2025/07/15

ダンロップメッセンジャー 2025 7月号

いつもダンロップ並びに弊社テニス用品をご愛用いただき、誠にありがとうございます。
【ダンロップメッセンジャー】は、みなさまへ特別な情報提供をすることで、【ダンロップ】をより身近に感じていただくためのものです。
みなさまと一緒に良い商品を作り、ダンロップからの情報発信を目指すものです。

2023年6月、ダンロップの住友ゴム工業(株)は、カリフォルニア生まれのテニスシューズブランドである【K-SWISS】と販売代理店契約を結び、テニスシューズ4モデルを発売しました。あれから2年、【K-SWISS】は徐々に日本のテニスマーケットへ浸透し、ラインアップを充実させています。

そして2025年7月には、2024年春に発売された【COURT EXPRESS CARPET】の進化バージョンが発売されます。注目のポイントは、テニスシューズの歴史から考えると「逆進化」とも言える「天然皮革アッパーの採用」です。

1980年代までは「アッパーが天然皮革であるのが高級モデルの証し」でしたが、1990年代に「人工皮革アッパーモデルの価格的逆転現象」が起きてから、天然皮革アッパーモデルは、急激に少なくなりました。かつて「天然皮革は足に馴染みやすく、快適性が高い」と評価されていましたが、製造コストが安い人工皮革の性能が向上したのと、軽量化しやすいというのが、人工皮革アッパー台頭の理由であり、ほとんどすべてのテニスシューズが、メッシュ+RPU(ラバーポリウレタン)で製造されるようになっています。

ところが近年、「メッシュ+RPUアッパー」から離れようとする動きが出てきており、デザイン的にレトロ化されたモデルが、ちらほら見られるようになりました。それは一般テニスプレーヤーの「高性能はありがたいが、テニスを楽しむ気分を味わいたい」という趣向に対応した動きと思われます。

そこで2025年【K-SWISS】は、「天然皮革アッパー」という魅力を引っ提げて発売します。「ホワイト×ネイビー5本ライン」という、とてもコンサバティブなクラシックデザインを前面に押し出した容姿が、ベテランプレーヤーのみなさんにとって、大きな魅力となるでしょう。「天然皮革はやっぱり白でなくちゃ」というイメージと、「天然皮革製シューズの上質感」には、「そうそう、これだよね!」といった懐古的な満足感を感じてもらえるはずです。現代的な「高性能さが構築する機能美」とはまた別の「テニスというスポーツの優美さに寄り添った美しさ」を纏ったインドア専用モデルが【COURT EXPRESS 2 CARPET】です。

かつての「天然皮革王国」が人工皮革革命によって打ち倒され、「メッシュ+RPUアッパー時代」の到来となりましたが、すべてのプレーヤーがそれに満足していたわけではありません。「メッシュ+RPUアッパー」は、とても伸びにくい素材で、形崩れしにくいシューズを提供してくれますが、少しでも自分の足に合わないモデルは、いつまでも「合わない……」と感じさせ続けます。

いっぽう「天然皮革アッパー」は、使っているうちにどんどん「馴染み感」が向上し、自分の足型や屈曲特性に合わせてフィットしていきます。この感覚に慣れていたベテランプレーヤーにとっては、とても懐かしい印象を持ってもらえるでしょう。「そうそう、こんな感じだったよなぁ……」と。

ニューモデル【COURT EXPRESS 2 CARPET】は、アッパーのすべての部分が天然皮革というわけではありません。テニスでは「サイドへ強く踏み込む場面」も多く、このときにシューズの中の足が「外へ流れないように」支えるのが甲の横部分にある「中足部外側アッパー」です。ここには「伸びない強度」が必要であり、そのため【COURT EXPRESS 2 CARPET】では、この部分に「メッシュ+TPフィルム補強+5ライン補強」が使われ、安定性の強化が図られています。

人工素材で埋め尽くされた今日ですが、「天然皮革の上質さ」という概念は、現代の価値観にも残っています。このフィーリングと満足感を得られるならば、普段はインドアでプレーされない方でも「インドアの機会もあるだろうから、1足、買っておこうかな?」と思えるでしょう。そんな「余裕」も、テニスの魅力の一つと感じます。

アッパーのことばかり話してきましたが、その他のスペックも、昨年モデルよりも大きく進化しています。アウターソールは仕様変更なく継続されますが、性能的にカーペット用として完成されているので納得できます。カーペットコートは、純白のミッドソールを汚すことなく、アッパーの白さもそのままに保ってくれます。近年、テニスシューズを購入されるお客様は「白だと汚れるから、汚れが目立たないカラーのシューズがいいわ」とおっしゃる方が多く、「白いテニスシューズ」は少なくなってしまいましたが、インドアならば心配はありませんから、安心して「白」を選べます。

先に「人工皮革は天然皮革よりも軽い」と話しましたが、【COURT EXPRESS 2 CARPET】では、アッパーの半分以上を天然皮革が占めますから、まるごと人工皮革素材アッパーよりは、少しだけ重くなります。でも、スクールに多く利用されるインドアコートでは、足を高く上げて蹴り出すフットワークもさほど多くはなく、摺り足フットワークでの摩擦グリップ性を追求するインドアモデルに最適化されているといえるでしょう。

また従来モデルでは存在しなかった「ダブルアイレット用」のシューレース孔が新設されたのも進化です。一般的に競技系・ハードスペックモデルの孔列上端にはかならず開けられている「この孔」……何のために存在しているかご存知でしょうか?これは「ダブルアイレット」といって、履き口の締まり感を高める締め方に必要な「孔」です。【COURT EXPRESS 2 CARPET】の履き口を大きく感じ、「もっとしっかり締まってほしい」というプレーヤーは、ぜひこの「孔」をお試しください。

そして、このモデルの「シュータン」には、ビックリするほど厚いクッションスポンジが内蔵されており、甲の快適さを求めるプレーヤーのための親切設計がなされています。足裏が乗る「フットベッド」は、デフォルトではアーチ(土踏まず)サポートが低めにできていますので、「アーチが低いかゆったり履きたい人」は、そのままご使用ください。逆に「アーチが高い人」は、ご自分が気に入ったアーチサポートのあるインナーソールを挿入してご使用いただけば、フィット感は5倍(の気分)になって、長く使えるインドア用シューズとなってくれるでしょう。