2025/07/31

ダンロップメッセンジャー 2025 7月号 小ネタコラム

いつもダンロップ並びに弊社テニス用品をご愛用いただき、誠にありがとうございます。
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みなさまと一緒に良い商品を作り、ダンロップからの情報発信を目指すものです。

19世紀に誕生した近代テニスが花開いたのは、間違いなく「女性プレーヤー」のおかげです。それまでのヨーロッパでは「スポーツは男性だけのもの」とされたのを、「男女が混じってプレーできる」というルールブックを作ったウィングフィールド大佐の最大の功績でしょう。

当初は「男性はシルクハットに燕尾服」「女性はバッスルドレス」と、公式パーティーへ出席するのと同じ出で立ちでしたが、しだいにテニスのゲーム性が高くなり、スピードアップ→動きやすい服装が求められ、女性も「足首まで覆われたドレス」から、「膝下までのスカート」「膝上ミニスタイル」へと変化。制限された女性の人権が解放されるのと並行するように、女性テニスウエアのスタイルも自由になっていきます。

1950年代頃には、女性トッププレーヤーたちは「ワンピース型」のウエアを纏い、国際舞台を飾るようになります。その頃のワンピースは、羽織ってから前身頃のボタンを止めるタイプでしたが、やはり「白一色」!

それから20年を経て、女子スーパースターたちのワンピースには、エレガントさが加えられ、「テニスウエア」というより「テニスドレス」のような衣装になります。テッド・ティンリンというデザイナーは、カラーを採り入れ、大きな襟を付けて、生地もぶ厚く、全体に刺繍を施しました。ビリージーン・キングやマルチナ・ナブラチロワは、テニスドレス時代の象徴的プレーヤーでした。

でも1980年代の世界的大テニスブームを迎えると、はるかに軽快で、カジュアルな「シャツ&スコート」が光り輝き始め、重厚なテニスドレスは一気に影を潜めます……が、ワンピースが消えたわけではありません。生地は軽やかになり、いろんなスタイルのテニスワンピースが、テニスコートを彩るようになっているんです。

それは、まさに「エレガンス」。伝統的にテニスが備えてきた上品さと、女性らしさをたたえるワンピース姿は、「コートの華」です。一般プレーヤーは、ラクで組み合わせもできるシャツ&スコート姿、さらにはその下にロングパンツを履くなど、シンプルで美しいエレガントさとは別の道を選ぶようになりましたが……

テニスワンピースは永遠です!

普段の練習コートに、シンプルでフェミニンなワンピースを着て登場したりすると、周囲のマダムたちがヒソヒソ話を始めるでしょうが、ジェントルマンたちは、満面の笑みと大拍手で迎えます。わざわざ女性らしさを放り捨てる必要などないでしょ。

ただね、日常のレッスンでエレガントをひけらかしてしまうと、いろんな軋轢が生じるでしょうから、「ちょっと特別なとき」を選んで、女性らしさを、ぜひ披露してください。近年では、打つたびに動物のような雄叫びをあげる女子プロもいて、彼女らにワンピースのエレガントさは似合わないかもしれませんけど、一般草トーナメントでのワンピース姿は、みんなにインパクトを与えます。

現代のワンピースは、生地も軽く、伸縮性が高く、それでいてファッショナブルなデザインも豊富です。ただ「ショップ店頭に並びにくい」ので、多くの中から選ぶことができず、お気に入りと出会えないのかもしれませんが、ネットで探すと、あれやこれや、選ぶのが楽しくなるようなワンピースがたくさん現われます。

テニスはエレガントなスポーツです。ゲームでの動きやすさを備えたワンピースもありますし、トレンドに流されにくいのも嬉しいポイント。幅広い年齢の女性プレーヤーに、きっとワンピースは「お似合い」です!

松尾高司氏

松尾高司氏

おそらく世界で唯一のテニス道具専門のライター&プランナー。
「厚ラケ」「黄金スペック」の命名者でもある。
テニスアイテムを評価し記事などを書くとともに、
商品開発やさまざまな企画に携わられています。
また「ダンロップテニス」のサポーターも務めてもらっています。