2024/05/31

ダンロップメンバーズテニスメルマガ 2024 5月号

住友ゴムグループの(株)ダンロップスポーツマーケティングは、テニスを中心としたラケットスポーツを展開し、ダンロップをご愛用くださるテニスプレーヤーのために、「ご満足いただける製品を届けたい!」「快適なテニス環境を整えるお手伝いをしたい」という心で、あらゆる製品を取り扱っています。今回は、ダンロップラケットのパワー系モデルである【FXシリーズ】に注目しました。「ラケットのパワー」とは何なのかを知ることで、自分に最適な【FX】を手に入れることができます!

春は、テニスコートが賑やかになってきたのを実感する季節。みなさんの周りに「長い間、ラケットを握っていなかったけど、ひさしぶりにテニスしようかな!」という人も多いのではありませんか?

ラケットの広告やショップでの説明で、よく「パワー」という単語が使われますね。テニスにおいては、とても魅惑的な言葉ですが、これには2つの意味があり、何に対して使われているかを注意しないと、大きな誤解を招く場合があります。

「自分のスイングに大きなパワーを持っている人」に向けたラケットなのか、
「自分のパワーを補ってほしい人」に向けたラケットなのか?
両者は、まるで違うタイプのものです。
「パワー」という言葉が「ラケット自体」の説明なのか、「プレーヤーについて使っているか」の違いをよく理解して、最適なラケット選択をしましょう。

ラケットが「パワー系モデル」を謳う場合は、
1.「非力な人でも楽に打ち返せる」
2.「自分のスイングに足りないパワーを補ってくれる」
3.「十分にパワーがあるけど、さらに打球を加速したい」
という、3タイプのプレーヤーにアピールしています。

まず「1」のラケットは、ダンロップ【LX1000】【LX800】に代表される、飛距離的に大きなパワーを備えたタイプです。小さめのスイングや、ゆっくり振る人でも、ラケット自体が打球を遠くへ飛ばしてくれる反発性能を備えているモデルですね。
プレーヤー側のパワーが少なくても、ラケット側のパワーが、それをカバーして、「楽に」「遠くへ」飛ばしてほしい……というケースで奨めたいモデルです。

「2」の場合、「ずっと【CX200】で頑張ってきたけど、自分の体力が落ちた分をラケットのパワーで補いたい」というプレーヤーが求めているラケットですね。若い頃は、自分のスイングパワーに自信があって、ガンガン打ちまくっていたプレーヤーでも、ある時期を越えると、どうしても自分のパワー低下を感じます。それはいつか、かならずやってくるもので、それに逆らうことよりも、状況を素直に受け容れ、足りなくなってきたパワーを、ラケット側に委ねることで、パフォーマンスを保つほうが、合理的といえるでしょう。

また、しばらくテニスを休んでいて、久しぶりに再開しようという方は、「昔は自分にパワーがあったけど、今は筋力も落ちているだろうからなぁ」と感じているはずです。なのに無理して、昔と同じラケットで挑む必要はありません。
そんなときは、自分に足りなくなったパワーを、ラケットのパワーで補いましょう。
オススメは、ダンロップのパワー系ラケット【FXシリーズ】です!

2020年に初登場したダンロップ【FXシリーズ】の最大個性が「パワー」です。しなりとコントロールの「ボックス断面形状」に対して、剛性の高さと反発のエアロ断面形状で、華やかなデビューを飾り、【CX】【SX】【FX】というダンロップ3本柱が揃いました。

そして2023年、大きな進化を孕んで、【FX】セカンドジェネレーションが登場。「フレームスティッフネスアジャストメント」という新技術を搭載したことで、「飛びと打球感とが最高のバランス」になるように調整できました。

さらに、前ジェネレーションで採用した、フレーム形状による剛性の高さをフレームシェルの「変形→戻り」を起こりやすくすることで実現した「パワーブーストグルーブ」という構造テクノロジーを、2023モデルではさらに進化させ、「パワーブースト・プラス・グルーブ」で、ストリング面のたわみを増幅。これが「ホールド性能」「コントロール性能」「スピン性能」の同時向上を生み出し、なかなか両立できなかった難関「パワー増大+コントロール性能向上」を、マイルドな打球感で実現させたのです。

これこそ「ダンロップの運命的個性」です。一般的な高剛性ラケットは、カーボンの進化に伴ってどんどん剛性が上がり、打球感が硬くなるのを、いろんな技術で「それを感じさせないように」コントロールしてきました。しかし、新【FX】は、構造+変形制御技術によって、フィーリングだけでなく、インパクト現象全体としてホールド性能を向上させ、飛びをパワフルにしたうえで、打球感の快適性とコントロール性を高めることに成功しました。

さて、前述の「3.十分にパワーがあるけど、さらに打球を加速したい」というプレーヤーにとっての【FXシリーズ】の魅力が残っていました。ここにこそシリーズを表現する最大メリット……『狙えるパワー系』という個性が光るのです。

すでに十分パワフルな打球を放てるけれども、「もっと攻撃力を増したい!」と望むプレーヤーを、もうひとつ先の世界へ導くことを目指し、単なる「飛び」「スピード」を超えたところにある、「FORCE」「圧力」「攻撃性」を纏っていただくために組み上げられました。「FORCE」とは、【CX】のコントロールと、【SX】のスピンとを併せ持ちながら、強烈な『推進力』によって、対戦相手に圧力を与え、相手の時間を奪うという「力」です。

このように【FXシリーズ】には「1」「2」「3」というメリットがありますが、それぞれを期待するプレーヤーに向けたセッティッングが「シリーズ」として構築されています。
「1」のプレーヤーにフィットする【FX】は、フレームが軽量で軽快に扱える【FX500 LITE】(270g平均)と、さらに楽に飛ばせる【FX700】(265g平均、+0.5inch)です。

そして「2」では、すでにパワフルプレーの世界を知っている方の「武器」として【FX500】(300g平均)を。もうすこしだけ軽快にスイングでき、長い持続力を備えたいプレーヤーには【FX500 LS】(285g平均)を用意しています。

さらに、「FORCE」で相手を圧倒し尽くしたい……自分自身のパワー+ラケットのパワーの相乗効果で、つねに相手よりも優位でありたいというプレーヤーのために設定されたスペシャルモデルが、フェイス面積を2平方インチ抑えて、プレーヤーのパワーに最適化した【FX500 TOUR】(305g平均、98平方インチ)です。

みな同じ【FX】の個性で武装されていながらも、使うプレーヤーのパワーレベルやスキルによって、段階的なスペック構築をしています。

さあ、あなたに最適な【FX】は、どれですか?

キャンペーン期間中に、ダンロップ・テニスラケット「DUNLOP NEW “FX”シリーズ」をお買い上げいただき、特設サイトから応募すると「Tシャツ」もしくは「ソフトケース」をプレゼントいたします。

テニスの発祥は、正確にはわからず、紀元前3000年頃の古代エジプト文明期に似たようなゲームがあったとか、中世フランス貴族の遊興だったとか、いろんな説があります。それまでは、ルールも統一されず、それぞれのルールで行なわれていました。

古代エジプトの壁画には「球状のものを手のひらで打ち合う」姿が描かれ、これをテニスの原点とする説もありますが、遊戯・競技などではなく、「宗教的な儀式」のようなものだったようです。日本で神事として行なわれている『相撲』と似ていますね。

11世紀〜12世紀のフランスでは、宮殿内の貴族たちが、手のひらや皮革製の手袋などを用い、ボールを打ち合って楽しんでいて、時代が進むとラケット(のようなもの)も使用されるようになります。

そして16世紀になると「ジュ・ド・ポーム(jeu de paume)」と呼ばれる球技となって、コートも作られ、国際大会も開かれます。ここからテニスは「スポーツ」と認識されるようになるのですが、ルールは各地各様で、まだ統一されたものではなかったんですね。

現代テニスに続く近代テニスが生まれたのが、19世紀後半の英国「有閑階級」の裏庭です。いくつかの家族が集まってホームパーティーが行なわれ、そのアトラクションとして、裏庭の芝に簡易コートを使って、男女混合で楽しむゲームが原型です。

以前に「近代テニスはミックスダブルスがあったから広まった」という話をしましたが、英国上流階級では、男女は明確に「区別」されていました。スポーツは男性が楽しむものであって、家内婦人の楽しみといえば、女性同士が集まって午後の紅茶を楽しむ程度のこと。身体を動かして活発に! なんて認識はなかったようです。

そこに1873年12月、英国のウィングフィールド少佐という人が、ラケット・ボール・ネット、そしてルールもセットで特許取得後に商品化しました。集った男女が一緒のコートでプレーすることを薦めた『スフェリスティキ(sphairistike)』は、それまではあり得なかった「男女交流の場」として、テニス人気に火が付きます。

さて、ホームパーティーですから、子供もいるわけで、大人たちが裏庭で遊んでいるときには手持ち無沙汰になります。それを見ていた大人たちが「君らもこっちに来なさい。コートの外に転がってきたボールを拾うという『役』をあげよう!」

ってことで「ボールを拾うのは子供の仕事」ということになった……らしいです。「らしい」とは言いましたが、いろんな文献を調べた結果、それがいちばん信憑性が高いのです。つまり、子供を召使いのように使っているのではなく、大人の遊びの中にも、子供も一緒に楽しませようという精神ですね。

この慣習が「テニスというスポーツの伝統」として、プロ大会やグランドスラムでさえも、球拾いは子供=ボールボーイということになったのです。つまり、大人の遊びに子供をこき使っているわけではなく「一緒に楽しむ機会を与える」という考え方です。

ところで、日本にテニスが入ってきたのは、「横浜vs神戸」の論争はあるものの、いずれにしても外国人居留地。駐留外交官である男性には、さまざまな交流機会が与えられましたが、奥様たちには交流の場がなく、家に閉じこもったきり。外に出る機会もなく、陰鬱な暮らしを強いられたため、それを問題視した居留地の「彼女たちがストレスを発散できるレクレーション施設を作ろう!」という発案によって、テニスコートが作られたのです。

そのときに球拾いをさせられたのは、外交官家の子供ではなく、日本人の使用人・下男などでした。そんな事情から、「球拾い」という言葉には「身分の低い者に与えられた仕事」というイメージが付きまといますが、原点は「大人だけが楽しむのではなく、子供も仲間に入れてあげる」という慣習であり、テニスというスポーツの「伝統を大切にする精神」に則ったものなのです。

野球にも各球団が雇っている「バットボーイ」という存在がありますが、この「ボーイ」にはおそらく「マスコット」の意味合いも含まれていると感じます。同時に「下働き」的な仕事が中心なため、テニスの「ボールボーイ」とは、同じ「ボーイ」でも、認識が違うように思います。

長い間「ボールボーイ」と呼ばれてきましたが、男女同権が叫ばれ、女の子も参加するようになったことで「ボールガール」も誕生しますが、いろんな観点から「男女を区別しないでボールパーソンと呼ぼう」ということになりました。

日本語に直訳すると「球人間」……。
筆者は『ボールボーイ』のままでよかったように思います。でなければ『ボールキッズ』かな。

松尾高司氏

松尾高司氏

おそらく世界で唯一のテニス道具専門のライター&プランナー。
「厚ラケ」「黄金スペック」の命名者でもある。
テニスアイテムを評価し記事などを書くとともに、
商品開発やさまざまな企画に携わられています。
また「ダンロップメンバーズメルマガ」のサポーターも務めてもらっています。