2026/01/23

ダンロップメッセンジャー 2026 1月号

いつもダンロップ並びに弊社テニス用品をご愛用いただき、誠にありがとうございます。
【ダンロップメッセンジャー】は、みなさまへ特別な情報提供をすることで、【ダンロップ】をより身近に感じていただくためのものです。
みなさまと一緒に良い商品を作り、ダンロップからの情報発信を目指すものです。

多くの一般プレーヤーの方が【ダンロップ】と聞いて、真っ先にイメージされるのが「ボール」ですよね。日本では長きにわたって「トーナメントでの試合球として」「テニスクラブでの使用球として」、【ダンロップ フォート】が圧倒的な支持を得てきました。

かつて日本のテニス界において、一般的に「公式大会」の多くが、【ダンロップ フォート】を大会使用球として採用され、1961年に誕生してから65年もの間、【ダンロップ フォート】は、日本テニスのスタンダードボールであると、広く認知されてきたといっても過言ではないでしょう。

テニスは、自分も相手も、同じ一つのボールを打ち合う競技です。そこで重要になるのは「共通して使うにあたり、互いに納得するクオリティ」があるということです。テニスボールにおける「クオリティ」とは、「性能的安定性」を基本とした「信頼性」であり「どのボールを打ってもバラつきがなく、予想できない飛びやバウンドをしない」ことです。

一方で65年という年月は、テニスのスタイルに大きな変化をもたらしもしました。テニスラケットはウッド製からカーボン製へ。さらにそれを構築するカーボン自体も進化することで、テニスゲームはパワーを増し、高速化したのです。変わらないのは「テニスコートの広さ」だけ。人も道具も、驚くべき進化を遂げており、ボールもそれに応じて変化することを求められるようになります。

日本ではクラブライフでも、公式試合でも、「快適で優しい打球感」の【ダンロップ フォート】が愛され続けますが、日本人選手が世界へ羽ばたくためには、高速テニスに対応したボールで試合する必要性が論じられ、ダンロップは1985年に【ダンロップ フォート SP】という、高速テニス対応型ボールを発売し、その後【ダンロップ JTA】【フォート JTA】となって、日本競技テニスの国際基準対応を支え続けてきました。

その進化の潮流が、全豪オープンの試合球に選ばれている「Dunlop Australian Open」(以下ダンロップ AO)につながるのです。【ダンロップ フォート】という「歴史」は今なお続きつつ、その先の「未来」が【ダンロップ AO】によって切り拓かれました。これからも【ダンロップ フォート】は愛され続け、練習球【セント・ジェームス】が多くのプレーヤーの日常を支え、【ダンロップ AO】が、世界を牽引します。

【ダンロップ フォート】についての説明など、もはや必要ないとは思いますが、若いプレーヤーには馴染みがないかもしれないので、簡単に説明させてください。

今の上皇陛下がご成婚なされたのが1959年。お二人が知り合われたきっかけが「テニス」だったということで、当時の日本では上流層だけが楽しんでいた「庭球」に、「ロイヤルテニス」のイメージが結びつき、多くの日本国民がテニスに憧れた時代でした。

その2年後の1961年に【ダンロップ フォート】は誕生します。人間ならば今、「64歳」。彼(フォート)は、生まれたときから「日本テニスボールの基準」という宿命を背負い続けてきました。いろんなメーカーからテニスボールが発売されても、巷ではかならず「フォートに較べて……」という言葉が加えられ、結局は「やっぱりフォートは超えられないよね」と語られてきたのです。

もはや【ダンロップ フォート】は、日本テニス界の共通認識。全国津々浦々のテニスクラブでは、『みんなが使うボール』としてコンセンサスを得ることになり、もちろん国内大会では試合球として採用され、それが標準とされていたようなところもありました。

そう認められた【ダンロップ フォート】は、「もっちりした打球感」、ときには「マイルド」と語られ、「適度な質量感があって心地よい」とも表現されます。その頃のテニスプレーヤーにとって大切なのは「ボールを打つ感覚」「感触」「印象」であり、「上質な打球感とはこういうことである」とされた【ダンロップ フォート】を持っていれば、いつなんどき、誰からも文句を付けられることはなかったように思います。

【ダンロップ フォート】が守り続けているのは、「メルトンを使用する」こと。ウールやナイロン、コットンの混紡糸を、絨毯を織るときのように詰めて詰めて高密度に織り上げた「織物」の表面を起毛させてフェルト状にしたメルトンは、古くからテニスボールに使われてきた材料です。製造に手間がかかる高級素材であるため、どうしても製造コストが高くなりますが、メルトンは、打球することに「満足感」を添えるために必要な「設え」だったのです。
 
世界中、すべてのテニスボールは、国際テニス連盟が定めた基準に基づいて製造・販売されますが、その基準は「思われている以上に寛大」であり、日本人の感覚からすると「もっと厳格であるべきではないか!」と感じられます。ですからダンロップは、自ら厳しい基準を設け、それをクリアする製造システムによって、製造工程の精密性、製品の正確性、性能的安定性を守ってきました。

ネットを挟んだプレーヤー同士が打ち合うテニスボールだからこそ、互いが「信頼」「安心」を共感できるコンセンサスが必要なのです。今でも【ダンロップ フォート】だけを愛用し続けてくださる多くのファンがいらっしゃいます。そんなみなさまのためにも、【ダンロップ フォート】は、これからも変わらぬ満足感を提供します。

【ダンロップ フォート】は、日本のプレーヤーが楽しむには非常に好まれるが、海外の大会で使用されるボールは、もっと打感が軽くて、高速で飛ぶものでした。海外で活躍する日本人プレーヤーを育てるためには、高速ラリーに慣れる必要があると叫ばれ始めます。そこでダンロップは、【ダンロップ フォート】のクオリティを保ちつつ、【ダンロップ フォート】とは異なるゴム芯球とメルトンを採用することで、スピード感のあるボールを作りました。

それが1985年【ダンロップ フォート SP】、1990年【ダンロップ JTA】、1995年【フォート JTA】、2007年【スリクソン】という、高速テニス対応型ボールなのです。日本国内トーナメントで大会使用球とされ、また『ジャパンオープン』など、海外選手が出場する日本での国際大会で使われてきました。

そして2019年、ダンロップは1年の最初に行なわれるグランドスラム大会である『全豪オープン(Australian Open)』の公式ボールサプライヤーとなって、【ダンロップAO】が大会使用球となりました。これにより、日本国内の大会でも【ダンロップAO】を試合球とするケースが急増し、今日では、数多くの若いプレーヤーが国際基準の高速対応ボール【ダンロップAO】でテニスを覚え、技を磨き、スピードを増すようになりました。

日本のテニスクラブライフや草トーナメントを支える【ダンロップ フォート】と、国際テニスの頂点とダイレクトにコミットする【ダンロップAO】。これからも2つの「試合球」が、ダンロップの歴史と未来を編んでゆくのです。