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昔、ラケットやストリングの試打テストをするのに最適なシチュエーションとして「テニススクール」を選んでいました。テニスクラブに所属したほうが、時間的な自由度は大きいのですが、「自分のテストのために1面を確保する」なんてできず、どうしたって「ダブルスゲーム」ってことになってしまいます。
となると、「相手が違う」「自分の感覚だけに集中できない」→「ゲームに負けちゃうと、そのラケットに良い印象を持ちにくくなる」……というのが純粋にラケットと向き合えなくなっちゃうんですね。だから、つねに同じコーチが相手をしてくれる・自分だけに埋没できる「スクールレッスン」が、フィーリングテストには最適だったわけです。
そうした不純な目的で通っていたテニススクールに、ミックスダブルスの同伴ペアがいて、いつも二人でパターン練習をしていたんですね。レッスンとレッスンの合間にコートへ飛び出し、もうね、活き活きとパターン練習に励むわけ。相手のロブが上がるたび「プランBだっ!」とかなんか叫んじゃったりして。
なんだか「勝つことだけに邁進する二人の姿」に、なんともいえない寂しさを感じていました。とにかく必死に「ゲームで勝つこと」に執着するわけです。それがね、もう「競技テニス」のど真ん中であれば、「そうだっ、よし! ガンバレ!」となるのですが、作戦だ・展開パターンだというレベルでもないのに、「修行」に入ってしまったわけです。
まぁ、そんなに「勝つこと」に喜びを感じるのなら、頑張ってちょ。どうぞご自由に! ってなもんですけど、でもさぁ、彼らは本当にテニスを楽しんでいたのかしら?
現代テニスの原点は「英国中流社交族」のホームパーティに添えられた余興でした。日本なら「温泉ピンポン」みたいなものですかね。当時はそうした余興でも「男は男同士」「女は女同士」で遊ぶものと、男女がはっきりと分けられていたため、社交族に「中庭で男女が組んで楽しめるロウンテニス」が紹介されたとき、それまで許されなかった男女ペア遊戯を、堂々と楽しめる…ってことで流行したわけです。
みなさんだって覚えがあるでしょ。子供時代、「フォークダンス」の場面にドキドキしたこと。当時の男性社交族にとっては、まさにあんな気持ちだったのだと思います。
さて、話を現代に戻して…… テニスクラブやスクールの世界では、そうやって「テニスすること自体を楽しむ」というよりも、社会や家庭でのストレスを、「ゲームをして相手に勝つ」という満足感で解消するようなテニスをする人たちが、少なくないような気がします。まっ、それもテニス……ってことでしょうけど。
でもね、強いテニスって、作戦がどうのこうのじゃないでしょ。相手がこうきたら、こう返す!って、その場で考えてる場合じゃないです。「考える間もなく反応している・しちゃってる」…… そーゆー身体を作り、技術を積み上げていくことで、結果的に「勝つ」ことに繋がっていくんですよね。
もちろん「基本」「セオリー」ってゆーのは、プレーヤーとして学ぶべきことですよ!ただ、そこまで到達してないレベルで、作戦、作戦!と凝り固まるのって……まるでテニスを楽しんでないような気がして。
それよりも、もっと自由にテニスを楽しんでプレーして「センスを磨く」ことのほうが、自分も、ネットの向こうにいる相手もハッピーなような気がします。基礎の熟達よりも以前に、もっと先にあるべき「修行の道」に入り込んでしまって、大切なことを忘れてしまうことなく、まずは「楽しんじゃおう!」という気持ちが、結果的に『ゲームの楽しさ』につながるんじゃないかなぁ〜なんて、昔のことを思い出してしまいました。

松尾高司氏
おそらく世界で唯一のテニス道具専門のライター&プランナー。
「厚ラケ」「黄金スペック」の命名者でもある。
テニスアイテムを評価し記事などを書くとともに、
商品開発やさまざまな企画に携わられています。
また「ダンロップテニス」のサポーターも務めてもらっています。