世界で最も過酷なゴルフトーナメントといわれる「全米オープンゴルフ」。117回目となる今年は6月15日から4日間、ウィスコンシン州のエリンヒルズ・ゴルフコースで開催されます。同コースで全米オープンが開催されるのは初めて。全長およそ7800ヤードという長さに加え、リンクスを思わせる長いラフがプレーヤーたちに立ちはだかります。そんな難コースを相手に、メジャー初制覇を賭けて挑む松山英樹プロの練習日の模様をレポートします。
いよいよ開幕が翌日に迫った⒕日(水)。松山プロは午前7時前にはコース入りし、いつものようにパッティングから練習をスタート。次に移動したドライビングレンジでのショット練習では、自身の使用球と同じ『スリクソン Z-STAR XV』で、風に負けない、重そうな球質のナイスショットを放っていました。その合間には、前日と同様、ダウンスイングの切り返し直後の腕の動きをしきりにチェック。その明るい表情と放たれるボールの飛距離、方向性を見るかぎり、やはりショットはかなり好調なようです。そのショット練習をきっかり30分で終えると、1番ホールのティグラウンド横のパッティンググリーンに移り、再びグリーンと自身のパットの感触を確かめていました。
午前8時13分、前日よりさらに増えたギャラリーが見つめる中、松山プロは10番ホール(608ヤード・パー5)からティオフ。この日は、前日に続いて谷原秀人プロとの練習ラウンドです。アゲンストに向かってドライバーで打ったティショットはしっかりフェアウェイ右サイドをキープ。また、338ヤードと距離のない2番パー4では、ティショットをグリーン右手前まで運ぶロングドライブ。さらに3番パー4でもティショットでフェアウェイ右サイドをキープしたあと、やはりアゲンストの中で放った第2打はピンハイにナイスオン。パワーだけでなく、風をしっかり読んだ攻めを見せていました。
この日は雷雨の予報も出されていましたが、実際にはコース周辺は晴天に恵まれ、雨が降った前日にくらべると、グリーンスピードは明らかにアップ。ボールは止まりそうなっても最後にひと伸び、ふた伸びする感じがあり、松山プロもアプローチショット以上にグリーン上の練習に時間を割いていました。2番ホールのように、グリーン奥の斜面が刈り込まれ、その方向に外すと寄せるのが難しくなるホールでは、手前からの攻めを徹底し、パッティングも手前から奥へ繰り返し練習。一方、巨大グリーンが特徴の6番パー3(238ヤード)では、さまざまな方向からロングパットを試みていました。
7番パー5では、珍しくティショットを右に曲げ、このホールに多く設けられたクロスバンカーに入れた松山プロ。そのままバンカーから第2打を打っていましたが、最長で607ヤードと距離があり、ホールの最後は打ち上げているため、いずれにしても第3打勝負になりそうです。続く8番ホールは超砲台グリーンで、その手前に設けられた3つの深いバンカーが選手たちを苦しめそうで、松山プロも一番左のバンカーからショット。そしてフロント9最後の9番パー3も、135ヤードと距離はないものの、激しい傾斜のグリーンを取り囲むバンカー群が特徴で、松山プロは左サイドからのバンカーと奥からのアプローチを試みていました。
午前11時、9番ホールのプレーを終えた松山プロ。本番さながらにギャラリーの拍手に見送られると、そのまま1番ホール横のパッティンググリーンに移り、休むまもなくパッティング練習を開始。途中、青木功プロと談笑したものの、およそ1時間30分、ひたすらパッティング練習に取り組んでいました。炎天下での集中力はまさに驚異的と言えるでしょう。その後はドライビングレンジに移動し、およそ30分間ショット練習を行ない、最後は隣打席で練習していた谷原プロと談笑。ラウンド中もしばしば2人で話し込み、白い歯を見せていた松山プロ。リラックスした表情からは、仕上がりが順調であることがうかがえます。こうして午後1時20分すぎ、松山プロは開幕前日の最終調整を終えました。
いよいよ開幕を迎える「第117回全米オープンゴルフ」。松山プロは、リッキー・ファウラー選手(アメリカ)、ジョン・ラーム選手(スペイン)という世界のトップランカーとの同組で、午前7時51分に10番ホールからスタートします。メジャー初制覇をめざす松山プロの奮闘にご期待ください。