いつもダンロップ並びに弊社テニス用品をご愛用いただき、誠にありがとうございます。
【ダンロップメッセンジャー】は、みなさまへ特別な情報提供をすることで、【ダンロップ】をより身近に感じていただくためのものです。
みなさまと一緒に良い商品を作り、ダンロップからの情報発信を目指すものです。
テニス専門店では、昔から、こう囁かれてきました。「冬になるとストリングが硬くなって、ボールが飛ばなくなるから、テンションを落として張り替えたほうがいいよ」……って。
インパクトは「ボールとストリングの衝突現象」であり、それに関与する物性的要素は、この2つだけです。世間のストリンガーたちは、みな無条件に「温度が下がると、ストリングは硬くなる」と信じてきて、「打球感が硬くなる」の印象を、一方的に「ストリングに押し付けている」じゃないですか。
みんな、冷静に考えてみて……
一般的なシンセティック・ストリングに用いられるプラスティック樹脂は「温度変化に影響されにくいもの」とされ、世界じゅう、暑い地域も、極寒の地でも、あらゆる部分に使われています。ストリングの場合、低温化によって性能が変化するとすれば「伸縮性」。つまり「ボール衝突によって伸びた分」が「縮む力」=「反発性」が落ちるかもしれません。
でもね……プラスティックよりもはるかに低温の影響を受けやすいものがあるでしょ。ゴムです!つまり『ボール』です!
我々が日常的に使うプレッシャーライズドボールは、ゴム球の中に1.8気圧のガスが封入され、「ゴム素材自体の弾力性」と「内封ガスの圧縮→復元による反発性」という、2つの要素のおかげで、弾んでくれるんです。
そして、この2つともが「温度変化の影響を受けやすい」わけです。温度が下がると、ゴム自体が硬くなるってことは、みんな知ってますよね。それから、気体は温度によって膨張・収縮するわけで、風船を温めればパンパンに膨れ、冷やせば萎みます。
だからね、冬になって打球が飛ばなくなるのは、ストリングよりも「圧倒的にボールのせい」なんですよ。みなさん、「飛ばない感じ」「硬い」を、気の毒なことに「ストリングが硬くなるせいだ」と責任をなすり付けちゃってるんです!
ストリングは「ボールが飛ばなくなった分を、テンション調整によって救済」してあげてるわけで、根本的に考えれば、「交換すべきはボールのほう」ですよ。
サークル10人がストリングの張り替えをすれば……約4万円くらいかかるでしょ。ダンロップのダイレクト通販でなら、【セントジェームス】を「60個×4クール分=240個」くらい買えちゃいます。1カ月で新品に交換しても、11月〜2月までの寒い時期を「よく飛ぶボール」でプレーできるじゃないですか!
定期的な張り替えも大切ですが、寒い時期こそ、ボールのことも考えてあげてくださいね。
松尾高司氏
おそらく世界で唯一のテニス道具専門のライター&プランナー。
「厚ラケ」「黄金スペック」の命名者でもある。
テニスアイテムを評価し記事などを書くとともに、
商品開発やさまざまな企画に携わられています。
また「ダンロップテニス」のサポーターも務めてもらっています。