いつもダンロップ並びに弊社テニス用品をご愛用いただき、誠にありがとうございます。
【ダンロップメッセンジャー】は、みなさまへ特別な情報提供をすることで、【ダンロップ】をより身近に感じていただくためのものです。
みなさまと一緒に良い商品を作り、ダンロップからの情報発信を目指すものです。
テニスに関わる仕事を始めてから、数多くのテニス選手を見てきました。学校のクラブ活動でテニスする子供から、名門クラブでしのぎを削るトップジュニア。それに世界を股にかけるプロプレーヤーや、そこでも抜きん出た実力を発揮して「スーパースター」と呼ばれるようになる英雄的選手。
それぞれにいろんなタイプがいました。ただ強く印象に残るのは、スーパースターと呼ばれるようになる選手は、若い頃は超ヤンチャ坊主でも、成長するに従って、プレーヤーとして「何が大切か?」を知るようになっていきました。
テニスではなく野球界の話ですが、広島カープに「衣笠祥雄」という選手がいました。子供の頃から「かなりのワル」で、入団前には「プロ野球選手になったら、金持ちになって、でかい家を買って、きれいな女と結婚する」と豪語していた衣笠選手でしたが、関根潤三打撃コーチによる昼夜を問わぬ徹底管理指導により、頑強な肉体と精神を手にします。当時の彼の背番号が「28」だったせいもあり「鉄人」とあだ名され、その後、17年間「2215試合連続試合出場」という記録を打ち立て、ついに本物の鉄人となったのです。
その衣笠氏が、2018年に亡くなる3カ月前、「プロスポーツは何のために競うか?」というインタビューに対して……「子供のため」と答えました。生前、衣笠氏は「プロ野球選手は子供たちの模範にならなければいけない、と言われたことを覚えている」と語っています。「将来、あの選手のようになりたい」と願って野球を始め、練習に励み、育つのだと。あの暴れん坊でワルだった少年が、60年後、莫大な契約金のためでもなく、有名になりたいためでもなく、「子供のため」という境地に至っていたのです。
まさに今、同じ野球界では大谷翔平選手が、若くしてそれを体現しているではありませんか。世界の檜舞台で、アメリカの子供たちから「ショウヘイのようになりたい!」と、他球団選手の子供にすら憧れられているのです。彼は過去のスーパースターたちの歩みを知り、高校時代から熟成した考えを持っていました。プロに入っては栗山監督によって「生活の100%を野球のために」という特別に管理された指導を受けました。栗山監督は「チームの仲間と遊びに行くな。仲良くなれず孤立するだろうが、おまえが強くなれば、みんなのほうから寄ってくる」と言ったそうです。そこから「世界のスーパースター」が生まれたのです。
スポーツする子供たちすべてに「大谷選手のように頑張れ!」というのは酷ですが、大人は「導いてあげる」ように務めるべきです。いや、せめて「間違った姿を見せない」ようにしたいですね。世界のトッププレーヤーが、ビッグトーナメントの最中、「ストレス発散のためにラケットを叩き折る」「審判に暴言を吐く」「差別的な発言をする」「乱暴な姿を見せる」ことが、子供たちの真っ直ぐな成長を妨げるでしょう。
筆者が数多くの選手を見てきて思ったことは『スーパースターは、子供たちによって作られていく』ということです。子供は、親や周囲の大人たちの行動を見ながら成長します。「その模範となりたい」という思いが、選手の心を磨き上げていくのです。
スーパースターとはあまりにかけ離れている些細なことですが、子供に「信号なんて守らなくていいんだ」と思わせてはいけませんよね。自分が車に轢かれるのは勝手ですが、子供に「それでいい」と思わせないよう、に振る舞いたいですね。お父さん・お母さん、先生、コーチ、そしてみんなの注目を浴びるプロ選手。いつもどこかで思っていてください。
『子供が見てるでしょ』……と。

松尾高司氏
おそらく世界で唯一のテニス道具専門のライター&プランナー。
「厚ラケ」「黄金スペック」の命名者でもある。
テニスアイテムを評価し記事などを書くとともに、
商品開発やさまざまな企画に携わられています。
また「ダンロップテニス」のサポーターも務めてもらっています。