2024/10/31

ダンロップメッセンジャー 2024 10月号 小ネタコラム

いつもダンロップ並びに弊社テニス用品をご愛用いただき、誠にありがとうございます。
【ダンロップメッセンジャー】は、みなさまへ特別な情報提供をすることで、【ダンロップ】をより身近に感じていただくためのものです。
みなさまと一緒に良い商品を作り、ダンロップからの情報発信を目指すものです。

「元グリ……?一度も巻き替えたことないよ。で、その元グリってナニっ?」おい、わかってて答えたんじゃないのかよ!さらに「それって、必要なの?」だって。

そうだよなぁ、グリップテープすら、めったに巻き替えないヤツなのに、元グリを巻き替えてるわけないか。存在さえもわかっとらん。

『元グリ』は、市販デフォルトで巻かれている「シンセティックグリップレザー」のことで、そもそもはグリップテープなしで十分に使える仕様です。

表面はグリップテープと同じウレタンでコーティングされていて、クッション性もあり、吸水性もあります。そんな「十分機能」を備えた元グリに、さらにグリップテープを巻く習慣って、じつは「ちゃんとした靴下の上から、もう一枚の靴下を履く」ようなものですね。

グリップテープの巻き替えは、外側の靴下だけ脱いで、その上に靴下を履き、履き替えたつもりでいるようなもの。下の靴下は、汗をたっぷり吸って、バクテリア天国。ぺったんこに押し潰されて、クッション&吸水機能は失われ、ただ巻かれているだけの「哀しき日陰者」です。しかも、どんどん不潔になっていく。

多くの元グリが、生涯そのまんま。ラケットを捨てられるまで、グリップテープに覆い隠されて、日の目を見ることなく生涯を閉じるのです。

本当は、自分一人でもちゃんと生き抜く能力があるのに、新品で買われた瞬間から、元グリはその存在を抹殺されます。しかも、グリップテープを巻き替えるときに剥がすと、テープの裏素材がベタベタ貼り付いて、無惨な姿を現わし、すぐに隠されるのです。

1年もグリップを握り続けると、元グリは潰れ、クッション性のかけらもなく、吸った汗は、グリップテープが覆い包んだまま、バクテリアの温床となります。

「巻き替え用の元グリ」が、ちゃんと市販されています。せめて「1年に1度、元グリも巻き替えて」、完全フリフレッシュされたグリップ感覚を取り戻しましょう。
 

松尾高司氏

松尾高司氏

おそらく世界で唯一のテニス道具専門のライター&プランナー。
「厚ラケ」「黄金スペック」の命名者でもある。
テニスアイテムを評価し記事などを書くとともに、
商品開発やさまざまな企画に携わられています。
また「ダンロップテニス」のサポーターも務めてもらっています。