2026/08/20

ダンロップメッセンジャー 2026 8月号 小ネタコラム

いつもダンロップ並びに弊社テニス用品をご愛用いただき、誠にありがとうございます。
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先日のサッカーW杯を観ていて思ったことですが、「パスが通るかどうか」「オフサイドになるかならないか」「シュートがあと5ミリ低ければ、クロスバーに弾かれることなくゴールしたのに……」なんて、ほんのごくわずかなズレが、結果を大きく左右することになってしまう瞬間を、繰り返し見せつけられました。

前回のW杯で有名になったのが『三笘の1ミリ』。もしも「VAR」というシステムが導入されていなかったら、あれは「うわっ、惜しい!」ってことで、名言として残らなかった言葉ですね。選手たちは「互いのイメージの一致」や「コーナーキックとヘディングの呼吸の合わせ方」など、『紙一重』を『奇跡』にしないために、「再現性の高さ」を求めて、精度の高い練習を積み重ねているのでしょう。

テニスだって、パッシグショットがサイドラインをかすめたかどうか?のとき「ホークアイ」や「チャレンジシステム」がなかったとしたら……。もしそれがファイナルセットのタイブレイクでマッチポイントなんて場面だったら……、敗れた選手は生涯、その一球に疑念を抱いたまま過ごすことになるでしょう。

男子プロのサーブは「時速200キロ」にも達します。その速さで飛んでくるボールに、ラケットの真ん中を合わせるなんて、まさに「神業」ですよね。でも彼らは、試合の間じゅう、それを目指して、ラケットを指し出し続けています。

時速200キロのサーブは、バウンド後に「だいたい半分の速度」に減速するため、ざっくりとした答になりますが……
時速200キロのサーブって
時速200km=時速200,000m
これを秒速にすると「55.556m」
バウンド後に時速100キロになって
時速100km=時速100,000m
これを秒速にすると「27.778m」
テニスコートの「ベースライン⇔ベースライン」の距離が「23.770m」ですから、ベースラインの後方2mでレシーブすると……サーブが放たれてから自分のところまで飛んでくるのにかかる時間は、「およそ0.5〜0.6秒」くらいです。そして、自分の横1mを通り抜けるときにかかる時間は、なんと「0.036秒」ということになります。

これにドンピシャでタイミングを合わせる人間の能力ってスゴいですよね!もしも動き始めるのが0.04秒遅れると、ラケットはボールにも届かない……ってことになるのかな???こうして考えてみると、プロの勝負って、そんなスゲェ〜世界で行なわれているんですね。

「あと0.1秒早く、足を踏み出せていたら…」、あるいは「もうちょっとだけスウィートエリアが先のほうに広がっていたら…」、ミスショットがリターンエースになっていた可能性だってあります。つまりテニスでは「道具が決定的な瞬間の成否を握る!」ことがあるってことです。

トッププレーヤーたちは「視覚→脳→筋肉への指令」という神経回路を鍛え、「脳」を経由せずに反射できるほどにまで研ぎ澄まします。それでも、「シューズの性能」「ラケットの操作性・安定性」「スウィートエリアの広さや位置」が介在して、『紙一重の差』を生んでしまう世界なのです。

だからプロは、自分の道具について徹底的に突き詰めますよね。そして「選んだものを信じて」プレーします。われわれ一般プレーヤーも、その姿勢から学ぶべきではないでしょうか。一瞬のピンチを、チャンスに反転させてしまうようなテニス道具の世界は、たしかに存在しています。

松尾高司氏

松尾高司氏

おそらく世界で唯一のテニス道具専門のライター&プランナー。
「厚ラケ」「黄金スペック」の命名者でもある。
テニスアイテムを評価し記事などを書くとともに、
商品開発やさまざまな企画に携わられています。
また「ダンロップテニス」のサポーターも務めてもらっています。