2025/05/30

選手

トップ5という通過点で。~ジャック・ドレイパー選手とFXラケットが織りなす物語~

今年の5月にキャリアハイを更新し、世界のトップ5に名を連ねたドレイパー選手。英国期待の新星でもある23歳のドレイパー選手は、ウィンブルドン大会の開催地であるローンイングランドテニスクラブの元最高責任者を父に、元英国ジュニアチャンピオンを母に持つテニスエリートの家で生まれ、恵まれた家庭環境の中で育ちました。4歳から敬愛する母親がコーチを勤めるテニススクールに通い、その才能を徐々に開花。16歳でジュニア選手ながらダンロップと用品契約を結び、以来、現在にいたるまで、ドレイパー選手にとって運命的な出会いだったという同社のラケットを使い続けています。

17歳となり2018年にはウィンブルドン・ジュニア大会で準優勝し、同年プロに転向。しかしハイレベルなプロのステージでは順調に思えたドレイパー選手のキャリアは停滞します。19歳となりワイルドカードで初めて出場を果たしたマイアミ・オープンでは、1回戦の途中で熱中症により棄権を余儀なくされるなど、2021年の年間最終ランキングも265位と低迷。さらに翌年からもドレイパー選手の試練はまだ続きます。2022年にはチャレンジャー大会で4度優勝し、年間最終ランキングを42位まで上げたにも拘わらず、翌年の2023年には度重なる肩の怪我で長期の離脱を余儀なくされました。世界ランキングもトップ100圏外に。そんな状況の中でも同世代の選手の活躍を尻目に、忍耐こそ最大の武器であることを学び、いつか自分の番が来ると思っていたというドレイパー選手。そして、この挫折から彼のド派手な復活劇は始まります。

ツアーに復帰したドレイパー選手は、2023年11月、ソフィア・オープンでツアー初の決勝進出を果たすと、あたかも覚醒したかのように、2024年6月のボス・オープン(ATP250)でツアー初優勝。さらに9月の全米オープンでは、1回戦から準決勝まで1セットも落とさずに15セット連取という快挙を成し遂げ、準決勝では第1シード選手に敗れたもののベスト4。さらに10月のエルステ・バンク・オープン(ATP500)でも優勝し、ツアー2勝目を挙げ、年間最終ランキングも15位に急上昇。今季の2025年も怒涛のような好調さは続き、3月のBNPパリバ・オープン(ATP1000)でいきなりマスターズ初制覇。この勝利により世界ランキングも自己最高の7位となり、初のトップ10プレーヤーに。さらに4月のマドリード・オープン(ATP1000)でも決勝に進出し、惜しくもマスターズ大会2勝目は逃すものの5月5日の時点で世界ランキング5位に到達し、見事トップ5入りを果たしました。ちなみにダンロップの契約プロの中で、ドレイパー選手は同じくFXラケットを使用するポピリン選手に続くマスターズ優勝者となり、ランキングでは、かつてCXラケットで活躍したアンダーソン選手に続く2人目のトップ5プレーヤーになりました。

最後にドレイパー選手の復活と大躍進を支えてきた現行の「FX500」を初めて手にした時の印象と当時の意気込みをご紹介しましょう。「パワーとコントロールのバランスが理想的。フィーリングもとても気に入っています。アグレッシブに攻めるのが好きなんですが、微妙な感覚も重視しているので、まさに自分にぴったり。このラケットで来季はもっと素晴らしい結果を残せると思います。そのために全力を尽くすだけです」(2022年12月の同選手へのインタビューより抜粋)。この発言から2年半後、世界トップ5まで怒涛のごとく駆け上がり、その言葉以上の結果を残したドレイパー選手。しかし、そんな23歳になった新星の物語はまだ始まったばかり。手強いプレーヤーたちがひしめくZ世代の中で、ドレイパー選手とライバルたち、そしてFXラケットが織りなす物語はいよいよこれからが本番。乞うご期待!

マイアミ・オープンの本戦出場を果たすも1回戦で途中棄権。プロの世界は甘くない。それにしてもマイアミは暑かった・・・年間最終ランキング265位。

チャレンジャー大会で4度優勝し、ネクストジェネレーションATPファイナルズにも出場。期待の新星として前途洋々!年間最終ランキングは42位。

度重なる肩の怪我で長期離脱。ランキングもトップ100圏外に。でも全然余裕、いつか自分の番が来る!復帰後、ソフィア・オープンではツアー初の決勝進出。年間最終ランキング61位。

ボス・オープンでツアー初優勝。全米では怒涛の如く準決勝進出。ATP500のエルステ・バンク・オープンでも優勝し、ツアー2勝目。もしかしたら自分の番がやってきた!?年間最終ランキング15位。

BNPパリバ・オープンでいきなりマスターズ初制覇。マドリード・オープンでも決勝に進出し、世界5位に。でも、あくまででもトップ5は通過点。これからが本番!世界ランキング5位(5月5日付)