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テレビでスポーツ番組を視ていると、しきりに「リベンジ」という言葉が、ご丁寧にテロップ付きで流されます。そこではみなさん「次には頑張る!」という意味で使っているのですが、日本語を勉強している外国の方は「やけに危ないことを言っているな」と感じるかもしれません。
「リベンジ」という言葉は、現在の日本語と、本来の英語では、ニュアンスがかなり異なります。日本では、とくにスポーツ界では気軽に頻繁に使われちゃってますが、英語本来の「revenge」は「復讐」や「報復」「仕返し」「仇討ち」という意味に限定され、かなり殺気を帯びた言葉です。
いまや日本の辞書にも「第二義」として「再挑戦」と記されるようになり、当たり前に使われるようになっちゃいましたが、海外へ行ったとき、もしこれを「いつものつもりで」使うと、周囲から「なんて血なまぐさいことを言うんだ」と、横目で見られるでしょう。
そんな例が「テニスの世界」にもたくさんあります。たとえば、今の日本では「ガット張り」が普通になってしまっています。昔のストリングはナチュラルガットだったために、ガット張りという言葉が定着しました。店の看板にも『ガット張り』って……
でも今日、使われているストリングのほとんどが「シンセティックストリング」であり、天然素材を意味する「ガット」じゃないんですよ。完全な「間違い」です!実際に、ほとんどのメーカーが『ストリング』と表記しています。もし海外で「ガットを張ってください」と言ったら、笑顔で「OK!」と言われ、間違いなくナチュラルガットを張られます。張り上がった後で「オー・マイ・ガット!」……なんちゃって。
それからテニスショップで張り替えストリングを選ぶとき、店員さんに「ゲージはどうしますか?」って訊かれて、「じゃあ……1.30mmで」って答えたりしますよね。じつはこれ「大間違い」なんです。ゲージというのは一般的に『米国ワイヤゲージ規格』(American wire gauge:AWG)で、断面が円形のワイヤのUL規格です。たとえば1番線(1ゲージ、1G)は約7.35mm、10番線は約2.59 mmというように、番数が大きくなるほど、直径は小さくなります。ゲージサイズはNo.36からNo.0000までの39段階あって、ゲージ番号一つごとに、直径が、39√92(約1.12293)倍になるんですね。
テニスストリングも同じように、18G:1.15mm、17LG:1.20mm、17G:1.25mm、16G:1.30mm(メーカーにより多少のズレあり)と、「G(ゲージ)」の数字が大きいほど、mm直径は細くなり、数字と太さとの並び順が逆になります。ダンロップストリングのパッケージには、正しく「17G:1.25mm」「16G:1.30mm」と表記されていますよ。
ですから「ゲージは?」と訊かれたら、「17で!」と答えるのが本当です。でも一般的には「mm表示で言う」わけですから、店員さんのほうが「ゲージは?」なんてカッコつけずに「太さはどうしますか?」と訊くべきでしょう。
こうしたことは、日本ですでに「慣習化」されていますから、いまさら『間違いを正せぇ〜』と大声を張り上げてもしかたのないこと。いちいち正しい言い方を押し付けると、「鬱陶しいヤツ」扱いされかねない日本なので、いつ海外へ行っても失敗しないように、自分だけは気を付けておきましょう!

松尾高司氏
おそらく世界で唯一のテニス道具専門のライター&プランナー。
「厚ラケ」「黄金スペック」の命名者でもある。
テニスアイテムを評価し記事などを書くとともに、
商品開発やさまざまな企画に携わられています。
また「ダンロップテニス」のサポーターも務めてもらっています。