など、異素材同士を組み合わせる方法が常道とされていましたが、近年ではもっと微妙なフィーリングを求め「ポリエステル系×ポリエステル系」で、「断面形状が違うもの同士」「太さが違うもの同士」という近親者を組み合わせる方も増えています。

さまざまな広がりを求めながら、無限の可能性に挑みましょう。
そして大切なことは、「飛ばなくなったな……」と感じたら張り替えるということです。飛ばなくなったストリングで無理に飛ばそうとすれば、フォームは崩れ、腕や肘に悪影響が生じます。

せめて「3カ月に1度」は張り替えを検討し、その前に「あれっ、飛んでないかな?」と感じたら、思い切って張り替えるんです。テニスって、それなりにお金がかかるスポーツなんですから!

松尾高司氏

松尾高司氏

おそらく世界で唯一のテニス道具専門のライター&プランナー。
「厚ラケ」「黄金スペック」の命名者でもある。
テニスアイテムを評価し記事などを書くとともに、
商品開発やさまざまな企画に携わられています。
また「ダンロップメンバーズメルマガ」のサポーターも務めてもらっています。