2025/08/23

ダンロップメッセンジャー 2025 8月号

いつもダンロップ並びに弊社テニス用品をご愛用いただき、誠にありがとうございます。
【ダンロップメッセンジャー】は、みなさまへ特別な情報提供をすることで、【ダンロップ】をより身近に感じていただくためのものです。
みなさまと一緒に良い商品を作り、ダンロップからの情報発信を目指すものです。

若い方には信じられないかもしれませんが、ほんの40数年前…1980年以前のテニスラケットは、まだほとんどが「木製」でした。そしてほぼ同時に2つの「ラケット革命」が起こります。まず「素材革命」により、木製だったラケットは「金属製」「グラスファイバー製」からやがて、「カーボン製」となります。

そしてもう一つの革命が「ラージサイズ化革命」です。70平方インチが「レギュラーサイズ」とされていたフェース面積でしたが、「50%アップ」のラージサイズへ。しかし、操作性や反発性能における急激な進歩に対応しづらかったプレーヤーのために「20%アップ・ミッドサイズ(85平方インチ)」が生まれ、あっという間にそれが主流となっていきます。

この「カーボン化・ミッドサイズ化」の変動はとても急激なもので、「ミッドサイズ・カーボン80%・グラスファイバー20%」というコンポジットが大流行するわけですが、そんな流れの中で、際立って光り輝いたラケットがありました。

ダンロップ【MAX200G】は、現在、すべてのラケットが使っている「カーボンシートの積層構造」ではなく、カーボン短繊維をナイロンの熱可塑性樹脂に混ぜ、金型内に一気に射出する「インジェクション製法」によって作られていたのです。

この製法は非常に特殊なもので、英国にあるダンロップの工場でしかることができず、カーボン系ラケットでありながら、まるでウッドのように柔らかい打球感を実現したのです。「硬いカーボン系ラケット」に慣れないプレーヤーたちは、飛び&パワーがありながら、打球感が際立ってマイルドな【MAX200G】に飛びつきました。

ジョン・マッケンローやシュテフィ・グラフなど、名だたる伝説的プレーヤーをたちが【MAX200G】を使い、その存在感はさらに別なものとなります。ダンロップが誇る「唯一無二の打球感」は、全世界的なヒットとなり、日本では【MAX200G】【MAX200G PRO】【MAX200G PRO II】【MAX200G PRO III】と10年以上ほぼ同じ作り方で、デザインを替えながら、ロングセラーモデルとなったのです。

【MAX200G】シリーズの製造販売が終わったとき、多くのプレーヤーが「これから私は、何を使えばいいんだ?」と悲嘆にくれました。そのくらい【MAX200G】は他のラケットとは違う、『特別な存在』だったのです。

【MAX200G】によって「特別に柔らかい打球感」は、以降のダンロップラケットにとって『宿命』となります。時代の流れにより、インジェクション製法から卒業したダンロップは、カーボンシートレイアップ製法になっても「柔らかい打球感」を追求します。なぜなら「柔らかさを希求するファン」があまりに多かったため……。

当時のダンロップというブランドは、本家英国(ダンロップUK)から派生的に、国際地域ごとにライセンス生産が認められていて、日本では『住友ゴム工業』が「日本市場向けダンロップラケット」を作っていました。この「日本のダンロップ」が『柔らかい打球感のダンロップ』を守り続けたのです。

あらゆる手が尽くされました。ストリングの振動を制限する【VA】システムを皮切りに、フレームに熱可塑性樹脂を復活させた【RIM】シリーズ。そして現在、フレーム内に仕込まれた【SONIC CORE】や【VIBROSHIELD】という現代的な打球感コントロール手法へと繋がっているのです。

現代のラケットは、カーボン繊維の進化につれて、どんどん高剛性化される「ラケット進化の宿命」に抗うことはできません。しかし、劇的な進化を遂げてしまったからこそ、「【MAX200G】のような柔らかい打球感を!」と求める声がいまだに絶えません。

過去に戻ることなど、もはや『夢・幻』なのですが、それでもダンロップは『宿命』を背負い続けます。だからこそ、【MAX200G】のデザインイメージを纏わせた、現代のダンロップ【CX200 BLACK】【CX200 18×20 BLACK】【CX400 TOUR BLACK】を数量限定デザインで発売します。

【MAX200G】を愛用し、長年にわたり日本のトップに君臨し続けた鈴木貴男プロは、いまなおダンロップの宿命とつながりながら、現代の【CX200】を駆使します。「黒に緑」という「あの組み合わせ」は、現代の【CX】シリーズのイメージカラーである「黒に赤」になってはいますが、「ストライプ&鏃(矢じり)」のデザインの復活。このデザインは、まさに『ダンロップの宿命』を表わすものです。数量限定ではありますが、「日本のダンロップ」=「世界のダンロップ」となった今日、「柔らかさ→マイルド&スピード」へと進化してきた「宿命」に、想いを馳せてみませんか?

2002年、この世に姿を現わした『魔法のラケット』。当時はダンロップ【スぺ―スフィール プライムOS】として誕生しました。翌年に【スペースフィール プライムEX】、2005年【スペースフィール プライムEX II】、ここまではイメージカラーがオレンジ。

しかし2006年には、新シリーズ【ダイアクラスター】の展開により、このモデルもイメージを一新して、シルバーをメインに、軽さと武器っぽさを増したコスメティックを採用して【ダイアクラスター RIM 10.0】、2008年【ダイアクラスター RIM 10.0 DB】、2010年【ダイアクラスター NEX 10.0】、2013年【ダイアクラスター 10.0 SF】と続きますが、この頃から『魔法のラケット』と呼ばれるようになりました。

ダンロップ→スリクソンによって、スリクソン【REVO S 10.0】、【REVO CS 10.0】と、内部構造や素材において、その時代の新機能を搭載しながら進化しますが、魔法の形状は姿を変えることなく、【ジュッテンゼロ】は、多くのプレーヤーに愛され続けます。

『魔法のラケット』は、非力な女性に「テニスの楽しさを覚え」させるだけでなく、男性コーチにまで「快適、素晴らしい」と絶賛されたのです。「面を作るだけで、イメージしたとおりの弾道で飛んでくれる」個性によって、ハイレベルな魔法使いたちは、戦術的な巧妙さを身に付け、あるときは緻密に、またあるときはパワフルに相手を翻弄します。

現在の『魔法のラケット』は、復活したダンロップブランドの特別席に、【LX 1000】として君臨しています。伝統の27.25インチから離れて「27.0インチ」となって操作性を増し、ダイアクラスター時代の明るいコスメティックでラインナップされています。

ただ今回、幅広い愛用者の声に応えて、【LX1000】【LX800】ともに、光の当たり方や角度によってネイビーやブラックに見えるパールカラーを纏わせ、数量限定デザインとして送り出しました。パワーアシストの必要性を実感するベテラン男性や、いつもと違う【LX】を求める方に、ぜひお使いいただきたいスペシャルバージョンです。