2026/09/17

ダンロップメッセンジャー 2026 9月号

いつもダンロップ並びに弊社テニス用品をご愛用いただき、誠にありがとうございます。
【ダンロップメッセンジャー】は、みなさまへ特別な情報提供をすることで、【ダンロップ】をより身近に感じていただくためのものです。
みなさまと一緒に良い商品を作り、ダンロップからの情報発信を目指すものです。

一般プレーヤーの多くが、ラケットフレームを購入するときには、どれがいいのか悩んで、迷って、大きな決断を迫られる気持ちになりますね。でもストリングを選ぶときには、フレーム選びに疲れてしまったのか、意外にもあっさり決めちゃっているようです。フレームの高額さによるものとは思いますが、「ストリングあってのフレーム」だということを思い出してください。

昨今、SNSなどを通じて、プロテニスプレーヤーの写真を見ることが多いと思いますが、「インパクトの瞬間」を捉えたショットもよく見ますよね。昔は「3/1000秒」ともいわれるタイミングをドンピシャで固定するなんて奇跡でしたが、最近はカメラがミラーレスになったことで連続シャッターが驚くほど高速になったため、よく捉えられるようになりました。

あれを見て、みなさんも気付いたことと思いますけれど、インパクトの瞬間って、半分くらいに潰れたボールが、ストリング面に大きく「めり込んで」います。自分が感じて想像していたインパクトよりも、ずっと激しくストリングが動いて「仕事をしている」のを、ハッキリと視認できるようになりました。

でも、もう一度、写真を見直してみてください。ストリング面はあんなに凹んでいるのに、ラケットフレームがしなっている様子は、わからないですよね。ラケットを評価するとき、「剛性が高い」とか「しなりやすい」とか言いますけど、実際にフレームがしなっているところが写っている画像なんて、見たことはないと思います。昔のウッド製フレームや、カーボン製初期の頃は、フレームがしなっていたり捩れていたりする写真を見ることがありましたが、現代のラケットは写真に写ってしまうほどはしならないわけです。

ということは、フレーム剛性が高くなった分だけ、ストリングにかかる負担が大きくなりますね。とくに近年の豪腕プレーヤーたちのスイング速度ですから、ますますボールは大きく潰され、ストリング面はグイッと凹みます。ボールの性能も上がっていますけれども、ストリングへかかる負担たるや、大激増でしょう。こうした状況が、ストリングのマーケットに大きく変貌させているのです。

現在、ほとんどのプロ選手が「ポリエステル系ストリング」を使っていますが、それ以前は、みんな「ナチュラルガット」を使っていました。「ストリング」というのは、あの編み編みの糸の「総称」で、素材によって「ナイロンストリング」「ポリエステルストリング」「ナチュラルガット」に分類できます。

ではなぜ「ナチュラルガット」だけ「ストリング」と言わずに「ガット」と呼ぶのかですが、ナイロンやポリエステルが化学合成によって作られた人工(シンセティック)素材なのに対して、これだけが牛の腸(英語で GUT:ガット)を原材料に作られる天然素材によって生み出されるために、あえて「天然素材の腸=ナチュラルガット」として区別されるようになったわけです。

■ナチュラルガット 伸縮性:大 飛び性能:大
■ポリエステル系ストリング 伸縮性:小 飛び性能:小

もしも昔のウッドラケットにポリエステル系ストリングを張ったら、とてもじゃないですけど飛ばなすぎて「使えません」。でも現代のカーボン製ラケットの反発性では、ハードヒッターにはナチュラルガットは飛びすぎてしまいます。だからプロたちは、「自分の強打でもコートに入るように」とポリエステル系を選んだのです。

さらに、この二つがもっと違うのは、「伸縮性能の維持力」です。ナチュラルガットは張られてからも長く伸縮性を保ち、切れるまでゆーっくりと落ちながらも飛びを維持します。対してポリエステル系シンセティックストリングは、強打ではめざましく凝縮された反発性能を発揮してくれますが、その伸縮性は、そんなに長く続きません。

だから、ポリエステル系ストリングは、マメに張り替えてあげる必要があります。プロは試合前に、使用予定のラケットはすべて新しいポリエステル系に張り替えます。多くの競技プレーヤーは、大切な試合前に張り替えます。ポリエステル系の魅力的な飛び性能を活かそうと思えば、せめて「1カ月に1回」は張り替えてあげてください。それ以降まで使うと、もう飛ばなくなった状態が同じように続きますから、「んっ? 飛ばなくなったな」とも感じなくなってしまいます。ポリエステル系はとくに、張り替えメンテナンスが超重要です!

ナチュラルガットとポリエステル系ストリングの間にあるのが「ナイロン系ストリング」です。ポリエステル系が台頭する前は、「シンセティックといえばナイロン」でした。ダンロップストリングで言うと、【エクスプロッシブ】シリーズがポリエステル系で、【アイコニック】シリーズがナイロン系です。

その違いは、ポジショニングマップをご覧いただくとわかります。高速スイングで強打し、「しっかりした打球感」を感じながら、ボールを速く打ち出してくれる「弾き感」があるのがポリエステル系の【エクスプロッシブ】シリーズ。逆に「柔らかな打球感」があって、インパクトでホールドするような「食い付き感」を発揮してくれるのがナイロン系の【アイコニック】シリーズです。このように対照的な性能を持つ2タイプですから、自分のスタイルに合わせて適切と感じるほうを選んでください。

大切なことは「使う前から決めつけないこと」です。実際に使ってみて、自分のプレースタイルやパワーにフィットするのがどちらのタイプかを、実際に感じてみてから決めてください。一般的には「バリバリ競技派ならポリエステル系」、「ゆったりスタイルならナイロン系」と言われますが、強打派でもナイロン系の球持ち感を好まれる方もいれば、ゆったり派でもポリエステル系の歯切れいい打感を好まれる方もいらっしゃいます(この場合は、なるべく細いタイプをお選びください)。

周囲の噂などに左右されることなく、自分のテニスがフィットすると思うほうを選びましょう。その際に、「打球結果をコーチやパートナーに訊いてみる」という客観的判断も重要ですよ。「自分が好き」なのと「自分に適している」が、大きく違う場合もあります。

また、ナイロン系でもシンセティックストリングという運命の支配下にありますから、こまめな張り替えを心掛けてあげてください。ポリエステル系ほどではないにしても「3カ月に1回」くらいのスパンで張り替えることをお薦めします。

ここでひとつ、知っておいてもらいたいことがあります。伸縮性能を失ってしまって反発性が低下したストリングを使い続けると、自分では気が付かないうちに「ダメージが蓄積する」ようになります。打球が快適に飛ばないだけでなく、「飛ばなくなった分をスウィングのパワーで補おうとして、筋肉の使い方に無理が生じる」ことも起こり得ます。そうなると腕や肘への負担が大きくなり、普段は使わない筋肉を動かしたり、故障の原因にもなるわけです。

さらには、不自然な筋肉の使い方や、スイングという運動連鎖の崩壊によって、「理想的だったフォームが崩れてしまう」ことにもつながりかねません。一度フォームを崩してしまうと、ストリングを張り替えてリフレッシュしても、すぐに元のフォームを取り戻すことができるかどうか……大きなリスクを背負うことになるでしょう。

夏の練習や試合で、ストリングは「見えないけれども、かなり疲弊して」います。「う〜ん、飛ばないなぁ」「伸びないなぁ」と感じるようだったら、それはストリングの寿命が尽きるときの叫び声です。自分のテニスを健全な状態に保つため、完全に性能寿命が尽きてしまう前に、ためらわずショップへ行って、あなたのラケットに新しい命を吹き込んでもらってください。