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個人的な話になりますが、筆者の友人には「昔のラケットをこよなく愛する人」や「特定のラケットを集めまくる変態」などがいます。前者はなんとなく紳士っぽく、後者は微かな変質者……みたいな表現になってしまいましたが、要するにどちらも『変態』です。
テニス道具好きが嵩じて、テニスショップのアルバイト〜テニス専門誌編集者〜勝手気侭な物書き……ってことで、こんな仕事をしているわけですが、仕事柄、どうしたって「ちょっと変わった人に会うこと」が多くありました。
そのなかのひとつに「コレクター」っぽい人ってのがいます。「ラケットだらけの中に身を置きたくてテニス関係の仕事をしている」連中は、意外と少なからずいますね。最初の衝撃的出会いは30年くらい前でしょうか……「ウッドラケットの大コレクター」だったテニスショップのオヤジさん。
ショップ取材で訪ねたんですけど、インタビューが進むうち「古いラケットがたくさんあるけど、アンタ……見るかい?」と言って二階の倉庫から引っ張り出した数個のダンボールには、まぁよくもこれだけ集めましたねというウッドラケットの数々が眠っていました。それらを階段を利用して雛壇状にズラッと並べ、「さぁ写真を撮りなさい」と静かにおっしゃられます。やっと自分のことを理解するヤツが現われたか……という表情です。
不本意にも変態仲間扱いされた筆者でしたが、あるラケットに目が釘付けに!この瞬間、「あぁ、自分も変態なんだぁ」と自覚したしたのです。
「道具に対する偏愛」を感じる人は少なくないと思いますが、対象がラケット……というのは厄介です。「文房具好きな少年少女」ならば、お小遣いで好きなものを蒐集できますが、ラケットというのは、そんなに安かぁない。中途半端に面倒なんです。
普通の人にとっては「ボールを打つための機能的道具」でしかないでしょうが、我々(ラケット偏愛者)にとっては、もう「美術品といっしょ」です。そうした変態たちは、自分の肩身が狭いことを自認するため、なるべく目立たぬようにと隠れていますが、けっこう周りにたくさんいました。
15年ほど前に知り合った友人は、ある特定モデルの偏愛マニアで、同じラケットを何本も集め、しまいにはそのシリーズモデルをコンプリートしてしまうほど。彼はミニチュア製作のプロで、所蔵シリーズすべてを「1/7スケール」でミニチュアにする「真性変態」でした。本物シリーズとミニチュアシリーズを写真に撮って並べると、ほとんど見分けがつかないくらいの高精度ミニチュアです。
「オレはそんな変態たちには敵わない!」と抵抗していた筆者でしたが、先日、ついに真性変態を認めざるを得ない事件が……。
○○カリで、あのオヤジさんの店で見たラケットを買ってしまったんです。一週間悩みましたが、少しのキズもない「超美麗品」でしたから、満足です。ただ、ポチッとした9時間後、同じラケットの「ちょっとだけキズがあるけど、激安!」というのがアップされたのを発見。「うぐぐ」と唸りつつも、人差し指が「買う」をポチッとするのに抗いきれませんでした。一日で、2本の同じ中古ラケットを買ってしまった……
以来、毎晩、2本のラケットを壁に立てかけ、それを眺めながらバーボンをロックで……。筆者にとってそれはもはや「テニスの道具」ではなく、「美術的工芸品」なのです。あのような美しいラケットに出会うことは、今後もう、絶対にあり得ないでしょう。それくらい美しい……。
懐古趣味的変態とバーボンって、じつによく似合います。

松尾高司氏
おそらく世界で唯一のテニス道具専門のライター&プランナー。
「厚ラケ」「黄金スペック」の命名者でもある。
テニスアイテムを評価し記事などを書くとともに、
商品開発やさまざまな企画に携わられています。
また「ダンロップテニス」のサポーターも務めてもらっています。